1-3:お墓参りと、お泊り会と

ルフラン島の浜辺に着岸した冒険者たちは、1時間程かけてぐるっと島を囲む砂浜を歩くことになる。幸い開廷洞窟は崖の下にあるようだが、島自体が結構な大きさの為、その道中は案外長丁場のようだ。冒険者たちは横目に海を眺めながら、のんびりと歩んでいく。


ソレル : とりあえずハンサを出します

ソレル : 「ハンサ、お疲れ様。ここがルフラン島だよ」

とらねこ : 「みんっ」ハンサにびっくりして毛が逆立ちます。

カルミア : 「???」(なんかよくわからないけど騎獣と仲良さそうだな、って顔)


GM : さて、そんな話をしながらの、道中。浜を歩いていくうちに、大きな滝に行き合います。滝の水はそのまま海に流れ出ており、滝によって浜が分断されてしまっている形です。

GM : とはいえ、滝壺から少し離れたところに石造りの簡易な橋がかけられているので、歩いて渡ることができます。通行には支障がないようです。


ソレル : 「水しぶきで涼しいね」

アル : 「ですね、ちょっと暑かったですし……」


カルミア : 「ふふ、すごい滝ですよね。島を流れる川が全部この滝につながってるから、水量がとっても多いんです」

カルミア : 「島の子供は、幼いころから「川と滝では絶対遊ぶな」って言われて育つんです。川に流されたらこの滝にきてしまうし、滝壺まできたら、水圧と潮の流れのせいで、二度と身体が浮かんでこないんだぞーって……。実際、川からいろんなものが流れ着くせいもあって、滝つぼ周辺の水中は瓦礫だらけで危ないらしくて。わたくしも、エルフといえどもこの滝を落ちたら一巻の終わりだぞ!って父によく脅されてました」

カルミア : 「雨が降った直後とかは流れも急になるので、ほんとに怖いんです。気を付けてくださいましね」


シエル : 「エルフでも一貫の終わりだなんて……。人間が流されたら……」と青い顔をする。

リズ : 「その橋は、ソレルの主人が歩いても落ちませんか?大丈夫?」

カルミア : 「だ、大丈夫のはずです! 象が踏んでも壊れないように作ったって、父に聞きましたから!」

ソレル : 「しっかりしてそうだし、大丈夫だと思うけどね」

GM : ご安心を。皆さんは無事に橋を渡ることができました。ハンサもね!


……島についてから、1時間弱ほど歩いた頃だろうか。カルミアが、不意に前方を指さす。


カルミア : 「……ああ、本当に、昔のままだわ」

カルミア : 「あの、崖上に大きな木が生えているところの、ちょうど岩で陰になっているあたりに海岸洞窟があります。目的地のお墓は、その中です」


GM : そういいながら、カルミアはずんずん進んでいきます。ちょっと気がせいている様子ですね。

GM : 濡れた岩を踏み越え、石から石に飛び移り、崖に細く口を開けた海岸洞窟の入り口に、たどりつき……。


カルミア : 「あっ」

カルミアが、ずるっとすっころんだ。


GM : さて、みなさんここで軽業判定をお願いします。目標値は9。目標値を2よりも上回った方だけ、カルミアを助けられます。ソレルさんは騎乗判定でも良いです。失敗した場合は、1d6点の物理ダメージです。


ソレル : 成功。「おっと危ない」とハンサと息を合わせて、転ぶ前にカルミアの手を取ったよ。

カルミア : 「ひゃっ、あ、ありがとうございます……!!!」

シエル : 失敗。顔面ダイブしました。「痛い!」

アル : ぼくも失敗です。「うぅ……無事だった?とら……」転びながらも抱えてるとらを心配します……。

とらねこ : 「みぃ」(ありがとう、というように鳴く)(嬉しそう)

なお、とらはアルが転んだ瞬間、しゅたっと自力で次の石に飛び移った。ちょっと申し訳なさそうな顔をしていたという。


リズ : 成功!「だ、大丈夫ですかご主人!!」と血相変えて近寄ります!

アル : 「リズさん、ぼくは大丈夫です。着こんでてよかった……」といいつつ、服がちょっとほつれます。後で縫っておかないと……。

リズ : 「良かった……(ほっ)。あ、シエルは無事ですか?」

シエル : 「これが大丈夫に見えるのかい??イタタ」とちょっと鼻血が出てる。

ソレル : 「ゆっくり行こうよ、お墓は逃げたりしないからさ」とカルミアを諭すよ。

カルミア : 「はい。ごめんなさい……。もう少しだと思ったら、嬉しくなってしまって。落ち着きますね。みなさんもごめんなさい。ゆっくりいきましょう」


GM : では、そんなトラブルもありながら、皆さんは海岸洞窟の中にたどり着いたのでした……。


【海岸洞窟】

湿った冷たい空気が、海底洞窟の中を支配していた。進むほどに波の音は遠くなり、洞窟内に滞留した水が微かに揺れてはちゃぷん、ちゃぷんと小さく音を立てている。幸い、歩くのには十分な足場があるので、水に濡れることなく進むことが出来るだろう。

入り口は狭かったものの中は思いのほか深く、広い。空気もよどんだ様子はなく、その神秘的な様相は、初めての冒険にはうってつけだろう。


GM : 中は暗いので、灯をつけることをおすすめします。松明とかランタンとか、あります?

アル : 冒険者セットがあります……!

GM : 有能~。

シエル : 手隙だから、僕が持つよ。

GM : では、皆さんはシエルさんの手にもったたいまつのあかりを頼りに、洞窟の中を進んでいきます……。


突然の明かりと人の気配に驚いた蝙蝠や甲虫が、冒険者たちが進むにしたがって、かさかさと逃げ去っていく。洞窟の中は長く、数分歩いた程度ではまだまだ先がありそうだ。やがて、入り口から差し込む日の光が届かなくなってきたころ……。


カルミア : 「あ……」

GM : その墓は、洞窟のただ中、曲がりくねる岩壁にもたれかかるように佇んでいました。


それはとても簡素な、四角い石碑であった。湿気た場所に長年放置されていたからか、随分と苔むしている。それでも、誰の手も入っていなかった割には、原型をとどめている方だろう。石碑の横にはこちらも簡素な、横長の花器が添えられてる。恐らく、ここに花を供えるのだろう。


GM : カルミアは荷物の中から小柄な花束を取り出し……てから、周囲を見回して苦笑しました。

カルミア : 「お参り、の前に、先にお墓のお掃除をした方が良いかもしれませんね。どこかの地方のお参りの作法には、「お掃除してからお参り」っていうのもあるらしいですし。手伝って、頂けますでしょうか?」

アル : 「はい、喜んで!」

リズ : 「勿論です。水を汲んでまいりましょう」

ソレル : 「うんうん。綺麗な方がその人も喜ぶと思うよ」

シエル : 「それで記憶が蘇るなら喜んで!」

カルミア : 「……蘇ると、嬉しいですね……」と、どこかぼうっとした顔です。


GM : では皆さん。冒険者レベル+器用or知力で、お掃除をして頂きます。目標値は11。成功人数によって、お墓がどのくらい綺麗になったかが変わります。


この判定に、なんと全員が成功。シエルは「これで記憶が戻るならば」と運命変転まで使用した。

いい話の筈、なんだけどな……。


GM : では丁寧に掃除をしている間に、時間はたち……。そろそろ夕方です。

GM : その間みなさんは石碑の苔や塩をふきとったり、ほこりを払ったり、周囲に散らばる瓦礫を片したり……という感じで、お掃除を敢行いたしました。時間をかけて掃除していくと、だんだんと、元の墓の全貌がみえてきます。

GM : みなさんがとても手際よく掃除をいたしましたので、石碑にむしていた苔も、きれいにはがすことができました。苔を剥いでみても、石碑の上には名などは刻まれておらず、これが誰の墓なのかは結局わからなかったのですが……。


GM : 代わりに石碑の裏側に、「 - 274」と小さく3桁の数字だけが刻まれていることがわかります。


ここでGMは、見識判定/10を要求。掃除の疲れからか、全員が失敗。何の数字かは分からなかったが、お墓はすっかり綺麗になった。


ソレル : 「うん、ピカピカになった!」と額の汗を拭いつつ。

シエル : 「なんか掃除しただけのはずなのにドッと疲れたよ……」←運命変転切った人


運命変転って、疲れるのだろうか。


カルミア : 「みなさん、ありがとうございます。……では少し、一人でお時間いただいてもよろしいでしょうか」


アル : 「カルミアさんの(多分)大事な場所ですもんね」

ソレル : 「そうだね。少し離れたところにいるから、ゆっくりお墓参りしてよ」

カルミア : 「ありがとうございます……」では、カルミアは墓の前に跪きます。

GM : これから30分ほど、カルミアはこの場所にとどまります。あなたがたはカルミアの近くにいてもいいですし、一緒にお墓参りをしてもいいですし、ちょっと周囲を探検しても構いません。


アル・ウリーミア : さっき出来ちゃった服のほつれを直したいです……。

リズ : では私は主人の傍に。一応、入り口の方に警戒を向けています。

ソレル : 話したがりっぽいカルミアがその気になれば声をかけられるくらいの距離で、ハンサとゆっくり過ごそうかな。

シエル : 現段階の考察でちょっと動いてみようかな。横穴がないか洞窟内を探索したい。

GM : では、皆なんだかんで洞窟内にいるかな?皆さん観察判定パッケージ/9で判定をお願いします。


GM : ……えー、シエルさん以外の3名が成功ですね。

シエル : わーい、洞窟たのちい。


シエル以外の3名はじっとしていたからか、洞窟の奥から穏やかな風が吹きつけてきているのを感じる。……風が吹いているということは、何処かに風の通り道があるということ。「もしかしたらこの洞窟、奥が何処かにつながっているのでは?」ということに3名は思い至る。


GM : ところで、それに気づかなかったシエルさん。あなたが奥に進んでいくと……、横道、というか分かれ道があることに気づきます。その瞬間、危険感知判定/7をどうぞ。

シエル : 成功。


GM : では、あなたは突然危険を感じて立ち止まります。無意識のようにそっと手を伸ばすと、あなたの目鼻先20cmほどのところに見えない壁のようなものがあることに気が付きます。このまま進んでたら、頭ごっつんこだったでしょう。

GM : ちなみに壁を触ってみると、見覚えのない魔法陣のようなものが一瞬空中に浮かびあがり、消えていきます。何らかの意図で、魔法で組まれた壁……という印象でしょうか。いずれにせよ、これ以上奥に進むことは、現時点では難しいでしょう。


シエル : 「......なんだろう、これ。......まあ、よくわからんし、とりあえず皆と合流して報告するかぁ」因みに、なにかわかったりしませんか?

GM : では、見識で調べてみましょうか。シエルさんは神官なので、神聖魔法+知力でも可。目標値は10/13です。高い方を抜くと、さらなる情報が得られます。


シエル : なるほど。そうだ、この見えない壁の正体が分かれば、カルミアさんの記憶が戻るかも!

シエル : 「うおおおおおおおおお、1000ガメルぅぅぅぅ!!!」と叫び、剣の恩寵を使用!この判定は達成値に+4するよ!(一同爆笑)


この男、ぶれない。

残念ながら出目が振るわず、達成値は12。成功自体はしているので、剣の恩寵はそのまま使用された。


GM : では、シエルは「これは何らかの神の奇跡による力が行使されている」ことがわかります。ただ、何の神によるものか……は、わかりませんでした。

シエル : 「......だめだ、よくわかんなかった……。戻るか……」

GM : では、あなたは、心なしかとぼとぼと、皆のもとに戻っていくのでした……。




GM : さて、カルミアの近くでいろいろしてる3名。

GM : あなたがたは思い思いの行動をとりながらも、カルミアの行動がよく見える位置にいます。

GM : カルミアは、長い、長い間、墓の前に跪いて祈っていました。そしてとらも、ぴょこんとアルさんの肩から降りて、カルミアの横に寄り添うようにしながら墓をじっと見つめています。

カルミア : 「…………」

とらねこ : 「…………」

カルミアはしばらくは沈黙のまま、一人と一匹は黙祷を捧げていた。

しかし、不意に。


カルミア : 「…………ごめんなさい」

と、小さく呟く声が聞こえた。

GM : 声の主はカルミアです。しかし、本人も少し驚いたように、自分の口を押えています。

とらねこ : 「みぃ」

カルミア : 「ごめん、なさい……? わたくし、いえ、あたしは……」

カルミア : 「あたし、何を」

GM : ……そういったきり、彼女はまた黙り込みます。とらは、カルミアの目を見上げるようにして、じっと傍に佇んでいます……。


GM : それはそうと、ゆっくりもできたしイチャイチャもできたよ!

3名 : やったー!


GM : さて。では、30分後。シエルさんも合流します。

カルミア : 「…………」

GM : カルミアはどこかぼうっと考え込んでいるようですが、ふるふると首を振りまして「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」と声を上げます。

シエル : 「どう、カルミアさん記憶戻ってきそう?」そわそわ。

カルミア : 「…………。戻ってきた、のでしょうか……」と、何とも言えない顔。

カルミア : 「記憶は、戻ってこないんですけれど。感覚のようなものは、戻ってきたかもしれません」

ソレル : 「感覚、というと?」

カルミア : 「あたし、みんなに謝らなきゃいけないんだって」

アル : あたし?一人称が……。

カルミア : 「ひどいことをしたから、謝らなくちゃって……そんな、ざわざわする気持ちだけが胸の中にあるんです」

アル : 「カルミアさん、無理しなくてもいいですよ……?」

カルミア : 「……。心配してくれてありがとう。大丈夫です。いずれにせよ、もう戻らなくちゃ。そろそろ島を出ないと、暗くなる前にミラージに戻れなくなってしまいますから」

カルミア : 「もしかしたら、この勢いで、船で何か思い出すかもしれませんしね。皆さん、本当にありがとうございました」


ソレル : 「ううん、お墓も無事残ってたし、何かしら得るものがあってよかったよ。綺麗な海や島も楽しめたしね!」

リズ : 「そうですね。では外に参りましょうか」

カルミア : 「……ええ!」

GM : それでは、カルミアと共に、君たちは洞窟の入り口に向かいます、が……。

GM : 雨だ。


ふと。オンラインセッションルームに流れていた、楽し気なBGMが止む。

耳には、ざあざあと降る雨音だけが聞こえてくる。


アル : BGMが凝ってます!

GM : 洞窟を出た瞬間……というより、出る直前から何となく感じていた。それはもうすんごい雨です。

シエル : 「……雨だと滝、危ないんだっけ?」

カルミア : 「危ない、ですね……」

リズ : 「では、しばしここで待機しますか?」

カルミア : 「そのほうが、いいかもしれません。1時間くらいであがればいいのですが。このままあがらなかったら、今日はここで一晩寝て、明日朝島を発つほうがいいかもしれませんね」

ソレル : 「となると泊まりの準備もかな」

カルミア : 「はい。万一の時はよろしくお願いいたします」


GM : ……さて、そんな感じであなた方は雨宿りをはじめます。そして、こんなタイミングで振り始める雨が、都合よく短時間でやむわけもなく。

とらねこ : 「みゃう」(お泊りだね、という顔)

カルミア : 「お泊り、ですね」

GM : 結局1時間経っても、止む気配さえ見えません。


リズ : 「雷、ひどいなあ……」

アル : 「泊めておいた船、どこかにいってなければいいですけど……」

GM : いつの間にやら、時刻はすっかり夜。諦めて、野営の準備を始めることでしょう。幸いここは洞窟の中。水位も低く、ここで一晩くらいなら十分しのげそうです。

GM : ということで、レッツキャンプ!

全員 : わーい、キャンプだー!


シエル : 「そういえば、この洞窟他に出入り口はないのですか?」

アル : 「それだったら、洞窟の奥から風が吹いてきてるのでここ以外の出口もあると思います」

カルミア : 「! ああ、そうでしたね。奥の階段を使えば……」

カルミア : 「……あら?」

GM : アルとシエルの話にのるようにして、ぱっと顔を輝かせたあと。きょとんと頬に手を添えます。

カルミア : 「階段、だなんて。そんなものありましたっけ。ここ、洞窟ですのに」

リズ : 「……あらあら? もしかして、それが、記憶……?」

カルミア : 「………………」じーっと考えこむんですが、首を振ります。

カルミア : 「確かに、記憶が少し戻ってるのかも……。でも、わかりません。この洞窟についてもっと何か思い出すかと思ったんですが、ちっとも思い浮かんできません」


シエル : 「そういえば出入り口かどうかは分からないけど、洞窟内探索してたら分かれ道を見つけて、その先が見えない魔法の壁みたいなのに遮られていたよ」

シエル : 「何かの神による魔法のようだったけど、この洞窟、ルフラン神の祭壇とかだったりするの?」

ソレル : 「ふーん? 不思議な洞窟かもしれないってこと?」

カルミア : 「奥に行きたい気もするのですが……見えない壁、ですか」

カルミア : 「明日、時間があったら見に行こうかしら?」

アル : 「そうです。今は無理せず休みましょう……?」

リズ : 「ご主人様のおっしゃる通りです.見張りを立てて今日は休みませんか?」

カルミア : 「そ、そうですね。そうしましょうか……!」

GM : では、アルさんの提案通り、粛々と寝泊まりの用意が進み……。保存食を一つ減らしておいてください。持ってない人は、おなかがすきます。おなかがすくため。

GM : おなかすいてる子はいないかー?

全員 : もってまーす。

GM : ちっ、苔食べるかと思ってたのに。ではみなさんは、無事に人間的な食事をとりました。

GM : そして就寝、といいたいところですが……。


もぞ。

もぞもぞ。


GM : 毛布にくるまったカルミア、一瞬の反駁。の後に。

カルミア : 「みなさん、若者がこうやって夜に枕を寄せ合ったときになにするかご存知ですか!!!」

ソレル : 「惚気話!」

リズ : 「ほう!」

カルミア : 「まあまあ、ソレルさんったら””通””ですのね!!」

ソレル : 「うちの森でもそうだったからー!」はにかみ

リズ : 「なるほど。人はこうして合法的にのろけられるチャンスを得るのですか」

アル : 「えっ……?」

シエル : 「......僕寝てていいかな?」

アル : 「シエルさん、ぼくもなんだか寝たい気がしてきました……」


この温度差である。


カルミア : 「まあ、おふたりともなにをおっしゃるのです。お作法ですのよ。わたくしちゃんと教わってきたのです」

カルミア : 「こうやって人々がよりあつまった時にするのは、恋バナです!」

リズ : 「素晴らしい文化ですね」

カルミア : 「ちなみに、恋バナがだめな場合は……怪談話か、秘密の打ち明け話!だそうです!それが古今東西構わず伝わる共通項だと聞き及んでおります……!」

GM : そう叫んだカルミアは荷物をごそごそ。謎のカードをパァン、と車座の中央にたたきつけます。

リズ : 「こ、これは?」

ソレル : 「カード?」

アル : 修学旅行の時にウノとか持ってくるテンションじゃないですか……。

カルミア : 「『人見知りでも怖くない☆おしゃべり話題カード』です!!」

ソレル : 「100ガメルショップで売ってそうね」


100ガメルショップ、1ガメル=100円であることを考えるとかなりの高級志向である。言いたいことはわかるが。


カルミア : 「ふふふ、わたくしの師匠直伝ですのよ。すごいんですのよ。これでわたくし、両親以外の人と目を見て話せるようになりましたもの」

シエル : 「い、嫌な予感がするんだけど。ちなみにそれはどういった話題が書かれているの?」

カルミア : 「いえいえ、極めて常識的な、素敵な話題がいっぱいです」

カルミア : 「今回は旅の途中なので、簡易版6枚にしますから、特に平和な話題だけですよ!」

アル : 「へ、へいわ……」

リズ : 「ま、まあ何事も経験ですよ経験……ふふふ」

アル : 「リズさん目がこわいです……」

リズ : 「そんなことあーりませんよ?」

アル : (隠れる人がこわいのでどこにいけばいいか困っている)(とらを掲げてみる)


ここで唐突に、ランダム表が提示される。その名も【人見知りでも怖くない☆おしゃべり話題カード】。

1:将来の夢の話

2:ついついやってしまう癖の話

3:面白い思い出話

4:好きな料理の話

5:今まで経験したこわーい話

6:恋についての話


カルミア : 今回は常識的なラインナップでお送りします。ね、平和でしょ?


ここでGMがダイスを振り、カードを引いて話題を話すPCを決定する。こういうの、なんかのオリエンテーションとかでみたことある。


GM : ではリズさんからですね。1d6をお願いします。

リズ : (ころころ)……好きな料理の話、ですね。

カルミア : 「あ、料理の話ですね! リズさんはお料理食べるのお好きですか?」初っ端からテンション高くつついてきます。

カルミア : 「甘党です? 辛党です? それともなにか他に珍味が……?」

リズ : 「私ですか?辛党ですねー、お酒好きですよ。おつまみ系って目が行っちゃいますよね」

とらねこ : 「みゃう!」 しっぽぴこん。

リズ : 「お、とらちゃんもお酒好きー?今度つきあってよーなーんて」

とらねこ : 「みん! みん!」しっぽを立ててリズさんの周囲をうろつき始めます。

リズ : 「ふふー。今は何も持ってなくてごめんねー(ナデナデ)。流石に旅先だとなかなか固定されたものしか食べられないけど、エイひれでしょー梅水晶でしょー揚げた芋にハーブ塩かけたのとかも鉄板だし、あと地鶏に更にひき肉餡つめてあげたやつとか……あーお仕事終わったらまた飲み行きたいなー」

アル : リズさん、完全にOLのおねーさんのオーラを身に纏ってます……。

カルミア : 「聞いたことないお料理ばかりだわ……。今度食べてみようかしら」

カルミア : 「みなさんもそんなお料理を普段食べてらっしゃるんですか?」と他の皆さんにお尋ねします。

アル : 「えっと、ぼくは辛いのはちょっと苦手で……焼き菓子とかが好きです」

カルミア : 「お酒もお菓子も、持ってくればよかったですね。そうしたら、お酒とお菓子でミニパーティが出来ましたわ」

ソレル : 「私は野菜とか果物が多いかな。森の特産なんだけど、甘栗が好物で。お酒も飲まないわけじゃないけど、付き合うくらいかな」

リズ : 「甘栗!」

ソレル : 「ご存知ですか!」

リズ : 「手でパキッとやるやつですよね!甘くて美味しくて止まらないやつ!」

ソレル : 「ほんとそうなの、美味しいんだ~」

カルミア : (知らない食べ物の話題がいっぱい出てるので裏でメモってる)

アル : ソレルさんとリズさんのこの波長の合いようは一体……。


シエル : 「僕は……。お金が、ないから……。そういった贅沢を……するわけには……いかないんだよぉ……」小声

リズ : つらい!!

リズ : 「え、お仕事終わったら、贅沢は出来ないにしても一回飲みに行くくらいの余裕はできますよね?」(きょとん)

シエル : 「うぅぅぅぅう、うぅぅぅぅ……。」毛布被って不貞腐れてます

リズ : 「あれ・・・?」

カルミア : 「し、シエルさん! わたくし頑張ってもっと思い出しますから、シエルさんもいっしょに飲みに行きましょう!!!」

カルミア : 「1000G!!」

シエル : 「1000G~!」

GM : では、そんな風に思った以上に食べ物の話題で盛り上がり。そのテンションのまま、君たちは帰った後居酒屋に行く約束を取り付けた!!

GM : 若干数名、「取り付けられた」のかもしれませんが……。



カルミア : 「次は……(ころころ)、ほらシエルさんも、引いてくださいまし!」

シエル : 「ええ、僕も引かなきゃダメなのぉ?……(ころころ)」

カルミア : 「だめです。はいはい、ついついやってしまう癖の話ですね」

シエル : 「癖かぁ。あんまし大っぴらにできるような話じゃないんだけど、僕はもともとスラム出身でさ。生きる術というか、一時期スリをしていたことがあったんだよね」

とらねこ : 「み……」

シエル : 「今はそういうの痛い目を見たからきっぱりやめたんだけど、昔の癖でさ。荷物とか無防備のままだと、ほら、ね」

カルミア : 「??」きょとん

シエル : 「……いや、さすがに依頼人から奪ったりはしないよ。ごめん今のは忘れて、あまり話題にするべきことじゃなかった……」と一人でしょげてます。

カルミア : 「……?よくわかりませんけど……。苦労なさったんですね」

シエル : 「……今の借金地獄と比べてたら数倍マシだったけどね。」

リズ : 「ほう、それで今もそういった技能をお持ちなのですね」と納得顔。「それでご飯が食べられているなら良いではないですか」

シエル : 「この盗難癖のせいで冒険者の仕事する羽目になったわけなんだけどね……」

ソレル : 「冒険者は当たれば大きいから! めげずに頑張ろ!!」

アル : 「き、きっとこれからいいことありますよ!」


GM : ではお次は……(ころころ)、アルさん。

アル : 外が雨降りしきる中、焚火囲んでこういう会話してる図、いいですよね……(ころころ)。今まで経験した怖い話、ですか……。

アル : 「人がいっぱいいるとこはいつもこわいですけど……」と本人としては至極当然の前置きをした後。

アル : 「街に出てきた時、色んな男の人がぼくにずっと話しかけてくるのが特に怖かったです……、『お嬢ちゃん、ヒマ?』とか『おにーさんとお茶しない?おごってあげるよ』とか……。なんでそんなにぼくに話しかけてくるのってこわかったです……」

リズ : 「誰だそいつ殺してやる」

ソレル : 「どうどう」

シエル : 「リズさん、目が本気です」

アル : 「でもリズさんと一緒にいるようになってからそういう人も来なくなったので、今は大丈夫です。……えっと、だからって訳ではないですけどリズさんには感謝してます。ありがとうございます」ぺこり

リズ :「あ、あの、それは……私には勿体ないお言葉で……!」とあわあわしてます。

アル : 「そこはいつもみたいにドヤ顔でいいんですよ」

リズ : 「うう、はい……。でも次にそんな輩が来ましたら、ぜひ遅滞なく報告してくださいね?」

アル : 「だ、大丈夫だとは思いますけど……」


GM : では次はー……(ころころ)、ソレルさん。ちゃんとPC全員に回ったな

ソレル : 「話題は……(ころころ)、将来の夢、ね」

カルミア : 「なりたいこととか、やりたいこととか……ありますか?」

ソレル : 「ハンサとの話になるんだけど、今はライダーギルド所属になってるからどうしても自由が利かなくて」

ソレル : 「だからお金をためて、騎獣専有証を買って、ハンサをもう1回ちゃんと私のものにする。それが、私の夢かな」

ソレル : 「あ、私のものなんて言っちゃった、恥ずかし……」

カルミア : 「まあ……騎獣さんのことを、本当に大切にしてらっしゃるんですね。素敵です」

ソレル : 「はい! 愛してますから!」

リズ : 「ううう……、聞くだにおいたわしい。一刻も早くその日を迎えなくては。一緒にいたい者とは片時だって離れがたいものでしょう」

カルミア : (馬が伴侶だとは思ってないので、常識人でもにこにこ見守ってる)


GM : あとはカルミアとねこだけですねー(ころころ)……ねこか。で、話題は怖い話、と。

GM : じゃあねこは、ちょっとカルミアの方を見た。おしまい。

GM : そして夜は更けていく……。

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