2-8:館での日々、一週目(Day7)

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……おはよう。誰もいない部屋の片隅に、そう囁く。

そうして何回目かの朝が来た。

代わり映えのない、けれども確かな希望の朝だ。

おはよう、と君の声がする。振り返る。……誰もいない。

わかっている。

朧気な残影に縋ることを笑う者もいるのも知っている。けれど、手放すことは認めない、諦めない。

夢よりは不確かであれど、幻よりは確かな方法が、私の手に握られているのだから。

――そうして幾年が経っただろう。

待ち侘びた日常は確かにそこにある。手を伸ばせば届く距離。

ああ。ならば、どうして悩むことがあるだろう?

この歩みの一つ一つが、君に届く千里の道を往くと信じて、私は一歩踏み出した。


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■7日目/夜


7日目の晩。夕食後のことである。

一週間しっかり食事をとり、しっかり休んだ冒険者たちの体力は、既に戻りつつあった。身体の痛みもすっかり取れた冒険者たちが、寝室に戻ろうとしている頃―――。


オーウェン : 「だーめーだ!」


エントランスロビーの前から聞こえたのは、何処か揉めるような声。どうやら、オーウェンとリコリスが言い合いをしているようだが……。


リコリス : 「何故。ちょっとくらいいいじゃないですか」

オーウェン : 「ちょっとくらい、みたいなノリで許可できることじゃねえんだ馬鹿。もう少し巫士としての自覚をもて」

リコリス : 「嫌です」

オーウェン : 「おい」

リコリス : 「そもそも、巫士の仕事はこの前終わりました。今の僕はただのリコリスです。そうでしょう?」

オーウェン : 「……どうしても気になるんなら、あの冒険者たちに任せとけばいいだろ。わざわざお前が行くまでもない。潜ってきてくださいって依頼でもすれば?ここ一週間様子見てた限り、まあ、悪い奴らじゃなさそうだし……」

リコリス : 「…………なるほど。大変有意義な話をありがとうございました、オーウェン先生」

オーウェン : 「お、おう。とにかく危ないことはやめて……」


ソレル : 「どしたの、ふたりとも」

リコリス : 「ソレル!」

シエル : 「依頼なら喜んで受けるぞ」

ソレル : 「わいわい言ってたから気になってさ。依頼なら任せといてよ。シエルもそう言ってるし」

オーウェン : 「…………ふむ」では、ちょっとだけ悩んだそぶりを見せましたが、オーウェンはふいっと廊下の先を指さします。

オーウェン : 「まあ、話だけでもするか。まあ、いつかはどうにかしなくちゃとは思ってたしな」


GM : というわけで、シエルさんとソレルさん。二人はマップの、「ライティアの部屋」と書いてある場所に連れてこられます。

オーウェン : 「ところで、お前ら魔剣の迷宮って知ってる?」

ソレル : 「あ、うん。実際に行ったことはないけど、話くらいは」師匠から聞いたことある。

オーウェン : 「……お前も?」シエルを見る。

シエル : 「まあ、聞いたことあるぐらいかな。」

ソレル : 「でも、なんで突然そんな話?」

オーウェン : 「そりゃあもう、ここにソレがあるからよ」

ソレル : 「……え?」

シエル : 「館の中に……魔剣の迷宮??」

リコリス : 「屋敷の地下が迷宮化しててさ。わくわくするだろ?」


ソレル : 「……どちらかといえばそう!!」

リコリス : 「だよなぁ!」

ソレル : 「平然としてる二人はすごいね、よくあることだったりするの?」


アル : お気楽ですね……。


オーウェン : 「盛り上がんな。そして、よくあることでは、全然ない。全然ないから困ってんだ。いいか、みてみろ」

GM : そういってオーウェンは「ライティアの部屋」のドアを開けます。勝手に。マスターキー的なもので開けました。

ソレル : 「あ、ちょっと! 女の子の部屋のドアを……!」

オーウェン : 「いいのいいの。この時間、どうせあいつぐーすか寝てるだけだし」


リズ : 余計駄目です。


GM : ……開け放たれたここは、どうやら地下室につながっているようです。いや、正確にはつながっていた、というか。


視界に入るのは、地下室への階段。しかし、階段の側面をふと見やると……。


リコリス : 「ほら、綺麗でしょ」


……時計のような模様の魔法陣が、壁に浮かび上がっていた。


ソレル : 「……ほんとだ。綺麗……」見覚えのある魔法陣ではない?

GM : これはちょっと見たことないですね。

オーウェン : 「こっちの魔法陣があった場所が、本来ライティアの部屋だったんだが……。部屋ごとなんかよくわかんねー魔法陣に置き換わっちまったんだよな。代わりに地下室で寝てもらってんだが。上り下りするのが面倒だ、とあのお嬢さんからすっごい勢いで苦情が来てる」

リコリス : 「だから僕が何とかしてくるってずっと言ってるんだけど……」

シエル : 「劇的リフォームの心当たりは?」


殺風景だったお屋敷の地下室が―――なんということでしょう。スリル溢れる魔剣の迷宮に。


オーウェン : 「…………ないな」一瞬間があったような気がしましたが、首を振られます。

ソレル : 「ないかー」

シエル : 「あったら依頼出さないだろうしね」

オーウェン : 「そんなわけで、こいつが一人で探検に乗り込むってノリノリだから、神官ひとりで迷宮に突っ込む馬鹿がどこにいる、ってさっきから叱ってんだよ」よ、リコリスを指さす。

ソレル : 7レベコンジャラーなら一人で行って帰ってこられるし……。


余談だが、ソレルPLは前衛コンジャラーを愛しているらしい。


オーウェン : 「……ってやり取りを、一週間前くらいからしてるんだが。いい加減こいつが馬鹿やらかさないか見張るのにも飽きてきて、どうしたもんかって思ってたところだった」

ソレル : 「リコリス、私たちでいったほうがいい?」

リコリス : 「……そうだね。やっぱり、本職の人たちに任せた方がいいかなって、先生に説得されて納得したよ。というわけで、君たち、この迷宮いってみない?もちろん、アルとリズにも声かけてさ!」

ソレル : 「わかった。二人にも声かけてみるね」2Fで部屋をノックしてもしもーし。


アル : 「はーい……?」

ソレル : かくかくしかじーか。

リズ : 「しかしか馬うーま、と」

アル : 「まるまるうま……えぇ!?そんなとこにぼくたち住んでたんですか!?」

リズ : 「しかし、偶然にしては出来すぎていませんか。そんな危険なものがそんなところに?」

アル : 「大丈夫なんですか?突然屋敷全体がのまれたりとかないんですか?」

ソレル : 「わかんないけど、絶対ないとは言えないんじゃない?」

アル : 「ひぃ……なんとかしないと……!」

ソレル : 「ということだから、みんなでいこー!」


シエル : これ、リコリスも誘っちゃダメですかね?

リズ : 思ってました

ソレル : ありだね。

アル : いいと思います。


シエル : 「......ソレル、ごめんちょっと待ってくれる?」

ソレル : 「うん。どしたの?」

シエル : 「もう一回リコリスに声かけてみようかなって。彼、一週間も探検したいってごねてたんだろう?それならぱっと出の僕たちに探検場所を奪われるのは複雑なんじゃないかなって」

ソレル : 「一緒に行くってこと? 全然いいけど、オーウェンがなんて言うかな……」

シエル : 「......それは……、まあ、交渉してみないとかな。」

リズ : 「でも、神官が増えるのは歓迎したいところですね。彼の実力のほどはよく知りませんが……」

アル : 「リコリスさんがいてくれれば心強い……かもです」

ソレル : 「その辺もコミコミで相談しないとね!」

シエル : 「オーケー、とりあえず声だけかけてみるよ」


GM : ではリコリスですが、二階にいます。君たちの迷宮探索が決まりそうになったあたりで、フラっと一人で自室に戻ったみたいです。

シエル : お、それならドア越しにノックしてから、話しかける感じでいいですか?

GM : はーい

シエル : 「リコリス、そこにいるかい?いきなりなんだけど冒険前に君に一つ確認したいことがあるんだ。……君も一緒に探検に来たくはないかい?」


GM : では、「来たくはないかい?」の「来たく」くらいでばーんとドアが開きまして……、目の前に、ものすごい顔して背負い袋を担ぎこんだリコリスが立ってます。

リコリス : 「今なんて言った」

シエル : 「い、一緒に探検に来たくはないかなぁって?」

リコリス : 「…………それ、わざわざ言いに戻ってきたのか」

シエル : 「一週間も冒険したいってごねてたんだろう?そりゃ、ちょっと先生に叱られたぐらいで諦めきれるはずないだろうなあって」


アル : この辺り、おとこのこ同士って感じで良いですね

リズ : わかります。


シエル : 「なーに、大丈夫。オーウェンさんは”神官が一人で潜る事”に対して怒ってただけだから。僕たちと一緒なら許してくれるさ!……たぶん……。」

リコリス : 「…………」


GM : ではそれを聞いた後、リコリスは黙ってシエルの肩を掴み、方向転換させたらぐいぐい押します。

シエル : 「え、ちょ、リコリス?」

リコリス : 「行こう。……こっち見るなよ。俺多分今すごい顔してるから……」

シエル : 「お、おう。そうか」


リコリス : 「……怒らないでほしいんだけどさ。僕、実は行く気満々だったんだよね。ただ、きっと誘ってはもらえないだろうから、黙って後ろからついていけばいいかなと。思って……たんだけど……」だんだん声がしぼんでいきます。

リコリス : 「……すまない。なんというか、思ったより……思ったより、ずっとうれしくて。言葉がまとまらないんだが……、ありがとう」

シエル : 「お、おう。……どういたしまして。」恥ずかしいけど

リコリス : 「じゃあどういたしましてついでにもうひとつな。……僕が行くこと、オーウェン先生には内緒だから。止められる前に行くぞ!」

シエル : 「......りょーかい!」小走り


アル : リコリスさん、少年と大人の間にある青年期って感じで良いですね……。

GM : というわけでそのまま皆さん合流して突っ込もうとするわけですが、準備はいいかーい?



アル : お、おーう……!

ソレル : あ、リズにアウェイクポーション1本渡しておきます。「いざという時はよろしくね」

リズ : 「ええ、お任せを」

シエル : 「なーに、神官が二人もいるんだ。そのポーションを使う事はないよ、きっと」

リコリス : 「……だといいなぁ!」

アル : 「シエルさん、そういうのフラグって言いますよ……?」

リズ : 「ところで、リコリス様はどの程度の御経験がおありで?」実力を知りたいです


リコリス : 「…………(笑顔)。あー……まあ、いいじゃないかそういうのは」

ソレル : 「聖印もった?」

リコリス : 「も、持ってる」

リズ : 「いえ、ご主人さまの生存率に直結いたしますので、そこは是非」ずいっと近づく

リコリス : 「…………………引かない?」

リズ : 「おそらく?」

リコリス : 「冒険者経験はないけど……神官経験30年、くらい?」

ソレル : 「……引かない!」

シエル : 「......ん?30年?」


アル : 青……年……?

リズ : 「リコリス様、人間ではらっしゃらなかったのですか?」(首傾げ)

アル : 「さんじゅうねん……」

リコリス : 「はい、この話終わり! 終わり! はい突っ込む! オーウェン先生来ちゃうから!!」

ソレル : 「みんなー、ごーごー!」

リズ : 「ええ・・・?」といいつつ押し込まれていく

アル : 「さんじゅう……」


GM : では君たちは魔方陣に触れ、魔剣の迷宮へと踏み込んでいきます……。


GM : それじゃSGM、後は任せた!

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