7-4:何度目かの初対面

GM : ……というところで、シーン変わって。シエルさん。

シエル : 楽しくなってまいりました。

GM : あなたは陣の屋への道を走っています。


シエル : 「……もう少しで、もう少しでリコリスに会える!!」


 ばしゃばしゃと泥をはね上げながら、陣の屋に至る森を駆け抜けるシエル。

 程なくして開けた視界の先では、銀髪の青年が傘を差しながら、ぼんやりと陣の屋の方を眺めていた。


GM : 近づくと、青年が一人でぼそぼそとなにかを呟いているのが聞こえるでしょう。

リコリス : 「……どうしようかな。そういえば中には入れないんだった。ここからじゃ、窓が開いてるかわかんないな……外から登ってみる? ……ライティアかシランみたいに、僕が飛べたらよかったんだけど……」


シエル : 再び彼と会えたことに息をのみつつ、彼が僕の事を忘れていることをふと思い出して「……そこの君、何かお困りのようだけどどうしたんだい?」

リコリス : 「……え?」

GM : 青年は振り返って、目を丸くします。


 何度目かの、初めての邂逅。

 リコリスにとってはまた初めてだが、シエルにとっては3度目だ。


シエル : 「この建物の天窓が閉まってるか分からなくて困ってるって? そんな君は実に幸運だ!」

アル : 謎のアメリカ通販ノリ(一同笑)

シエル : 「たまたま通り過ぎたこの僕が、さくっとみててきてあげよう!」

リコリス : 「えっ、あ、えっ?」


GM : 陣の屋の上に登るなら、登攀判定か軽業判定で、目標値は11です。

シエル : 軽業判定でギリギリ成功! 意気揚々と昇り始めて割にはずいぶん苦戦したけど、なんとか頂上にたどりつきました。

 「ハァ……ハァ……、ど、どうよ君、ちゃんと昇ってやったぞ!」


GM : 天窓は開いてました、簡単に閉められますよ。

シエル : 「天窓は……空いてるみたいだね。閉めちゃってもいいのかい?」

リコリス : 「……! う、うん!」

シエル : では閉めてから陣の屋から飛び降ります。


リコリス : 「わっ。……すごい。今のどうやったんだい!? 僕、運動はてんで駄目だからさ、あんな軽々と――」とそのままずいずいっと近寄ってまくしたて始めるんですが、「あ」と途中で気づく。

シエル : ああ、この感じ、変わらないなぁ……。


リコリス : 「ああ、すまない。街の方だろうか? まずはありがとう。君の尽力に感謝する」

シエル : 「どういたしまして。実はまだこの島に着いたばかりでね。森の中を迷っていた所、君をちょうど見かけたってところ」

リコリス : 「……島の外? 島の外に人がいるのかい?」

シエル : 「……外の人と会うのは初めて?」

リコリス : 「ああ!」頷く。


リコリス : 「良ければ話を聞かせてくれないかい? お礼もしたいし、ほら、もしかしたらどこか先ほどので痛めてるかもしれないし手当とかもあるし。しばらく歩けば、僕が住んでる家が――」

シエル : 「……ああ、せっかくだからお世話になろうかな」

 「そういえばまだ名前を名乗ってなかったね。僕はシエル、ミルタバルの神官だよ」

リコリス : 「シエル! いい名だね。僕はリコリス」


シエル : 「それじゃあリコリス、これからよろしくね」といって握手を求めます。

GM : ではリコリスは一瞬きょとんとしてから「!」となって、握り返してそのままシエルを引っ張って歩き始めます。


アル : 1周目ではソレルさんが初めての友達でしたけど、今回はシエルさんがそうなるんですね。

ソレル : 時々リコリスの立ち絵見て「胸ないな……」って思っちゃう自分がいるんだけど(一同笑)

アル : 前回のループの影響が……。


リコリス : 「もう。というか君、傘持ってないじゃないか! ほら入って」

シエル : 「きゅ、急に歩き出すね。どこに向かってるんだい?」

リコリス : 「行く場所? 彼岸花の庵だよ!」

シエル : 「……ああ、やっぱり、ルフラン島で"初めて"出会えた島の人がリコリスで、ほんとによかったと思うよ」ぼそり、と。


 ふたり連れ添って、彼岸花の庵を目指す。

 その歩みは軽やかで、数年連れ添った友人同士であるかのようだった。

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