6-12:またお会いしましょう
「ころさ……な……」
うわごとのように呟いて、アルは雪原に倒れ伏した。
真っ白な雪は踏み荒らされ、辺りは鮮血で赤く染まっていた。
ただ一人立ったままのリズは、自らの弾丸によって貫いた主に向けて、語り掛ける。
リズ : 「ねえ、ご主人様。言いましたよね。セルフィさんを生き返らせること、わがままじゃないって。もう、このループはダメだったんですよ……また、やりなおしましょう?」
ため息をついて、リズはゆっくりとアルに近づく。
アルが預かった魔剣、ポシビリタスと契約するために。
リズ : 「眠ってください。……全部、終わらせておきますから」魔剣を手に取り、契約します。
GM : わかりました。では今のリズさんなら分かるでしょう。ちょうど、タイムリミットです。
■現実への帰還
あなたがたが強制的に未来へ送還されるまで、現時刻AM9:59で残り12時間を切りました。この瞬間から、『可能性固定の回数が0でないポシビリタスの契約者』は「可能性再生を即座に終了する」ことが可能になります。
→この時点での、可能性固定回数が残存している魔剣の契約者――ソレル、シエル2名――が全員同意すれば、即座に”可能性再生”を終え、現実世界に帰還することができます。
なお、戦闘中の場合、可能性再生の終了は「PC側の手番中」のみに宣言可能です。
リズがポシビリタスを手に取り、そっと自身の銃に宿したとき。
地下通路から荒々しい足音が聞こえ、乱暴に扉が跳ね開けられた。
――現れたのは、白装束を纏った少年。ナンディナだ。
ナンディナ : 「――……ッ、リズ! 無事で……っ」
GM : と言いかけて、周囲に倒れ伏すアルと、銀髪の女性を見てたたらを踏みます。
リズ : 「ああ、私がわかるのですね。・・・何もわからない獣になったかと、思いました。……いえ、今は私の方が、それに近しいのでしょうか」
ナンディナ : 「……君たちが引き受けてくれたから、なんとか、なったんだ」
リズ : 「いえ、わからないでいただいて、結構です。戦局は、どうなりましたか?」
ナンディナ : 「…………レイダー様が、ライオネットを弑しました」
リズ : 「ああ、あの女、やはり吸血鬼だったのですね」
SGM : あの女呼ばわり、最高ですね。
ソレル : わかる~~~。
リズ : 知らない人ですから。
ナンディナ : 「はい。レイダー様がご存知、でした。一度大陸の方で殺し損ねた……フラウの氏族の末裔です。花の名は何と言ったか、……っ」と言ったところで、膝をつく。
リズ : 「ディナ……?」
ナンディナ : 「……。ちょっと、使いすぎました、でしょうか」
リズ : 「バカなことをしましたね」あきらめたように笑う
ナンディナ : 「ここで死ぬよりはよいでしょう?……といっても、レイダー様にお仕えできなくなるような、馬鹿な使い方はしていない。せいぜい5,6年かな」
リズ : 「わかりますよ。その気持ちは。…結局私たちは、主のことばかり考えてしまいますからね……他にいた、緑髪の男はどうしましたか?」
ナンディナ : 「緑髪の男……? いえ、そんな輩は」戸惑ってます。
リズ : 「そうですか。なんだったのでしょうねえ、あの人は」
ナンディナ : 「いや、情報提供感謝する。君が言うなら間違いないだろう。すぐにレイダー様にご報告を……!」
リズ : 「ああ、いかなくて、結構ですよ」
当然のようにリズの手を引こうと差し出された手が、戸惑いと共に静止する。
ナンディナ : 「え?」
リズ : 「さようなら。私と、志を同じくする人。縁があれば、またお会いしましょう。主を語りましょう。私たちの望みと希望のお話を」
ナンディナ : 「……リ、ズ?」
困惑の表情を浮かべるナンディナ。
その表情を最後に、リズの視界は暗転した。
辺り一面が光に包まれ、歌声のような甲高い音が鳴り響く。そうして、視界から、色が消える。
かち。
かち。
静寂の中、刻を刻む時計の音だけが響く。
そうして、魔法文明語で何事かが囁かれ。
かちり。
そうして。刻まれた時が収束する。
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