1-5:乾いた血潮

-廃墟マップ-

https://drive.google.com/file/d/1-AynnAeyOnEGB24DfDEfbkdc8G8nCQjG/view?usp=sharing


ここで、GMが廃墟のマップを公開する。端々が焼け焦げ血痕に汚れたそれが広げられ、ざわつくPL達。


アル : こわいけど、凄く凝ってます……!

ソレル : GM、ホラー苦手とか言ってなかった?

GM : 苦手だよ!!!!!皆様、マップをご覧ください。今、みなさんはこのポインターのところにいます(マップ上に赤いポインターを設置する)。入ったばかりのところですね。


扉を開けて先ず冒険者を迎えたのは、何処となく饐えた匂いだ。随分と長い間空気が篭り、淀んでいたのだろう。

月明かりも差さない館の中は、随分と薄暗い。暗視持ちであればいざ知らず、そうでない者には厳しい暗さであろう。


ソレル : 「カルミアさん、私達から離れないでね」

カルミア : 「はい」

シエル : 松明を焚くよ。洞窟から数えて、これで4本目かな?

アル : えっと、そろそろ必要だと思うので……。【獣変貌】しちゃいますね。

アル : 「……みなさんの言葉は分かってるので、心配しないでくださいね」とちょっと恥ずかしそうにしつつ獣変貌です。デフォルメ入った感じの、もふもふの狼の頭になります。

リズ : 「ああ、完璧なモフモフなお姿に……まだリズめがリカント語を喋れず申し訳ありません」

アル : 「わふぅ……」(あんまりみないでください……)

GM : 廃墟は野外と一緒なので馬も許す!!!

ソレル : うれしー!「ハンサ、よろしくね!」

ハンサ : ぶるぶる



【エントランスロビー:入口】

エントランスロビーと思われるそこは、一見して酷い有り様だ。惨状、と言って良い。窓にかかっていたであろうカーテンや絨毯は引き裂かれ襤褸と化し、至るところに赤黒い染みがこびりついている。家具をバリケードにでもしたのか玄関入ってすぐに瓦礫が山積しており、迂回して踏み込まねば奥まで見通すことは出来ないだろう。


GM : 奥に進みますか?

ソレル : 時間も深夜なんだね、雰囲気ある。床が抜けないか、気にしながら進もう。

シエル : ……もしかしたら必要になるかも。自分に《リトライ》をかけておこう……(ころころ)。行使は成功。


ミルタバルの特殊神聖魔法、《リトライ》。一定時間の鍵開け判定を振りなおす、ユニークな魔法だ。特殊神聖魔法はそれぞれの神格により設定されており、ミルダバルのそれは神秘や秘匿の開示に秀でている。


アル : おっかなびっくりくんかくんかしながら進みます。

リズ : ご主人が引かないならどんどんいきましょう。



【エントランスロビー:奥】

GM : それでは部屋の奥に踏み入り、奥の暗がりに目を向けた瞬間。君たちは“何か”と目が合います。


視界に入ったそれは、人形のように見えた。しかしよくよく覗いてみれば……、それは確かに「かつてヒトだったもの」だと見てとれる。


リズ : 「ご主人!みないほうがいいです!」

アル : 「きゃ、きゃうぅ……」暗視で見えちゃいました……。


-死体-

https://drive.google.com/file/d/1IDotn6IkAMdvYSs3Dr5di6iaZE4uh-rO/view?usp=sharing


“それ”は銀のくせ毛を無造作に放り出し、仰向けに転がっている。周囲の床は乾ききった血にまみれており、かつては純白であったであろうエプロンを染め上げている。その表情と相まって、壮絶な最期であったことは容易に伺える。

その状況から見るに、直接の死因は失血死だろうか。しかし目を引くのは、胸部がなにか強い力で圧し潰されたかのようにひしゃげているところだ。その姿こそ濃厚な死を思わせるが、不思議なことにその顔立ちは磁器人形のように美しいままだ。その精緻な顔立ちは逆に、今にも起き上がってきそうな不快な違和感を放ち続けている。


カルミア : 「…………」

GM : ではここで代表者の方、1d6を振っていただけますか?

アル : な、なんでしょう……(ころころ)。……4、ですけれど。

GM : なるほど。1~3だと●●、4~6だと××です。なお●●と××の中身は後でわかると思うので、今は気にしないでください。


そっと頷き合うGM陣。首を傾げるPL陣をよそに、描写は続く。


GM : さて。では……精緻な“何か”が転がっている場所ではございますが、ここで判定を試みることができます。項目は以下の二つ。


・探索判定 9/11

・“何か”の鑑定(見識判定) 8/10


GM : ……どうしますか?


アル : 普通の探索をしたいです……(ころころ)、達成値は9。

ソレル : わたしも……(ころころ)、う、低い。達成値は7。これは、まともに直視できてないね。


GM : では9の情報です。……どうやら、この部屋では大規模な戦闘があったようです。ただ、血液や部屋の荒れ具合を見るに、かなり昔のことかと思われます。少なくとも、数年単位で昔でしょう。……もしかしたら、10年以上前かもしれません。


ソレル : 「ううっ。怖いよ、ハンサ……」

アル : 「わ、わふわふ(ソレルさん、がんばってください)!」

アル : 「わふぅ……(でもこわい……)」

ソレル : 「……励ましてくれてるんだ、ありがと」と、無理にでも笑顔を作る。

アル : 「わふ!」


リズ : では私は“何か”の方を……(ころころ)、出目が良いですね。11まで抜きました。「しかし……、なんだというのでしょうか、これは」

シエル : クリティカルだ、僕も抜いたよ。「ミルタバル式の祈りをお気に召すかは分からないけど……、野ざらしにするわけにもいかないよね……」


GM : ではお二人ともわかりますね。この“何か”……遺体が、不自然なほど朽ちていないことに気が付きます。確実に絶命しているのは事実なのですが、遺体が腐っていない。周囲の建築の劣化具合を見るに、遺体は腐乱していなければおかしな程放置されているはず───ここであなた方は、遺体が朽ちない種族……ルーンフォークのことを思い出します。よくよく首元を調べていると、凝固した血液で分かりづらいながら金属パーツが確認できました。これは、ルーンフォークの遺体なのでしょう。

リズ : 「……同族ですね。神の祈りは聞き届けないでしょうけれど、その心根には感謝していることと思います」

シエル : 「......だといいんだけどね」

GM : さらに、このルーンフォークの首元に、不自然な金属パーツが突き刺さっていることに気が付きました。というか……ここだけ、金属パーツにしてはおかしい。

リズ : 突き刺さってるものを抜いてみます。

GM : では、その金属は何の抵抗もなく抜けます。銀色の、小さな鍵のようですね。


【〇〇の鍵】を手に入れました。


リズ : 「首に挿すとは、悪趣味です」

シエル : 「この館で、一体何があったんだ?」

リズ : 「さて……もう少し調べてみる必要がありますね」と、主人の方に振り返ります。


GM : では、皆さんは奥に進みます……。



エントランスロビーの奥、目の前には大きな扉があった。その大きさからして、この建物のメインの部屋であろうことがすぐ見て取れる。……しかしそのドアノブには幾重にも鎖が巻かれ、厳重に施錠されていた。


GM : ちょっとやそっとじゃ開かなそう。無理やり筋力でドアをぶち壊して押し入ってもいいし、迂回路を探してもいいです。破壊する場合は[冒険者Lv+筋力

/11]ですが……どうします?


リズ : ぶち壊します(ころころ)、達成値14!「どりゃあ!」

GM : すごい出すじゃん。では扉はドア枠ごとごそっと抜けまして、部屋の中がよく見えるようになります。

リズ : 主人に見せられないものがないか目を走らせて、ささーっと主人の後ろに戻ります。

アル : 「わっふぅ……(リズさんすごいです……)」

シエル : 「おー、おみごと」

リズ : 「当然ですよ!」とシエルさんにはどやっとする



【サロン】

かつては団欒の場であったであろうこの部屋も、かなり異質な様子だ。壁や床一面に爪痕のような引っ掻き傷が残り、潰れたソファの綿や羽毛が、辺り一帯に飛び散っている。

そして、この部屋は窓の閉鎖が一際厳重なようである。まるで、この部屋に“何か”を閉じ込めようとしていたかのようだ。しかし、その努力も無駄だったのか、右手側のバリケードは無惨に破壊されている。


ソレル : そのまま、右手の方に進もうか。



この部屋は、恐らく食堂だったのだろう。食器類が割れて散乱し、大きなダイニングテーブルはひっくり返っている。


GM : ここを通ろうとする場合、[軽業判定/10]が必要です。失敗すると食器の破片が刺さり、1d6+2の物理ダメージを受けます。


ソレル : カルミアを後ろに乗せて、騎乗判定したいんだけど……。

GM : うーん……、イイよ!ただその場合、-2のペナルティです。

ソレル : やったー!「カルミア、ちょっとこの先危なそうだけど……。ハンサと私でなんとかするから後ろ乗って!」

ソレル : 「で、しっかりしがみついててね」ということで、剣の恩寵を使うよ。

カルミア : 「は、はい。こうですか?」(ぎゅー)

ソレル : 「……それっ!」(ころころ)……達成値は17!

ソレル : 「大丈夫? 怪我はない?」

GM : ここまでカルミアが無傷とは思わなかった。

シエル : 僕は成功。

アル : わふっ(成功です)。

リズ : 私は失敗、1点だけプスッとしました。

アル : 「わふっ!?(リズさん大丈夫ですか!?)」

リズ : 「かすり傷です。ご主人様が無事でよかった。さ、進みましょう」


GM : では、みなさんが食堂の破片の海を渡った向こう。目の前の壁に、空の額縁がかけてあることに気が付きます。


その額縁にはべったりと血液がついているが、肝心の中身は空っぽだった。手を血に染めた何者かが、中身を何処かに持ち出したのでは……その推測を証明するかのように、血痕が奥の方に続いている。


カルミア : 「わたくし、この額縁見たことがあります。絵を……描いた肖像画を、飾っていたんです。でも、なんでここにないんだろう……」

ソレル : 「誰の肖像画?」

カルミア : 「……おふたりの。この館の……」かぶりを振る。

カルミア : 「…………うう。やっぱりあたし、謝らなくちゃ」

ソレル : 「……奥にあるかもしれないし、行ってみよっか」



【厨房】

様々な調理器具が壊れ散乱する奥の部屋は、恐らく厨房だろう。壁や天井が真っ黒に煤けているのを見るに、事故か放火かは兎も角、ここを出火点とした火事があったようだ。この館周囲の森林が焼け焦げていたのも、それが原因だろう。

血痕は、更に次の扉へと続いている……。


アル : 進みましょう。



【サンルーム】

温室のような、ガラス張りの部屋。しかし出火元に近かったのもあってか損傷が酷く、殆どが焼け落ちて何も残っていない。

厨房から続く血痕は更に、眼前のドアの中に続いているが……、もうひとつ。中から「出てきた」ような血痕がある。恐らくこの血痕の主がこの部屋に入り、程なくして出てきたのだろう。

冒険者は、そのまま更に進む……。



【祭場前】

アル : なんだか不穏です……。


狭い小部屋だ。金属の水差しが床に転がり、空の壁掛けラックが吊り下げられている。特に目を引くものはない。血痕は奥の部屋へ続き、奥からこちらへ続いている。

その扉には、どうやら鍵がかかっているようだ。


シエル : 「リズさん……」

リズ : 「ええ。やってみましょう」

GM : リズさんが先ほど手にいれた鍵を差し込むと、かちゃりと音を立てて、扉が開きます。

リズ : 「先ほど倒れていたルーンフォークが持っていました」とだけ説明しておきます。

アル : 英語でいうとhaveですからね。

リズ : 念のため、隊列を組んでから入ります。



【祭場】

一面タイル張りのその部屋は、幻想的な光景であった。天井のステンドグラスは星灯に照らされ、部屋を美しい光彩で満たしている。そのステンドグラスの模様は銀の渦と、目を象った文様―――。洞窟にあった『見えない壁』にカルミアが触れたときに現れた魔法陣と瓜二つだ。


GM : そしてこの部屋にはもう一つ、目に付くものがあります。金髪の少女と銀髪の男性がソファに腰掛け、仲睦まじそうに微笑んでいる肖像画です。しかし、そのキャンパスにもまた、血飛沫が散ってしまっています。


-血濡れの肖像画-

https://drive.google.com/file/d/1XQMIojuHp7XZFqu4WhLkYgbYQg6M2IUn/view?usp=sharing


シエル : 「......これが、カルミアの言っていた肖像画かい?」

カルミア : 「……はい。はい。これです。これです!ああ、こんなところに……こんな……」

GM : 震える唇でつぶやきながら、カルミアは肖像画の表面を撫でいますが、……ここで[冒険者Lv+知力/9]で判定してみてください。

全員 : (ころころ)

GM : ……ソレルさん以外成功だな!

ソレル : よく見てなかったからなー。


GM : では成功した方々。この肖像画の中の銀髪の男性、何処か見覚えがあります。服装も違うので一瞬わからなかったかもですが、ロビーで死んでたルーンフォークの死体とそっくりです。

カルミア : 「…………」と 先程から、カルミアはわなわなと震える手で肖像画を撫でるのをやめません。

カルミア : 「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい…………あたし、悪いことしたの。あたし、あたし知ってたのに。何かの間違いだってってたのに。怖くて、怖くて……嘘ついたの」

カルミア : 「嘘ついたの……!!」

アル : 「わふぅ……(カルミアさん……)」

カルミア : 「みんな悪い人たちなんかじゃなかった!! なにかの間違いで、こんな風になるのは間違いだったの!!あたしが、あたしが嘘つかなかったら、せめて一人くらい、一人くらい、助かったかもしれないのに!あたし……」ぽたっと片目から涙を落として

カルミア : 「もう一度やり直せたら、絶対、絶対嘘つかないわ」

アル : 一人称が……。

GM : ……そう、カルミアが呟いた瞬間。どこからともなく、地の底から、歌声のようなものが聞こえます。微かに響く旋律。こんな場所で、誰かがうたっているはずもないのに。

カルミア : 「……いかなきゃ。あっちだわ。きっと、あっちにいったんだわ」そういってふらふらと立ち上がり、突然駆けだします。

ソレル : 一応手をつかんで止めようとしたけど、空を切ったよ。

GM : ……追っかけます?

アル : もちろんです!

シエル : 追っかけます。

GM : 廊下にも血痕が続いていて、あなた方はその血痕を追うようにカルミアの後を追うことになりました。


冒険者たちはカルミアを追い、やがて一つの扉の前に辿り着く。



【???の扉】

屋敷の何処もが崩壊し廃墟になっているというのに、この扉だけは傷一つない。まるで、今でも誰かが住んでいるかのようだ。

カルミアが近づくと、魔法のようにひとりでに扉が開く。扉はそのまま、冒険者たちを誘うかのように開け放たれている……。


ドアをくぐると、妙な感覚が冒険者たちを支配する。音もなく、地もなく、何処かを泳ぐような感覚の後、不意に視界が開ける。


―――そこは何処か、野外のようだった。吹き抜ける風と降り注ぐ星灯がそれを示していた。空を見上げる限り、館からは然程離れていない場所のように思えた。

地面には、一面の彼岸花が咲き誇る。カルミアはその中心―――小さな石碑の前にしゃがみこんでいた。


GM : 正確には、正直石碑というのも躊躇われるくらいの大きさの石が、何個か積み重なっている……という状態なのですが。あなたがたは何故か、「ああ。これは墓なんだな」と直感します。

カルミア : 「…………ああ。ようやくちゃんとお参りできた」

カルミア : 「ごめんなさい。ごめんなさい。あたしだけ外にいてごめんなさい。あたしのことを言わなかったのは……あなたは優しかったから?」

GM : そう呟きつづけるカルミアの向こう。石碑の、さらに向こう。白い骨のようなものが散らばっているのが見えますね。[危険感知判定/9]をお願いします!


ソレル : ピンゾロ!目の前の光景に圧倒されてた。

シエル : 僕もピンゾロだ。彼岸花……綺麗……。

リズ : おーい!?

アル : 6ゾロです!

リズ : 流石主人!「ぼ、ぼーっとしちゃ駄目ですよ!シエルさん!」

アル : 「わふっ!(ソレルさんも!)(ひっぱる)」

ソレル : 「わわっ、ごめんって」

シエル : 「え、何事??」

GM : では、あなたがたは、目の前で。かたかたと歯を鳴らしながら、骨が起き上がるのを確認します……。それと同時に、先ほど見たような黒い影が、またしても周囲に湧いて出たのも視認します。

アル : 「ぐるるるる!」(敵がきます!)

リズ : 「戦闘準備!」

ソレル : これ『君たちが1話で倒した骨は……』みたいなのだったら泣いちゃいますからねGM!

アル : 絶対それですよぉ……!

GM : はーい、では、いこっか!!!!


PL達がまだ見ぬ不穏におびえる中、クライマックス戦闘が始まった。

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