2-11:時間と可能性の魔剣

絡繰仕掛けの舞台の上。

しんと静まりかえるその場所に、シエルとリコリスのハイタッチの音が響き渡る。

雷の幼竜は幻の如く霧散し、この場には冒険者たちと、一振りの魔剣が残された。


ソレル : 「これが原因の魔剣かな?」触らずに眺めている。危ないからね。


周囲を見やれば、ここが迷宮の終点であることは明らかであった。であればソレルの言うとおり、目前の長針の魔剣こそがその主と見て間違いないだろう。子どもの背丈程度の黒き刀身は深淵より淡く、夜闇より昏い。そのかたちは、何処となく時計の針を思わせた。

……魔剣は使い手を求める。誰かがそうならねば、魔剣の迷宮が閉じることはない。その時を待ちわびるかのように、針の魔剣は淡く輝いた。


GM : さて、いかがいたしましょう?

シエル : おかえりソードワールド。

アル : ソードワールド、鈍器の方が強いですからね……。

ソレル : メイスワールド、なりがち。

リズ : この世は3本の鈍器から作られた(一同笑)


GM : 魔剣にの特性について、判定ができます。[見識判定/10/14/18]になります。上二つは「今はわからないかもしれないけど一応目標値出しとくね」の目標値です。


ソレル : 「なんか分かる人いない?」わかんないの顔。

アル : 「ごめんなさい、分からないです……」平目勢。

シエル : 「リコリス、この魔剣について何か知ってるのかい?針の魔剣、とか言ってなかった?」

リコリス : 「いや、この魔剣自体を知っているわけじゃないん、だけど、その……」リコリスはちょっと歯切れが悪い。

ソレル : 「うーん、よくわかんないけど、綺麗な剣だよね」まじまじと不思議な剣を見つめます。剣の恩寵を使って……(ころころ)、達成値10!


GM : では、この魔剣の特性がわかります。


---


■領域魔剣"ポシビリタス"

時計の長針のような、漆黒の鋭い針剣。

その細さ、脆さ故にこれ単体のみを武器として使用することはできないが、任意の武器に取り憑き、以下の特殊能力を与えることができる。

▶"可能性付加"

戦闘準備タイミングで実行される能力です。

この魔剣の契約者全員は、各人「器用度」「敏捷度」「筋力」「生命力」「知力」「精神力」から任意の能力値を1つ選びます。

選んだ能力値が、戦闘中+6されます。(=ボーナス値が+1され、HPやMPなどサブステータスも増加します)

選んだ能力値は、その戦闘中に変更することはできません。

▶"可能性再生"

半径10km以内における「任意の30日間」の"可能性"を再生します。

なお、この能力によって再生されるのは、あくまであり得たはずの可能性の一部であり、現実世界とは多少のずれが常に発生します。

並行世界の移動能力であり、純粋な時間遡行能力ではありません。SF風にいうと、「並行世界の移動によるタイムリープ能力」。

この能力は、可能性再生が実行されていない場合のみに限り、契約者のキーワード「もう一度」という言葉に反応して履行されます。

■"時空暴走"

この魔剣は、持ち手がいない際、暴走を起こす可能性があります。

領域内に「自分の持ち手となる資格がある」と思われるキャラクターが立ち入った場合、その人物の発したキーワードに反応して”可能性再生”能力を強制的に行使します。


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一気に開示される魔剣の情報を興味深く眺める冒険者たち。"可能性付加"の強さもさることながら、"時空暴走"の記述も気になるようだ。「今回のループはカルミア切欠で暴走したのかな?」───誰かが、そう呟いた。


GM : さて、実はもう一個判定があります。[冒険者Lv+知力/11/15/17]です。……ソレルさんが15まで抜きましたね。

ではあなた方は、目の前で淡く発光する針の表面に、細やかで流麗な文様が描かれている……と気づくのですが。

10に成功したPCは、これが「魔法文明語の文字だ」ということに気が付きます。……ちなみに、魔法文明語読める方いらっしゃいます?


全員 : 読めなーい。

GM : 読めるか読めないかで、達成値15の情報の出し方が少し違います。……では、ソレルさん。この魔剣の文様……文字列の一部に、この一週間でリコリスが持ち歩いていた「聖書」の表紙に描かれていた文字列と、まったく同じような形の文字があることに気が付きます。

ソレル : かしこい。

GM : かしこい。よくわかったね。

リズ : えらいです。


ソレル : 「ここ、リコリスの持ってた聖書と同じ形してない?」と件の文字列を指差す。

リコリス : 「え? ……あ……ほんとだ。じゃあ、やっぱり……」

ソレル : 「やっぱり?」

リコリス : 「……シエルから先ほど聞かれた質問に、今改めて答える形になるけれど。この魔剣、ルフラン神の神像が持っている針とすごく良く似ているのだよ」

ソレル : 「そうなの!」感嘆してる。不思議だね。

リコリス : 「繕いの神でもないのに、なんで針なんだろう、とずっと思っていたのだけど……もしかして魔剣だったのかな、と思ってさ」

ソレル : 「針の魔剣ってことね……」目の前のポシビリタスくんを見つめます。君が神の剣ちゃんかー。

シエル : 「しかし、これがルフラン神の魔剣だったとして、それがどうしてこの館の地下空間に存在してたんだろ?」

リコリス : 「…………何故だろうね。いや、そもそも似てるだけだし、まだそうと決まったわけではないだろうし」半信半疑というか、まさかなーって感じ。

ソレル : まっさかー


GM : ……さて、どうしましょう?抜きますか?抜きませんか?

アル : 「このままだったらまた暴走するかもですし……抜かないとですよね?」

リズ : 「そうですね。先ほどの話では、本来でしたらリコリス様がお持ちになったほうがいいのでしょうが……」もてないだろうな、の目。

アル : モテない男?(一同笑)

リズ : モテたら切れちゃうツンデレがいますからねー。


ソレル : 「ライティアの部屋がまた迷宮になるのも困りものだし」

リコリス : 「……いや、僕はいずれにせよいいよ。武器は持たないし……。もし、もしだよ、本当にルフラン神の魔剣だなんてことになって、それを持つことになったら……先生がなんていうかわからないし」少し口ごもったうえで、一歩下がります。

アル : 「でも、そんな神様の剣だったら縁もゆかりもないぼくたちが持ち主になるのはもっとよくなかったりしません……?」

リコリス : 「それを言うなら、僕もだよ。もう神様云々は出来る限りこりごりだって思ってる奴が持ち主になるのは、ダメだと思うから」


「……だから僕はダメ」


リズ : 「では、うちのパーティで持てる方に持っていただくのがよろしいでしょうか」と主人とソレルを見ます。

アル : (すがるようなまなざしでソレルさんを見る)


そっと始まる、契約者の押しつけあい。実際得体の知れない魔剣なのは事実なので、このRPは自然なものだ。そしてこういう役を買って出る面倒見の良いキャラクターが、この場にはいた。


ソレル : 「私? うーん、そうだなぁ……。いいけど、それこそ縁もゆかりも無いってなると困るから」

「私、ルフラン神について色々知りたい。リコリスと会ったのも、ポシビリタスを見つけたのも、なんかの縁かもしれないからね。……みんなもそれでいいかな?」

リズ : 「では、決まりでしょうか」

シエル : 「ソレルさん、お願いします」

アル : 「おねがいします」


GM : ちなみに、持ち主は一人ですが、「契約者」っていうのは数人イケるので。ご検討ください。

リズ : とっても強いのですが、ロール上どうだろう。どっちのがおいしいか悩んでいます。


リコリス : 「……」ソレルをじっと見た後に「ありがとう」と呟きます。

ソレル : 「ん。こちらこそよろしくね。ルフラン神のこと、リコリスから教えてもらうことになると思うから」

シエル : 「……あー、ソレル。覚悟しておいてね?」

リズ : 経験者は語る。

ソレル : 「急にどしたのシエル」

シエル : 「……いや、何でもない、何でもないんだよ……」口ではこう言ってますが、めちゃくちゃ目がチラチラリコリスの方向いてますね。

ソレル : 「……なにもないならいいけど」

リコリス : 「???」いやー興味持ってくれる人が増えて嬉しいなーと言う顔はしてる。


※なお、話はクソみたいに長い模様。


シエル : 話が長いのは良いんだけど、普通に説明してもらうだけなのに知力判定要求されるのはやばいよ!

ソレル : 「それじゃ、やろっか」ポシビリタスくんをえいやっとします。


───ソレルが魔剣を引き抜いた瞬間、歯車が噛み合ったような甲高い金属音が響いた。それが合図であったかのように、舞台上に吊られた歯車機構がぐるぐると周り始め……遠く、どこかで聞いたような時計の針の音が聞こえ始める。


かち。


かち。


GM : ……しかし今回は、それだけ。やがて周囲は色が溶けるように、真っ白にフェードアウトしていきます……。

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