3-11:四週間目、Day4~夜の戦闘~

夜。

冬の海岸から吹きすさぶ風は冒険者たちの肌に、切りつけるような冷気をもたらす。

寒さに耐えながら、冒険者たちは眼下の崖を覗き込む……。


GM : そういえば今って、ランタンとかたいまつとかってつけてます?

シエル : 僕が松明をもってるよ。後衛神官だし。

GM : ではあなたがたが崖下を覗き込んだ瞬間、松明めがけて小さな矢が飛んできます。回避どうぞ。

シエル : (ころころ)……くっ、失敗。ダメージは5点か。腕をかすったよ。

GM : それとともに、崖下の方から「敵! ばれた! ボスに伝えろ!」という汎用蛮族語の指示が聞こえてきます。崖下に、海岸洞窟に似た洞窟があるようですね。


シエル : 「どうやら奴ら、頭領を呼びに行ったみたい!」

ソレル : 「崖下まで行ってみるのがよさそうかな」

アル : こくこく(頷く)(獣変貌のため共通語が話せない)。

リズ : 「そのたいまつ、囮代わりに置いていきます?」

GM : かしこい。

シエル : 「それはいいかも。というか、僕が何も考えずに松明付けたせいで相手にバレちゃった、ごめん……」

ソレル : 「後悔しても仕方ないし、松明置いておいかけよう!」

アル : 「わふわふ(シエルさんは悪くないですよ)」

リズ : 「見えなくてすっころばれてても仕方ないですから。さ、いきましょう」


崖は6m程度あるが、ロープを括りするすると降りていく面々。途中リコリスが落ちてダメージを負ったが、特に問題なく崖下の洞窟を発見することができた。洞窟からは、フードを被った小さな影が矢を射かけてくる。


GM : 魔物知識判定は……成功ですね。アローフッド、貴方がたの敵ではないでしょう。彼らは貴方がたに蹂躙され、洞窟に逃げ込んでいきます。


リズ : 「追いましょう。やったからには殲滅しなくてはいけません」

ソレル : 「ん、おっけー」

アル : おそるおそる奥へ進んでいきます。

シエル : わき道からの奇襲に気を配りながら進みます。


冒険者たちが侵入した洞窟は、何処か空気が淀んでいた。立ちふさがる蛮族は冒険者たちの脅威ではなく、演出だけでザクザクと倒されていく。その様子に、リコリスは感嘆の声を上げながらついていく。そうして、しばらく進んだ奥。


「ああ、いやだいやだ……」


GM : ぼやきのような声が、汎用蛮族語で奥から聞こえてきます。短い指示のような声が聞こえると、君たちの前に2体の蛮族が立ちふさがります。


戦闘である。敵はフーグルアサルター2体。出目が振るわず先制を譲るも、リコリスの援助もあってか危なげなく倒すことができた。


----------


GM : 君たちがフーグルアサルターを倒すと、フッドたちは蜘蛛の子を散らすように逃げていきます。奥には、扉が一つ。先のフーグルに指示を出した声の主は、恐らくそこにいるのでしょう。


扉を開ける場合は、鍵開け判定に成功する必要がある。逆に言えばこちらから何もしなければ開くこともないとアナウンスがあり、冒険者たちはいそいそと回復に努めることに。そうして回復した彼らは、鍵を開け部屋に突入した。

そこはこじんまりとした部屋のようで、ベッドの上には一人の青年……のような何かが、体育座りで蹲っていた。


??? : 「ああ、いやだいやだ……貧乏くじだ……■■■■■」


彼は汎用蛮族語で泣きごとを言った後、未知の言語で吐き捨てるように呟いた。どうやら、魔神語であることだけは分かる。


シエル : 「お前、ナニモノだ?ここで何してた?」汎用蛮族語で話しかけます。

??? : 「……それ、お前に言う必要あるかなぁ。言ったら大人しく帰ってくれる?」

シエル : 「そう見えるか?」

??? : 「だよねえ。ああ、やだやだ……」


GM : 魔物知識をどうぞ。……成功ですね、ディアボロカデットです。ちなみに、青年はものすごくやる気がなさそう。隣にはフーグルアサルターも1体います。

ソレル : 「……どうする?」

アル : 「わふぅ……」ちょっとしっぽがしなってなってる。


暫し悩む面々。ディアボロカデットは、今の冒険者たちにとっては脅威だ。GMから「逃げてもよい」とアナウンスがあったのもあり、ならば、と交渉を始めることに……。


シエル : 「貧乏くじとは何の事だ?お前らの集団が他の場所にもいるのか?」

??? : 「だから、それって私が答える必要あるのかねえ」

シエル : 「答えて俺らが満足したら帰る、と言ったら?」

??? : 「……じゃあ、私が一言答えたら、君たちはこれ以上一言も言葉を発さず、まっすぐに家に帰る。そして二度とここにはやってこない。それを違えたらこの場で流石に殺す……ってのはどう?」


シエル : 「……どうする?」翻訳します。

リズ : 「とりあえずイエスって言っといて、ダメだったら攻撃すればいいんじゃないですかね」

ソレル : 「話が通じる相手とも限らないからね」

アル : 「わ、わふぅ……(約束を破るのは……)」

シエル : 「りょーかい、とりあえず肯定しておくね」

??? : 「そう。じゃあ、答えるね。ところで私が『じゃあ帰って』っていったら帰ってくれよ。それ以降に私に話しかけてきたら攻撃するから」

GM : といってから。ふぅ、と悩ましげに首を傾げ語り始めます。


??? : 「私はねえ。この島に来いと言われたから来てるだけで、正直ここをわざわざ取り返すつもりはないんだよね。かつての蛮将・ファスティでさえも落とせなかった岬だろ? そもそもここ、我々とは近しい香りがするし。……ってわけで正直やる気はないんだが、命令は聞かなくてはいけないのが下士官のつらいところだよ。だから私は動いている。……うん、以上だね。『じゃあ帰って』?」


シエル : 「……」パーティーに向かって後ろの扉に親指を指すよ。

リズ : 頷いて移動します。

ソレル : あでゅー。

アル : カデットの方をちらちら見ながら帰ります……。


GM : 彼は、やる気なさそうに手を振ります。君たちは無事、脱出することができます。


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GM : では、君たちがディアボロカデットの部屋を後にしてから。


リコリス : 「……倒さなくて、いいのかな。いやでも、強そうだったし……危ない橋は、って話だよね……」

シエル : 「もちろん倒した方がよかったとは思うよ。でもあいつ、自分の事"下士官"って言ってた」

ソレル : 「命あっての物種、ってやつかな」

シエル : 「あいつの上司が存在してるってことだし、何より恐ろしいのが蛮族による組織的な侵略の可能性が高い」

リズ : 「倒した後次の者が来られてもいやですね」

リコリス : 「そうか、そういうものか」血の気は引いてるけどちょっと感心してます。

アル : 「わふ……」しっぽと耳がめっちゃしゅんとしてます……。


GM : いずれにせよ、君たちは少しけがを負っている。今日は休んだ方が得策でしょう。屋敷に戻り、対策は明日話し合おうと決め、ベッドにもぐりこみます……。

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