6-11:雪森の死闘
PvP。別システムであればシノビガミなどで見られる、プレイヤー同士の戦闘のことである。もちろんソードワールドはPvPを想定したシステムではないため、まともなバランスでPvPをすることは不可能であり、本来であれば避けるべきだろう。しかしGMはこの展開を予期していたかのように準備を始めた。
GM : イベント戦闘のようなものだと思ってください。お互い負けたくはないでしょうが。
SGM : ループできる分、取り返しはいくらでも効きますからね。
ソレル : いやー、気絶してると気楽なもんだね。
シエル : この場に僕がいなくてよかった。このことを知ったらアルくんちゃんにもう一生回復飛ばせないよ。
ソレル : 死体は黙ってて。
シエル : はい。
戦闘に参加するのはアル、リズ、リコリスの3名だ。ソードワールドの戦闘の都合上、アル1人とリズ&リコリスのペアに分かれて処理を行うことになった。RPの状況を鑑みて、全員が同じ乱戦エリアにいるものとして扱う。先攻は当然、この中で唯一スカウト技能をもつ、アルだ。
■1ラウンド目:アル
アルは早速なぎ払いを宣言。戦士系技能をもたないリズとリコリスは当然回避できないが……。
アル : リコリスさんには一回転して28点。リズさんには……(ころころ)、ふぁ、ファンブル!?
GM : おー!?
ソレル : なんやこいつ。
なんとここで、リズへの威力表がファンブル。まさしく神憑るが如く様子のおかしいアルが、それでもリズへの攻撃を躊躇したかのようだ。PCが乗り移っているかのような出目に、にわかに盛り上がる参加者達。手番はそのままリズ、リコリス側へと移行する。
■1ラウンド目:リズ、リコリス
返す手番で【クリティカルバレット】を唱えるリズ。攻撃を回避できない都合上、アルのHPをそれだけ早く削りきれるかが勝負の分かれ目、なのだが……。
リズ : 命中判定……(ころころ)、えっ、ファンブル!?
全員 : !?
なんと、リズの攻撃もファンブル。まるでキャラクターが攻撃することを拒んでいるかのような2人の出目に、参加している誰もが息をのむ。
リズ : 「……撃て、ない。撃て、ませんよ……!」
アル : 「……リズさんもどいてください。リズさんは、傷つけたくないんです……!」
リズ : 「いやです! 私を先に、殺してからにしてください!」
ソレル : こいつらの出目なんなん?
GM : この主従はよぉ! リコリスはその隙に【リフレイン】です。(ころころ)……アルさんに14点与えて終了!
■2ラウンド目:アル
アル : リコリスさんに改めて斬り返し……(ころころ)、命中はクリティカル! ダメージは16点です!
GM : リコリスはそれでちょうどHP0だ。……(ころころ)生死判定は成功、気絶ですね。
アル : 「……まだ、まだ足りません……!」
リズ : 「目の前でご主人様が死ぬのも嫌ですが……殺しをするのも、よくありません!」
ソレル : だいぶループもののループ終盤感ない?
SGM : ループもの、色々混み合った殺し合いになりがちですからね。
■2ラウンド目:リズ
リズ : ご主人様に……(ころころ)、う、出目3!?
アル : それなら避ける目が……(ころころ)、って、こっちも出目3です!? 残りHP11点です……。
GM : いや、出目に気持ちが出てますね。
続く3ラウンド目、アルは気絶しているリコリスにトドメを刺そうと追撃するも、リコリスがギリギリで生死判定に成功。返す手番でリズの攻撃を受け、気絶した。
雪舞う森林で人知れず行われた死闘は、こうして決着した。
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