3-12:四週間目、Day5,6~決断~

■5日目

5日目である。予定は以下の通り。

・ソレル&アル/ご馳走

・シエル&リズ/お出掛けwithサリュ

朝食のシーンで、蛮族の存在をオーウェンに共有することになった。


GM : どんな感じで切り出しますー?

リズ : 「オーウェン先生、ご報告があります」

オーウェン : 「ん?」

リズ : 「昨夜、リコリス様が発見された哨戒地点の探索に出かけましたら、ディアボロカデットがおりました」

オーウェン : 「……は? いやちょっと待て、状況を教えてくれ、どういうことだ?」

リズ : 「魔人が洞窟の奥に立てこもっていました……が、状況を鑑みて倒すのは見送りました」ということでかくしか。


GM : ではオーウェンは色々聞いた後、「ディアボロの、カデットか」とため息をつきます。


オーウェン : 「まあ……そうか。そうなるよな」

シエル : 「先生、何か知ってるんですか?」

オーウェン : 「リコリス、お前この前陣の屋いったよな? なんでこうなってるかは、わかってるよな?」

リコリス : 「……巫士がいないからですか」

オーウェン : 「そ。お前には悪いからって黙ってたんだが……次の巫女の選出が難航してる。で、こうなってるわけだ。逆に言えば、これまでお前が守っていた間はこんな事件は起きなかった。お前のおかげで、この島は守られてた。……ルフランの巫女、巫士は、本当にこの島に必要な存在だってことが、お前もこれでよくわかったと思う」とてもやさしい声色です。

リコリス : 「…………」

オーウェン : 「で、悪いな。こっちの話だった。……カデットだったっけ? そりゃ大変だ」といったあと、サリュの方をちらっと見て「……心配すんのはもっともだ。こんな大事な時期に不確定要素はこっちも入れたくない。残念だが、とりやめにしたほうがいいんじゃねーか? サリュ」

GM : と、オーウェンは皆さんの方を見ながらもサリュに話しかけます。何が、とは言いませんが。


サリュ : 「……はい。理解、しております」俯いて、寂しそうにしています。

アル : 「で、でも!ぼくたちが頑張ってそのカデットをなんとかすれば……!」

オーウェン : 「あと3日で? あっちもあっちで逃げ出してない保証はない。それまでに見つけて、退治して。で、こっちの準備もして……って時間はあんのか?」

アル : 「じゅ、準備はほとんど終わってますし、向こうはもう来るなって言ってましたし、それだったらまだあそこにいるかもですし……」

リズ : 「ええそうです。明日のお食事の準備ですとか繕い物ですとか、お手伝いはほぼ終わっていますかと」リコリスに聞かせるつもりで言います。

ソレル : 「よく寝て休んで英気も養ったし、遅れは取らないよ!」

リコリス : 「???」


サプライズパーティだから、リコリスは当然知らないのだ。


オーウェン : 「……まあ、そこまでいうなら、とりあえず倒してきてもらえるか?……俺としちゃ、まあ別に鬼でもないし、絶対にやめろとは言わないが」

サリュ : 「……そう、そうですね。シラン様にもカルミア様にも、招待状を出してしまいましたし」力なく笑みを浮かべますが、フォローされてちょっと嬉しそうです。

オーウェン : 「じゃ、頼むぜ?」


ソレル : カルミアも来るの! と密かにテンションが上がっています。

GM : というわけで、貴方がたはひとまずパーティの開催をかけてディアボロカデットを探しに行くことになります。ともあれ、今日は準備から始めていきましょう!


ここで、ご飯作成組が判定。無事、ご馳走の準備を完了する。そして、続いて『見えない壁』調査組に描写が移る……。


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サリュ : きょろきょろ。舟を動かしながら、油断なく周囲を見回しています。

シエル : 途中で謎の壁にぶつかると聞いて、そわそわしてる。

リズ : 「近くまで来たら減速してくださいね。みすみす落ちたくはないので」

サリュ : 「はい。……この辺り、でしょうか」


GM : あなた方は無事、またところてんのように押し出されそうになりますが、リズさんの的確な指示により船から落ちる前に船が停泊します。

リズ : シエルも衝突しますか?

GM : しますね。壁についてちょっと調べてみましょう。冒険者+知力/13です。

リズ : (ころころ)……失敗。

シエル : (ころころ)……ぼくも失敗だ。運命変転を使うよ。

GM : ではシエルさんは、以前海岸洞窟で見た『見えない壁』の感じとそっくりじゃないか? ということに気づきます。よくよくその観点でみると、あなた方が壁を触った瞬間、海の中でなにか魔法陣的なものが光っていることに気が付きます。


リズ : 「ソレルさんにも来ていただくべきでしたね」

シエル : 「そうだったね」

GM : ちなみに森側も壁はずーっとあります。ずーっと直線というより、若干曲がってる、かな?くらいには思いました。

シエル : めっちゃ調べまわった。

GM : ちなみにこれを無理やり破ろうとその辺の木の棒とかで殴ると、普通に石を殴ったような感触がします。枝を投げてみると、そのまますり抜けます。


サリュ : 「なんと。ほんとにあるのですね、壁」

リズ : 「触れているものがダメみたいですね」銃で撃ってみます。

GM : うーん、凄い悩ましいんですが……弾かれるかな……。

リズ : 「跳弾しましたね」

シエル : 「弾かれたねえ」魔法陣はどんな感じ?

GM : 魔法陣はですね、シエルさんが以前見たのと同じように、目と渦を象ったモチーフに見えます。どことなく、ルフランの聖印に似ています。


その後、暫く調査を進めるが壁を破る方法は見つからず。一行はへとへとになりながら帰路についた……。


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■6日目

6日目。冒険者たちはパーティを守るため、先のディアボロカデット討伐を決めた。向かうのは、西の海岸洞窟だ。


GM : というわけで洞窟ですが、誰もいません。もぬけの殻になっています。

アル : ですよねー……。

GM : 最低限の備蓄品なども持ち去られており、おそらく別の場所に拠点を移したのかと思われます。

ソレル : 何か痕跡とかないかな。

GM : うーん少なくとも、ディアボロカデットがいた部屋は綺麗になにもありませんね。逆に、何か知りたい情報はありますか?

ソレル : どっちの方向に移動したかとかがわかるといいんだけど。

GM : それはね、南の方に続いてます。追っかけます?

リズ : 追いかけましょう。

GM : では、君たちはそのまま海岸線沿い(崖の上)を進み……見えない壁に頭をぶつけます。こっちにもありやがった。

ソレル : そんな気はしてたけど……

アル : おしまいですね……。


シエル : 「昨日もこの壁感じたけどさ。これもしかして地続きだったりするのかな?」

リズ : 「現状ではわからなさそうですね。足跡ももう追えませんし、戻るしかないでしょうか」

GM : リコリスも連れてきてもらってるらしいので居ますが、じーっと壁を見ています。

サリュ : では私も一緒にいます。

リコリス : 「サリュ、これ……」なんか目くばせします。

サリュ : 「はい」


暫し、秘匿チャットでこそこそ話をするGMとSGM。


シエル : 「リコリス、これがなにか知ってたりしない?」

リコリス : 「………………いや、気のせいだった」

GM : すーっと目が泳ぎましたが、リコリスは壁に背を向けます。

リコリス : 「帰ろっか。あいつらを追いかけられないなら、またいろいろ考えなくちゃいけないし」

サリュ : 「はい。あまり出歩いては、危ないですから」

ソレル : 「……そうだね、今日はこれ以上はどうしようもなさそう」

リズ : 「では、行きましょうか」


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■7日目


GM : さて、準備はもう大体できてますが……。

オーウェン : 討伐できた?って顔で見てくる。


リズ : 「生憎ですが、我々では通れない壁の先に逃げてしまったようです」

アル : 「ごめんなさい、できませんでした……」

オーウェン : 「……サリュ、どうする? お前にとっても大事な会ではあるからな。後悔しないように、お前の意志も聞いとくよ」

サリュ : 「……致し方ありません。皆さまの、リコリス様の安全には変えられませんから」

リズ : 「……なんだか、随分重い言い回しですね」

オーウェン : 「だって大事なんだろ?」お前らにとってはそうじゃねーの?

リズ : まあ、そうですが。

サリュ : 「皆さま、お世話様でありました。お手をお借りいたしましたこと、感謝申し上げます」


従者は冒険者たちに深々と一礼し、退出していく。その背中は寂し気だが、何処か吹っ切れたようでもあった。


GM : さて、本日いかがいたしましょうか。明日が決行予定日ではありましたが……言い出しっぺのサリュがなんかしょぼくれております。

アル : 慰めたいです……!

SGM : どうぞ。サリュは厨房でしょぼしょぼしてます。


アル : 「サリュさん、ごめんなさ……」まで言いかけて「いえ、元気出してください!きっとまたできますから!パーティー!」

サリュ : 「……いえ、有難うございます。皆さまにも、ご面倒をおかけしました」台詞は気丈ですが、声は弱弱しいです。

アル : 「いや、面倒なんかじゃ……。楽しかったですよ、みなさんとの準備」

サリュ : 「ふふ。……やりたかったです、お誕生日会」

アル : 「今回作った飾りは、今回の騒動が終わった後に新年のお祭りとかで使いましょう? ……ぼくたちも、お手伝いしますから!」

サリュ : 「……ふふ。それは、楽しみです」

アル : 「それでこれどうしましょうか……しばらく保管しとかないとですし、ぼくたちの部屋も使いましょうか?」(飾りやらレクリエーション用の諸々を見ながら)

サリュ : 「むー、確かに。空いてるお部屋にでも入れておきましょうか。一応、場所をオーウェン様にもお伝えしておかないと……」

アル : 「リコリスさんにも気づかれないような場所にしないとですね……サリュさんの方が詳しそうですし、お願いしますね」

サリュ : 「はい。……有難うございます、アル様」

アル : 「どういたしましてです。がんばりましょうね!」


ということで、飾りはアルと一緒に黄の間に仕舞われるのだった。


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リズ : ライティア様のお部屋に行ってパーティの中止のお知らせをしに行きます。お部屋にいらっしゃいますかね?ノックして入れてもらいます。

GM : ではドア越しに「誰?」と聞いて。リズさんだと分かると、しぶしぶながらも開けてくれます。

リズ : 「すみません、お休みのところを。かくしかでパーティが中止となってしまったことをお知らせに参りました」


ライティア : 「はぁ!? ……ああ、でも、リコリスには内緒のままなのでしたっけ。ディアボロカデットくらい別に警戒するまでもないと思いますけれど。ま、サリュが決めたのであればそれで良いわ。わたくしはわたくしで勝手に祝わせてもらいますわ」

GM : と、そこでちょっとふふんと笑って、出来上がっているぶきっちょなマフラーを見せてくれます。

リズ : 「まあ! これはリコリス様もお喜びになりますね!」

ライティア : 「でしょう!」得意げ。

リズ : 「ええ、本当に。中止になってしまったことは残念でしたけれど、こちらをお贈りになれば喜ばれることでしょう。……オーウェン先生には、用意した飾りの色遣いを見て『葬式か』とか言われましたけどもね」

ライティア : 「………………………」

GM : ライティアは、一瞬じっとリズの目を見ます。ここまでまっすぐに目があったのは、初めてかもしれません。

リズ : 「……どうなさいました?」

ライティア : 「……あのと、……いえ、あの男、そんなこと言いましたの」

リズ : 「はい。無礼ですよね?」

ライティア : 「ええ、無礼だわ。……とてもね」

リズ : 「……どうかなさいましたか」

ライティア : 「いいえ。そんな不快な話はやめてしまいましょう。第一、どっちの意味だとしてもそんなことにはさせませんもの。わたくし明日のために入念に準備をしますから。話しかけないでくださいましね」

リズ : 「なにか、出来ることがあれば、お声がけください。我々は冒険者です。依頼があれば、出来うる限り協力するのが仕事ですから」


GM : では、そのままきぃと扉を閉じ……閉じかけて、2ミリくらい扉が開いた状態で、その向こうから声がかけられます。

ライティア : 「……まあ、貴方の働きは十分でしてよ。これ以降はわたくしたちの務めですもの。つまり、心配するなってこと。その気持ちだけ、ありがとう」

リズ : ……何か言いかけて、戻ります。

ソレル : デレた。やっぱり積み重ねてきただけのことはあるってことだね!

リズ : 「……何か、お知りになっていらっしゃいますね。一体、何が起こるというのでしょうか」

GM : さてさて。それでは夜になりますが、NPCの会話イベントが挟まります。


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7日目の、夜のことである。エントランスロビーで、ぼんやりとサロンを眺める者がいた。

メイド服の従者、サリュである。

そこに、イーゼルに白布をかけて持ち出している、オーウェンが通りかかる。


オーウェン : 「……お。ねむれねーの?」

サリュ : 「……」

オーウェン : 「やっぱ、ちょっと残念? 最後のご奉公だもんな」

サリュ : 「……いえ」とかぶりをふる。

オーウェン : 「俺も、まあ若干残念かもな。ちょうどいいから、パーティすんならそこで“これ”をお披露目しようかなって思っててさ。……正直突然湧いて出てきたときは何のつもりかと思ったが、まあ、悪くないやつらみたいでよかったよ。なあ?」

サリュ : 「……はい。大変、良くして頂きました」


オーウェン : 「こっちも調整は終わってる。リコリスには、明後日話すつもりだ。いいな?」

サリュ : 「はい。いつでも。準備は最初からできております」

オーウェン : 「だよな。しかし、はは。今になって、ライティアがお前の顔見てキレた理由がわかっちまったから、お前にもライティアにも若干、小指の先ほど、申し訳ないって気持ちになってんのが居心地悪いけどな」

サリュ : 「……?」

オーウェン : 「同じ顔して、違う表情で笑われんの。やっぱ気持ち悪ぃよ」


ソレル : そこがいいんじゃないんですか……?(PLの趣味)(一同笑)


サリュ : 「……それは、失礼を致しました」

オーウェン : 「いーやー? 俺がキモがってんのは、お前のせいじゃないし? 明日明後日はちゃんと寝て、準備万全にしとくんだぞー」といって彼は、サリュの頭を撫でる。

サリュ : 「……心得ております」


GM : オーウェンは、そのまま食堂にイーゼルを持っていきます。サリュは暫しぼーっとしてから、すたすたと部屋に戻ります。7日目の夜は、そのまま更けていきます……。

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