1-6:剣戟は水泡に帰す
戦闘である。今回のエネミーは三種類。
一つは、ミドル戦闘も登場したインプが2体。
一つは、動き出した白骨死体、スケルトンが1体。特筆すべき能力もないシンプルなエネミーだが、PL達は別の意味で恐れおののいている。
そして今回のボス役は、蛙型の魔神ヌズマル。近接している目標に魔法ダメージを与える強力特殊能力【緑血の呪い】をもち、<剣のかけら>により強化も為されている。
シエルがピンゾロを振ったりもしたが、無事PC達の先手で戦闘が始まった。
1ラウンド目、PC手番。
基本はミドル戦闘のときと変わらない、理想的な動きから始まった。シエルが《フィールドプロテクション》を唱え、アルがスケルトンにダメージを与える。ハンサがスケルトンにとどめを刺し、ソレルはインプを挑発。リズは出目が振るわず回避されたが、盤石な滑り出しと言えた。
1ラウンド目、エネミー手番。
インプはそれぞれソレルとアルに攻撃するも、両者とも回避。ヌズマルはアルに対して【緑血の呪い】を使用。魔法ダメージを与える特技によってアルに確実なダメージを与えようとする……も、アルが精神抵抗にクリティカル。満足なダメージを与えられなかった。
その後、戦闘は終始PC達有利の展開であった。ヌズマルの【緑血の呪い】は確かに強力だが、使用したヌズマルにもHPロスが発生する諸刃の剣。その隙をPC達が見逃す筈もなく、攻防の末に決着となった。
GM : では、戦闘終了です!
リズ : 「やった!勝ちましたよご主人様!さっきは危ない目にあわせてしまいもうしわけありませーん!!」
アル : 「リズさんの攻撃、すごかったですよ!」
リズ : 「そ、そのようなことはけして・・・ソレルさんやハンサさんやご主人様のおかげです」
ソレル : 「いや、助かったよ。シエルも回復ありがと」
シエル : 「MPギリギリだった……」
GM : さて。では、皆さんが勝利を喜びながら刃を……刃を……?……鈍器を鞘に納めた時。
カルミア : 「もう一度」と、カルミアの声があたりに響き渡ります。
ソレル : 「!」
GM : その瞬間、不意にあたり一面が光り始めます。歌声のような甲高い音が一瞬鳴り響き……、視界から色が消えます。
視界から、全ての色が消える。―――否。地面に咲く彼岸花だけは、血のように赤く。赫く。
冒険者たちの身体は、時間が止まったかのように動かない。静寂の中、何処からか、無機質な時計の針の音だけが聞こえてくる。
かちん。
かちん。
脳髄に響く、魂の髄を打ち付けられるような音。
そんな音だけが聞こえる、永遠にも思うような一瞬が続いたあと……。
GM : ……次の瞬間、全身に、凄まじい圧がかかっていることを認識するでしょう。
身体中が殴りつけられるような痛みと共に、轟音が耳をつんざく。叩きつけられるような雨の音と、ごうごうと唸る水の音。
GM : みなさんは今。端的に言って、川の中にいます。雨でめっっっっちゃ増水した川の真ん中です。あたりの様子を見るに、どうやらここは先ほどとほとんど変わらない場所……ルフラン島のどこかだということが推定されます。
GM : つまり、ここはルフラン島の川の中。昼間の、カルミアの言葉があなたがたの脳裏によぎります……。
~回想開始~
カルミア : 「島の子供は、子供のころから「川と滝では絶対遊ぶな」って言われて育つんです。川に流されたらこの滝にきてしまうし、滝壺まできたら、水圧と潮の流れのせいで、二度と身体が浮かんでこないんだぞーって」
~回想終了~
やばい。
シエル : ごぼごぼごぼ!!!
アル : ぐったりしてる
リズ : 「死ーぬー!!!」
ソレル : 「私はともかく……ハンサ!!!」 ←エルフ
GM : あ、ハンサさん……ええと……ハンサさんもどうしようね。流れとくか。
ソレル : ぺたっ。荷物にしっかりしまいます
GM : エルフだから出来ていいよ。
ソレル : 「よかった……!」
GM : 残り3人は本当にお疲れさまでした。
GM : あ、ごめんなさい。判定在りました。[冒険者Lv+筋力/20]です。がんばって!!!!!
冒険者たちは川の真ん中で、倒れ掛かった倒木にかろうじて引っかかっている状態だ。この窮地を脱するには、筋力でなんとか這い上がるしかない。
残り3人 : 失敗。
GM : 本当にありがとうございました。おつかれさまでした!!!!
そういう訳で、お疲れさまでした。
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