2-5:館での日々、一週目(Day1~2)
GM : さて、ここからは自由時間です。ここから一週間の間、あなた方はこの館内を自由に動き回ることができます。
これから一週間、GM側が用意した様々なイベントが展開されることとなる。冒険者たちはそのうち1日のシーンプレイヤーとなり、ハイライトとして描写することができる。
また各シーンプレイヤーは以下の「館のお手伝い」表から好きなお手伝いを選び、実行する。冒険者やNPCの交流タイミングということだ。なお、お手伝いのイベントが何日に発生するかは、PC側が決定する。
【館のお手伝い】
■昼
・サンルーム-オーウェン:薬草摘みの手伝い/レンジャー技能
・厨房-サリュ:料理の手伝い/冒険者技能+器用度
・サロン-リコリス:???/さまざま
・森-???:食糧調達/命中力判定or探索判定
■夜
・サロン-ライティア:内職 精神抵抗判定
暫しの相談の結果、以下の通りに決定された。
ソレル-森/昼(???)
シエル-サロン/昼(リコリス)
アル-厨房/昼(サリュ)
リズ-サロン/夜(ライティア)
GM : では1日目から順にイベントを処理していきますね。
■1日目-厨房/昼(サリュ)-
冒険者たちが目覚めると、全身を激痛が襲った。
GM : オーウェンの言う通り、昨夜は脳内麻薬的なものが出ていたのでしょう。気にならなかった体の節々が痛い。館内ならぎりぎり動き回れますが、外に行くのは難しいかもしれませんね。
アル : 「ぜ、全治1か月……」めっちゃ瞳うるうるしてます……。
サリュ : 「ご、ご無理なさらずとも……」
アル : 「いえ、ぼくだって働かないと。働かざるもの食うべからず、ですし」と言いながら、ぎこちない手つきで野菜の皮を剥いたりします。ほんとは手先器用ですけど、筋肉痛のため……。
サリュ : 「ふふ、助かります。皆さんの分もあるので、沢山ご用意しなくては!」 慣れたてつきで下ごしらえをしていく。しゅばば
アル : 「すごい……」
サリュ : 「従者ですから!」
リズ : 可愛いと可愛いの2乗ですね!
アル : 「あのー、従者ってそんなものなんですか……?」リズが従者としているけど、他の従者を見たことがない……。
サリュ : 「んー……どうでしょう?私はそうだと思っていましたが……でも、そうか。リズ様もアル様の従者で御座いましたね」おなかま!
アル : 「それで、従者のプロであるサリュさんに聞きたいことがあって。主人って、どうあればいいと思いますか?」ちょっと不安そうに。
アル : 「リズさんはぼくのことを主人としてついてきてくれてますけど、正直ぼくにはどうすればいいか分からなくて……」
サリュ : 「んー……。難しい問いで御座いますね……」とちょっと考えてから。
サリュ : 「……私は、リコリス様のことを至高の主であると信じています。そこにあるのは私の意志であり、主様の意志はある意味で関係ありません。なので、アル様はアル様のままで宜しいと思いますよ?」
アル : 「そうですか……」と少し考え込んだ後に、「そういえばサリュさんはどうしてリコリスさんの従者になったんですか?二人とも兄弟みたいにそっくりですけど」
サリュ : 「どうしてと言いますか、私はそのために生まれましたので……」
アル : 「?」
サリュ : 「私は、リコリス様のために生み出されましたのでこう、最初から従者というか。それ以外にないというか……」
アル : 「ルーンフォークってそんなものなんですかね……リズさんも最初はぼく以外の誰かのために……」とここでぶんぶんと首をふって。
アル : 「違う話をしましょう!お洋服の話とかしませんか?」
サリュ : 「お洋服!このお洋服、素敵ではないですか?ライティア様から頂いたのです!」
アル : 「かわいいですよね、その洋服!ぼくも遠目でみたこととかはあったんですけど、ここまで近くで見せてもらうのははじめてで……」と布地を手でとろうとして―――。
アル : 「すす、すみません突然!」
サリュ : 「? いえ、どうぞ。お手に取ってください」
アル : 「ありがとうございます(笑顔)!この服、結構新しいみたいですけど最近つくったんですか?」
サリュ : 「いえ、こちらは去年頃に頂いたものですね」
ちなみに、ライティアが渡したものであれば全部女物らしい(一同笑)。
ソレル : これライティアの趣味かー。
アル : 「去年からでこの新しさ……サリュさんは服を大切にしているんですね」
サリュ : 「はい!頂いたものですし、従者が負担になってはいけませんから!そういうアル様も、素敵なお召し物ですよね?」
アル : 「ありがとうございます。ぼくが自分で縫ったやつですけど……」
サリュ : 「なんと、それは素晴らしいです!手先が器用でいらっしゃるのですね!」
アル : 「サリュさんも、屋敷のみなさんも、ほつれてしまった服とかあったらぼくに言ってもらえればつくろいますから……」てれてれ
サリュ : 「むむ。これは私もうかうかしていられませんね……」
GM : では、そろそろ判定して頂きましょうか。
アル : 「あ、すみません手が止まってましたね」……(ころころ)うーん、達成値は9ですね……。
GM : ちょっと体が痛かったかな。普通の食事ができました。効果とかは特になし!
サリュ : 「お手伝い、有難うございました!良ければ、またお願いします」
アル : 「はい、お話できて楽しかったです!」
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……おはよう。誰もいない部屋の片隅に、そう囁く。
そうして何回目かの朝が来た。
待ちわびた朝だ。高鳴る鼓動を服の上から押さえて、ほう、と震える呼気を空に吐き出した。
透き通る朝陽の中に跳ね起きて、翠雨を貯めた桶で顔を洗って。
姿見の前で、ずっと昔から楽しみにしていた、新しい絹の服に袖を通す。
……着替えながら、目前の灰色の扉に、おはようとひとつ声をかける。静寂だけが返事をする。
かまわない。昨日と今日は違うのだ。
今日は一体どうなるだろう。
それに、明日からはどうしよう?
まだ見ぬ今日が、明日が、こんなにも待ち遠しかったことは無い。
僕は今日、新しく生まれ直すのだ。
新しい僕は、どんな人と出会うだろう。どんなふうに笑って、どんな話をするのだろう。
足の鎖を軽やかに鳴らし、綻ぶ唇を抑えきれぬまま、僕は、祈一歩を踏み出した。
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なんの前触れもなく、突如差し挟まれるモノローグ。
全員 : ざわざわ。
突然の出来事に、にわかに盛り上がるPL陣。GM陣は不敵にほくそ笑みながら、2日目の朝がやってきた―――。
■2日目
GM : 二日目の朝、ですが……(ころころ)、シエルさんですね。
シエル : お
GM : シエルさん。貴方は、朝、起きました。食堂に行こうと思って扉を開けます。
シエルがドアを開けると、リコリスが廊下で寝ていた。
シエル : 「......ん!?リコリス、大丈夫かい???」
シエルが開いた扉に沿うように身体を丸め、まるで野良犬のようにうずくまっていた。リコリスはシエルの声に気が付いたのか、ふっと目を開く。ぼんやりとした瞳で、シエルを見つめる。
リコリス : 「……ん。ああ、ごめん。ええと……朝か……」
GM : にへ、とどこか気の抜けたような笑みを浮かべてから、ゆっくりと立ち上がりました。
リコリス : 「なんだっけ。……そうだ、カルミアの件を伝えに来たんだった。カルミアに文を出したから、多分明日には会いに来てくれると思うよ。知り合いなんだろう?他の人にも伝えに行かなければ……」と言って、ふらふら歩きだす。
シエル : 「え、ああカルミアの事ね。他の人たちには僕から伝えとくから。とりあえず何だか足元がおぼつかない様子だし、一度部屋で休んだ方がいいんじゃない?……というか、もしかして僕に一番に伝えるために部屋の前で寝てたのかい?」
リコリス : 「…………………」 にこり。
シエル : 「?????????」
リコリス : 「いや、嬉しいなあって。君たちが来てくれて、本当に嬉しいんだ。それだけ……」
リコリス : 「それだけ、伝えたくて」
シエル : 「......こっちこそ、君が居なかったら僕たちは川でおぼれて死んでいたからね。こちらこそ、君に出会えたことに感謝を」
リコリス : 「ふふ、じゃあ、どういたしましてかな?」
リコリスは何事もなかったかのように、シエルさんと連れ立って食堂に向かう。……シエルさんが提案した「一度部屋で休んだ方が」という言葉は、意図的に無視をしたように見えたが。
階下から「飯できてんぞー!」というオーウェンの声が聞こえ、うやむやになってしまった。
■2日目/夜
夜のサロン。窓を締め切り月明かりも差さぬ部屋の中に、蝋燭の灯に照らされたライティアが一人佇んでいる。リズがサロンの扉を開けたことにも気が付かないようで……サロンの奥、上の方をぼんやりと眺めている。
リズ : では、近づいて声をかけましょう。「お隣、失礼してもよろしいですか?」
ライティア : 「…………」ぱっと振り返る。
ライティア : 「…………………」一瞬、ライティアのすっと顔に影がかかったように思えた。
「……お好きになされば?」
リズ : 「ではありがたく」すとんと着席しますが、どんな様子でしょうか。
GM : 貴方が来たのを見て、どうにも居心地が悪そうというか……気まずそうというか。そそくさと、膝の上にあったナニカをしまい込んだのが見えます。
リズ : では「ライティア様へのご挨拶がちゃんと済んでおりませんでしたので」と前置きして、リコリスに救ってもらったことと住まわせてもらっていることに感謝の言葉を並べます。
ライティア : 「………………」
GM : ここ、精神判定と言いましたね。これは「ライティアとの気まずい雰囲気にメンタルが耐えられるか判定」です(一同笑)。まず目標値7でどうぞ。……成功ですね。
ライティア : 「別に、かまいませんことよ。わたくし、特別心が狭いわけでも何でもありませんわ」
リズ : 「お優しいお言葉ありがとうございます」
GM : ちょっと表情が和らいだ……ように見えたかもしれません。
リズ : 「もう夜も更けたお時間帯です。何か、なさっていらしたのですか?」
ライティア : 「別に」つーん。
もぞもぞ。
GM : ……ちなみに、ドレスの下に無理やりしまい込んだのか、編針が微妙に見えています。「内職」ですからね。
リズ : 「あら。編針が・・・?」
ライティア : 「!!」ばっ。
ライティア : 「な、なんですの! 私が編んでちゃいけないって言いますの!」
リズ : 「いえ!そうではなく!」にこっと笑みを浮かべます。
ライティア : 「ど、どうせお前には無理だっていうんでしょう! いいですわよ、オーウェンなんて爆笑でしたからね、ええ」
リズ : 「実は私、以前織子として働いていたことがありまして、そういった手芸の類、好きなんです」
ライティア : 「…………………………そうなの?」
リズ : 「はい!一時はそれで生計をたてていたこともありましたから!」
もぞ。
もぞもぞ。
リズ : 「どういったものを、おつくりなんですか?」目をきらきらさせます。
ライティア : 「…………」
GM : では、そっとドレスの下から編みかけの何かを出してきます。「何か」というのは、本当に「何か」でしかないからです。
これは……なんだろうか。空色の毛糸の塊、のように見える。しかしライティアは当然わかるでしょう?と言わんばかりに胸を張っている。
リズ : ふむ、編み図はおいてありますか?
GM : 置いてないですねぇ。
リズ : なるほど。イメージだけでやっているのですね。それはずれる。
ライティア : 「……なによ」
リズ : 「編み図はどうなさったのかな、と思っていました」
ライティア : 「アミズ?」
アミズ?(編み物やったことないSGM)
リズ : 「はい、毛糸って、いつも同じ色ですから、どれだけ気を付けてもよく見間違えますでしょう?なので、その地図です」
ライティア : 「……。ふぅん、そ、そうなの。少しは知識があるようねっ」
リズ : 「はい、少しだけですが。どなたのために、編まれていらっしゃるのですか?」
ライティア : 「は?」一瞬空気が凍った気がする。
ここで、GMは更に[精神抵抗/11]を要求。リズはこれも危なげなく成功させていく。
ライティア : 「…………どうしてお前なんかに言わなくちゃならないのかしら?」と、別に怒ってはない様子。
リズ : 「最終的なサイズがわかりませんと、編み方がわからないではないですか?」
ライティア : 「………………」
ライティア : 「……」右見て
ライティア : 「……」左見て
ライティア : 「リコリスだけど」と、上を向いたまま言います。この向いている向きなんですが、リコリスの部屋の方角……のように見えますね。
リズ : 「なるほど!流石です。このお色なら、よく似合うことでしょう」ニヤニヤしてしまいますね。隠しますけれど。
ライティア : 「………………のくせに、ちょっとはわかるようじゃない」ぼそり。
リズ : 「はやく、お届けできるといいですね。良かったら、編み図作るののお手伝いとか、しましょうか?」
ライティア : 「…………」毛糸を握り締めて、離して。握り締めて、離して。それを何回か繰り返して……。
ライティア : 「……ふん、かまいませんことよ。手伝わせて差し上げるわ」
リズ : 「はい!」
そうして、蝋燭の暖かな灯の中、しばらく編み物の話が続く。ライティアは本当に編み物について何も知らないようで―――この編針も、オーウェンの私物から借りてきたもののようだ―――おそらく、これが最初の作品なのだろう。
リズ : では、適当な棒で横で編むの見せながらやった方がはやそうだな、と。なめらかにに誘導します。
ライティア : では、ライティアは思いのほか熱心に習い……夜は更け、そろそろ眠くなるかもしれない、それだけの時は過ぎていきましたが……ふと。
ライティア : 「お前、名はなんというの?」とぼそっと聞いてきます。
リズ : 「リズと申します。アル様にお仕えしております。見てのとおり、ルーンフォークです。サリュ様と同じく」
ライティア : 「……ああ、なるほど。お前も人形なのね」
リズ : 「はい、そのように呼ぶ人もおります」ここは合わせましょう。
ライティア : 「自動人形にしてはよくやるわ。褒めて遣わします。これからも励みなさい。それに……」と、一瞬口を閉じ。
ライティア : 「ま、まあ? 気に入らなくもないですし、リコリスの頼みですし、仕方ありませんわ。お前、わたくしが特別に世話をして差し上げます!勘違いなさらないで。お前のためじゃありませんわっ」
ソレル : ツンデレだ~。
アル : テンプレですねー。
リズ : 「まあ!ルーンフォークですから、そのように申されますと少々むずかゆいのですが。また、お話できるのなら、嬉しいです」
GM : ではライティアは一瞬、何とも言えない表情をしましたが……にこりと、「ええ」と小首をかしげました。
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