2-12:そうして夜は更けていく

GM : 次の瞬間君たちは、見たことのある廊下に佇んでいました。


ソレル : 「戻ってこれた、かな?」

アル : 「みたい……ですね」

シエル : 「さて、先生にどうやって説明すればいいんだろ……」

GM : では、君たちがそういってあたりを見回していると……がしゃん、と何かが床に落ちた音がしました。


オーウェン : 「お前ら……!!!」

アル : (素早くリズの後ろに隠れる)


少し先の、エントランスロビーにでもいたのだろうか。こちらを発見したらしきオーウェンが、ずんずんと大股に歩み寄ってくる。


オーウェン : 「一週間もいなくなるとか聞いてねーぞ!?おい、リコリスは……!」顔面蒼白。

リズ : 「おや、一週間もたっておりましたか」(首傾げ)

ソレル : 「……一週間!?ほんと!?」

シエル : 「い、一週間???そんな長い間僕たち潜ってないですよ!?」リアル時間と連動してる(一同笑)


オーウェン : 「嘘つけ、こっちは一週間たってんだ!ちゃんと迷宮内で休める場所はあったか!? 睡眠取れたか!? 食事もちゃんととれたか!? 健康面に問題ないか!!?」

アル : おかあさん……。


SGM : ではそこにパタパタ、と足音が近づいてきて、サリュがひょいと顔を出してきます。

サリュ : 「オーウェン様、どうかされ―――」リコリスたちを認識する。……ぶわっ。


サリュ : 「り、リコリス、さま……。よくぞ、ご、ご無事で……。う、うぇ……」よよよ。

リコリス : 「わ、ちょっと!?」オーウェンから隠れるように皆さんの背中に隠れていたんですが、流石にぎょっとして出てくる

リズ : (むしろ一番はっちゃけて魔法撃っておられたんですがねえ)

ソレル : 「迷宮の中は時間の流れがおかしかったのかもしれないね、迷宮の構造も変な感じだったし」

GM : 時の迷宮ですからねぇ

アル : 構 造 も 変 で し た 。

リズ : 「も」の力強さ(一同笑)

GM : 沸き起こるガバ。重なる構造。

アル : 爆発するガバポイント。

SGM : 辛い事件だったね……。

リズ : (GMが)辛い事件でしたねぇ。


サリュ : 「ご、ごぶ、ご無事なようで何よりです……。リコリス様になにかあったら、サリュは、サリュは……」ぶわっ。

リコリス : 「大丈夫、大丈夫だ! その、自分でちゃんと準備していったから食事とかもとったし、なんだったら普段より楽し……」

オーウェン : 「ほう」ヌッ

リズ : 墓穴を掘っていくイケメン

オーウェン : 「無理やり連れ去られたのか、それとも普通に行方不明か……と心配していたが、必要だったのは心配よりも叱り方の模索のようだったな」ゴゴゴゴ

リコリス : 「あっ」

ソレル : あちゃー、って顔

アル : 「えっと、リコリスさんを連れ出したのはぼくたちなのでそんなにリコリスさんを怒らないでください……」リズに隠れながらも顔を出して

シエル : 「そう、オーウェンさん、違うんだよ。リコリスは僕が、僕たちの方から冒険に誘ったんだよ」

ソレル : このPT純粋すぎるな……。

リコリス : 「いや、違う!僕がついていったのであって、いや確かにシエルは誘ってはくれたけど僕が自分の意思でだね!」

リズ : (お口チャックで目をそらしている)

GM : みんな純粋……。

リズ : ですが、ライティア様には後で謝罪に行かねば。



オーウェン : 「…………オーケーわかった。つまり、お前ら冒険者が悪いわけではない。かといってリコリス一人が悪いわけでもない」


「全員が悪い、な?」


アル : びくっ

サリュ : 「……私、お風呂ご用意してきますね」ささっと退散。

ソレル : 「……まあ、そういうことにしとこう!! うん!」

アル : 「お、お手柔らかにおねがいします……」

シエル : 「ツライ……」無言で正座


オーウェン : では、そこからしばらくオーウェンより、たいへん静かな低音で、どれだけ館全員が君たちを心配したか、いやまぁ迷宮だから不測の事態もあるだろうけどせめてリコリス連れてくなら一言言っていけ、保存食とか追加分渡すから……などのお説教があり。

ソレル : 反省。

リズ : ど正論。

シエル : 言い返す言葉もありません。

アル : ぐうの音も出ません……。

オーウェン : 「……まあ、迷宮の中と外の時間がずれてたっつーのはこっちも予測してなかったのが悪かった。それに関してはなんも言わねえ」

「お前らが言う”冒険”っつーのはそういうもんなんだろ。それにぐちぐちいってもしゃあないわな」

「だから俺が反省してほしいのは、リコリス勝手に連れ出した件だけ。優しいだろ?」にっこり。


リコリス : 「それはみんなというか僕が……」

シエル : 「ウッス、ホントすんません……」

ソレル : 「オーウェンがどれだけ心配したのかはよくわかった……」

アル : (無言でぷるぷる震えてる)

オーウェン : 「……一週間で済んだから、まあ、よかったよ」それ以上になってたら……」と言いかけて、首を振り。「ま、過ぎたこと言ってもな。いずれにせよさっき誰が悪いとかじゃなくて全員悪いってことで固まったわけだし」


オーウェン : 「全員、反省の代わりに、オーウェン先生の頼み事聞いてくれるよな?ってわけで全員、おとなしく俺の趣味のモデルになれ」


ソレル : 「趣味……?」

アル : 「人体実験とかじゃないですよね……?」

シエル : 「肖像画?」

リズ : 「絵ですか?」(くわっ)


オーウェン : 「そ!! 覚えててくれて嬉しいねえ!!」

「薬師兼画家兼教師って名乗っただろ? それがさぁ、館の奴らと来たら「眠い」だの「仕事がある」だの「黙ってるのしんどい」だの言って逃げ回りやがるんだわ!」

リコリス : 「だってしんどいじゃないですか……」

アル : めっちゃウキウキしてるオーウェンさん。

オーウェン : 「というわけで、早速下絵に入るから、お前ら風呂入ったらサロンに集合な!……あ、ついでにライティアあたりも説得して連れてこい。ちょうど夕方だし、いいころ合いだろ」


リズ : 「承知いたしました」

シエル : 「あのー、僕たち冒険で疲れたので、また後日というわけにはいかないですかねー?」

オーウェン : 「はっはっは。誰のせいで時間ないと思ってんだ?あん?許さん」


GM : 来なかったら殴るからなー、といって手を振って、オーウェンは鼻歌を歌いながら去っていきます。

ソレル : 「とりあえずお風呂、いこっか」

リズ : 「はい」

アル : 「ですかね……」


GM : そんなわけで、君たちはお風呂に入って、戦いの汗を流した後。サロンに集められて、オーウェンの絵のモデルになることとなりました。……ちなみに、ライティアって連れてきます?

ソレル : 仲いい人におねがいー。

リズ : 誘いに行きます(挙手)

GM : ちなみにどうやって誘います?


リズ : 反応見ながら、と言いたいところですが……「実はこの度の冒険でリコリス様が罰則をうけることになりまして。ライティア様が一緒ならオーウェン先生のご機嫌がよろしくなるかも、と仰せつかりました」


ライティア : 「リコリスが、罰則? オーウェンに!? 何考えてるのあのト……っ。……ああいえ。淑女らしからぬ言葉遣いになるところでしたわ、失敬」

アル : かわいい

リズ : 「というわけで、お顔だけでも出していただけませんでしょうか。リコリス様のために」

ライティア : 「……ほんとに、わたくしが顔出せば機嫌が良くなるのかしら……」

リズ : 「本人がそうおっしゃいましたから。ただ、遅参すればご機嫌が損なわれる確率は高いかと。よろしければ」とそのまま連れていこうとします。

ライティア : 「オーウェンはどうだか知りませんけれど、リコリスはどうせ、わたくしと居るより、あなたたちと居るときの方が笑って……」と、ぼそっと呟く。

リズ : あ、せつない。


アル(のPL) : ほぉーん?????????????

シエル(のPL) : おっっっとぉぉぉぉ??????

アル(のPL) : なるほどなーーーー???????


急によく分からない方向に盛り上がるPL達。余談だが、PL達のうち数名は負けヒロインが大好きらしい。


ライティア : 「まあ、夜の間だけならつきあってあげなくもないですわ。その代わり貴方、わたくしの編み物の手伝いをするのよ?」

リズ : 「ええ、勿論。心をこめて」

ライティア : 「結構。わたくしの貴重な時間を使おうというのですからね。当然ですわ!」では、ライティアも合流します。


リズ : そういえば、まだ「自動人形」と呼ばれたことを主人に報告してないのですよね。そのうちやりたい。

ソレル : 反応が気になるね。


GM : ではそんなことで君たちは無事、絵のモデルになることになったのでした。

シエル : 集合絵?それとも個別?

GM : 集合絵ですねー。全員、一つのソファを囲むように座ったり立ったりされるように指示されてます。

ソレル : このGM、SGMに集合絵スチルのお仕事出してたりしませんか。


実はその通り。勘の良いPLは嫌いではない……、リプレイでは省略したがPL達に自PCの身長を聞いて回ったりしていたので、大体察せられていたようだが。


オーウェン : 「あー、そこの嬢ちゃん、後ろに立つとちっちゃくて顔見えねーな。ソファに座ってくれ」>アル

アル : 「あっ、はい。分かりました」ちょこん

リズ : (ソファ席はメインも同じ。よき、良き位置取りですご主人様)

ライティア : 「やだ、貴方ちょっと離れてくださいます? 勝手に触らないでくださいまし」ぷいっ

リコリス : 「これ以上離れたらアル空気椅子になっちゃうだろ。我慢してくれよライティア」

アル : 「ぼく、それでもいいですよ……?」頑張って空気椅子しようとするけど筋力がないのでぷるぷるしてます。

リズ : (椅子になるべきか考えている)


リコリス : 「まったく。あれか、こういう時は『僕のために争わないで』ってやるべきやつか」

ソレル : 「いや、尚のこと事態が悪化するから!」

リズ : 「ならば、ソファの横に立っているわけにはまいりませんかね。前列なら問題ないでしょう」

ソレル : 「私はソファの後ろかな。端っこの方がいいよね?」


そうして場所決めが始まった。……が、実はSGMはセッション裏で既にイラストを描き始めていたので、うっかり立ち位置が想定と変わるのではと内心気が気でなかった。ある程度の手直しは覚悟の上だが……。


シエル : 「僕もソファの後ろかな。もちろんリコリスはソファ後ろ組のど真ん中に並んでくれるよね」

リコリス : 「ああ、じゃあそうしようか。身長的にも……」

リズ : 「おや、ライティア様のお隣ではないので?」



[秘匿(GM→SGM)] GM : おや?リコリスが後ろに呼ばれてますよ?

[秘匿(SGM→GM)] SGM : させるかよ!いけ、ライティア!押せ!



ライティア : 「そう、リコリスはわたくしの隣よ。何言ってるの?」

リコリス : 「ええ……。でも後ろと前になると、描かれてる間シエルと話しづらいというか」

ライティア : 「わたくしと話してればいいでしょう!?」

リコリス : 「いやでも、ライティアとは前から話してるし……」


リズ : お、自分で言えましたね。偉いですよ。

アル : (和やかに眺めている)

シエル : 「……ああ、リコリスにそう言ってもらえて嬉しいけど、これは僕の配慮が足りてなかったね。」

ソレル : ライティアの恋路を応援し隊のみなさん!


リコリス : 「む、なんだよシエル」

リズ : こっちは察してください!!!

シエル : 「(1週間も会えなくて寂しかったんだろ、きっと。隣にいてやったらいいんじゃない?)」と小声でリコリスに呟きます。

リコリス : 「(寂しい?誰が?)」


アル : この人は……。

シエル : 「(い、今の話の流れで分からないのか?ともかく、悪いこと言わないからソファの前に座るといいんじゃないかな)」

リコリス : 「……まあ、じゃあ、そういうなら……。その代わりシエル、前と後ろになっても、ちゃんとこっちの方見ててくれよ?誰にも見られてない状態でしゃべるの、結構寂しいんだからな」

シエル : 「もちろん、だよ!」

リズ : (もうこいつシエルに惚れているのでは?という表情を浮かべる)


オーウェン : 「はいはい、じゃあ場所決まったな? ……アル、それでいいのか? いや、いいなら描くけど」

アル : 「も、もう限界……です……」空気椅子に耐えかねて崩れ落ちる。どしゃっ

ソレル : あらあら。

リズ : 「ご主人様!?大丈夫ですか?やはり椅子(自分)をご用意すべきでしたか!?」

アル : 「きゅ~」

シエル : 椅子(自分)。

GM : これ、「自分」がルビなので誰もおかしいことに気づけないのが問題なんですよね。表面上は真っ当なこと言ってるように聞こえる!!

ソレル : おそろしや……。

リコリス : 「だからもう、ほら座って!アル、生きて!!」


そんな風に、賑やかな時間が過ぎていく。笑い声。呻き声。様々な、けれど一様に朗らかな声が、館のサロンに響いていた───。




冒険者たちは迷宮を踏破し、魔剣ポシビリタスを手に入れた。

かの魔剣こそは、このキャンペーンの鍵。漆黒の針剣は未だ、その全てを明らかにはしていない。しかしこの日を切欠に、物語は更なる時を刻むことになる。

今回もお付き合い頂き、誠に有難うございました。

それでは、また第三話でお会いしましょう。

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