1-2:船の上には
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……というところで、時間は現在に戻る。
冒険者たちはカルミアと共にミラージ共和連邦海岸名物(?)『魔動無人ロープウェイ』なるものに乗り込んで砂浜へ。そこからカルミアが用意していた小舟に乗り込んで、ルフラン島への船路に旅立った。
そして、今。空は快晴に恵まれ、冒険者たちは蒼海を小舟で渡っている。
カルミアは桃色の髪を海風になびかせながら、恐る恐るという手つきながらも、着実に船を操っている。とはいえ熟練の船乗りに比べると帆の操作が甘いのは事実であり、船は少し揺れがちなようだ。
GM : とはいえ、揺れが平気な方にとっては、それなりに爽快な旅路でしょう。揺れはあるものの、船は徒歩とは段違いの速さで進んでいますし、晴れ渡った海の景色はなかなかに見ごたえのある光景です。みなさんは、船の上ではどのように過ごされていますか?
GM : 船酔いするかどうか判定したい人は、生命抵抗判定で目標値9です!
ここでPC達は全員ノリノリで船酔い判定を行う。しかし駆け出しとはいえ冒険者、全員余裕の成功であった。
ソレル : ちょっと乗れなさそうだったので、悲しい顔をしてハンサを彫像にしたよ……。
アル : 「わぁ……!」海は初めてですから、ちょっと嬉しくなっちゃいます……!
リズ : 「美しいですねえ」嬉しそうな顔を見て嬉しそうにしてます。
シエル : 「海はきれいだけど……、船せまい……。これ本来二人乗りとかでしょ、絶対」
カルミア : 「す、すみません。内緒で持ち出せる大きさには限界が……あっ」
シエル : ジト目でカルミアを睨みます
カルミア : あせあせ
アル : 「リズさん、みなさん、ごめんなさい。狭くて……」
リズ : 「そのようなこと気にされませんでも・・・ご主人様は人より小柄でいらっしゃるじゃありませんか。あ、でもそんなに気にされるようでしたら、リズの膝の上はいつでもあいておりますよ。さあ」ポンポンポン
アル : 「それじゃあみなさんにも悪いですし……」と言いながらおそるおそる膝の上に。
リズ : 「ッシャー」(がっつぽーず)
GM : リズさん何か出てる、なにか出てる。
ソレル : 「あははっ、楽しくいきましょ、ね?」
アル : 「リズさん……?」
リズ : 何もでてませんよ。ほんとですよ。
シエル : 「主従コンビはいつでも楽しそうでいいなぁ。」
リズ : 「惚れた相手にどこまでもいられる。それはやはり良いことだと思いません?」
ソレル : 「思います!!」ビシッと挙手
リズ : 「ですよねー!!」キャッキャッ
ソレル : わいわい
シエル : 予想外の所で意気投合してるなぁ。
アル : 真正面からそんなこと言われると、照れちゃいますね……。
シエル : 「わ、話題を変えよう。......あれそういえば、カルミアさんが最初に話してた海と墓、の意味は分かったけど神様ってどういう事だったの?」
カルミア : 「あっえっ、わたくしですか?」わたわた。
シエル : 「うん、なんかいきなり早口に海~、墓~、神様~とか言ってたけどさ。」
カルミア : 「……。えっと、ですね。その……あまり大きな声では言えないのですが」
カルミア : 「ルフラン島には、神様がいるのです。正確には、神様がいるからルフラン島だ、といいますか」そういって、進行方向に浮かぶ緑の島を見つめて、目を細めます。
アル : 「神様がいるから……?」
カルミア : 「はい。今は、人の口にも上らなくなった神様ではございますが。あそこには神様がいらっしゃいます」
シエル : 「島限定の小神、といった所かな?」
カルミア : 「姫神ルフラン。蘇りと友愛による防護を司る、我らの神にございます」
姫神ルフラン。キャンペーンオリジナルの神格なので、当然PLも初めて聞く名前である。一応PC達が知っていたかどうか、GMから見識判定のアナウンスもあったが……。
GM : ……わかりませんねー。ちょっと、一般の知識にはないのかもしれません。本当に土着の信仰のようです。
ソレル : 「聞いたことはないけど、そういう神様がいたんだね」
カルミア : 「ええ。ルフラン様がおわしますから、ルフラン島。あそこでは、すべてものが蘇ると言われておりました。……いえ、蘇ると、わたくしは今も信じております」
リズ : 「ふーん・・・?」ピンとこない顔。
カルミア : 「ですからわたくしも、わたくしの記憶が蘇らないかと……。今回の旅路は、そういう思いも、ほんの少しあるのです」
アル : 「蘇るといいですね、記憶」
カルミア : 「はい!」
シエル : 「ぜひとも蘇ってもらわないと!」1000ガメル!
GM : では、まだ見ぬ1000Gに胸を躍らせていると……、代わりに島が見えてきました。
カルミア : 「あら、おしゃべりしていたら、時がたつの早いですわね。みなさん、もうすぐ着きますのでご準備くださいましね!」
そう声をかけるカルミアの向こうに、緑に包まれた島が見えてくる。
ルフラン島。
島の中心部は木々に囲まれ、森になっているのが見て取れる。しかし何より特徴的なのは、島の四方を囲む断崖絶壁だ。数十mを超える崖が、岸と、島の中央部を隔てている。岩や瓦礫でできた浜が崖の淵に沿って出来ているため着岸自体は容易であるが、本格的に島に入るには壁を越えていかねばならないだろう。
ソレル : 「……これは登るのも大変そうだー」
カルミア : 「……すごい崖でしょう? 昔から、この崖は「天然の要塞だ」って言われてたんです」
カルミア : 「魔動機文明時代までは、ルフラン島は大陸と地続きの、「セプテ岬」と呼ばれる地域だったそうですの。わたくしたちのご先祖様は、魔動機文明時代の終わりに、そのセプテ岬に住んでいた人々で。蛮族の大群が大陸の方から迫ってきて、もうだめだ!ってなった時に……蛮族たちと、ご先祖様がいた岬の部分に、奇跡のように大きな地割れが走って。そのまま、岬の部分だけ大陸を離れて、島になった」
カルミア : 「それが、ルフラン島です」
カルミア曰くこの断崖絶壁は、その地殻変動の名残らしい。『自分たちの先祖が神に守られた印だ』と、島民たちはこの崖を誇りに思っていると。
またミラージ共和連邦ができるほんの20年ほど前まで、この島はどの人族国家とも遠く、殆ど蛮族領域のようなものだったという。しかしこの崖が要塞のように、蛮族の侵略を阻んでいたそうな。
リズ : 「はあ……、それは凄い」
カルミア : 「……ああ、一人でぺらぺらと話してしまってすみません。わたくし、久方ぶりに人と話す機会に恵まれて、興奮してしまっているのかも。お恥ずかしい……」
ソレル : 「そうなんだ。昔からこんな感じなんだね」
カルミア : 「はい。わたくしが生まれる数百年前から、ずーっとです」
GM : ちょっとここで、カルミアが話した内容について、ちらっと見識判定振ってみましょうか。目標値は8です。
見識判定。セージをもつシエルが手堅く、素振りのリズが出目で成功した。
GM : では、シエルさんとリズさんは次のようなことがわかります。
GM : 確かに、ミラージ共和連邦周辺も含めたブルライト地方北東部の海岸は、〈大破局〉によって大きな地盤変動があった場所です。海岸線は太古の地層が数十mにわたって剥き出しになっていることで有名で、同様にルフラン島が崖に囲まれているのも納得できる話です。しかし、もとは岬だった場所が、これだけ沖合の孤島になった、というのはなかなかすごい話です。大破局では常識外れなことがいくつも起こったとは言われていますが、カルミアが言った「蛮族が迫る中、地割れが走って大陸と分断された」ということが真実ならば、まさに奇跡と呼べるような出来事でしょう。まるで、本当に神の意志の介入があったかのような奇跡です。
リズ : 「(こういうことがあるから皆さま神を信じるようになるらしいんですよねえ)」
アル : リズさんは元神官勤めですから、こういう話題は美味しいですね。
シエル : 「大破局を大陸と分断されることで生き抜いた……ですか。まさしく神が起こしたような奇跡ですね」
カルミア : 「ふふ、そうでしょう?」とちょっと誇らしそう。
GM : ……さて。そうこう言っているうちに、島が近づいてきました。
カルミア : 「では、着岸しますよ!」と帆を張る縄を手に取った時。
GM : ちょっとここで異常感知判定をば。目標値は9です。
突然の異常感知判定。PL達がにわかにざわつくが、メインスカウトのアルのみ成功。
GM : ではアルくんちゃんは、カルミアが小舟に積んでいた荷物の中から、ごそごそと音がしていることに気が付きます。それまで動いている様子もなかったのに、今になって妙にごっそごっそ。がっさがっさ。
GM : 荷物、開けてみますか?
アル : えっこわい……ですけど……。
とおっかなびっくりながら、おそるおそる荷物を開けてみるアル。
そうすると……。
「みゃーお」
ぴょこんと、荷物の中から茶色の虎猫が飛び出してきた。
アル : 「……えっ」
ソレル : 「ねこ……?」
GM : 虎猫はきょとんとした顔でアルくんちゃんを見上げると、ふんふんと鼻を鳴らしてます。
突然の猫に別の意味でにわかに沸き立つPL達。余談だがこの時、SGMも驚いていた。なんだこいつ。
とらねこ : 「みゃう……」(何らかの思考)
アル : 「カルミアさん、この子は……?」
カルミア : 「え?」
GM : とらねこは帆を操っているカルミアの足元をぐるぐる回り始めます。
カルミア : 「わ!?わっわっ」とカルミアは、一瞬帆から手を離しかけたんですが……。
GM : アルくんちゃんが事前に声をかけてくれたので、ちゃんと縄を持ったままです。セーフ!
GM : アルくんちゃんの声かけにより、カルミアが操作を誤ることなく、皆さんの協力もあり、船は無事にルフラン島に着岸したのでした。因みに、猫の存在はカルミアも知らなかったみたいです。
ソレル : 「はい、じっとしてようねー」と猫を抱えてるね。
とらねこ : 「みゃ」
リズ : 「(可愛い……、触りたい)」
GM : 猫は案外おとなしいです。一瞬カルミアにとびかかりハッスルしかけた以外は、おとなしくソレルさんの胸の中に納まっていますね。
アル・ウリーミア : 「にゃ、にゃー……?」とおそるおそるコミュニケーションを試みます……。
とらねこ : 「みゃ……」(首をかしげている)
リズ : かわいいで死んじゃう
ソレル : ねこの両手を持ってポーズをとらせるよ。
とらねこ : やんや、というポーズ。
アル : 「ふふ……にゃーにゃー……」
リズ : 「ぶふっ」可愛いと可愛いと可愛いが積み重なってなんだここ既に天国ですか。
シエル : 「カルミアさん、この猫は?」
カルミア : 「うーん、うちの猫ではないのですが……。間違えて荷物にまぎれてしまったのでしょうか。この島に置き去りにするのもかわいそうですし……、お手数をおかけするのですが、ねこちゃんもいっしょに連れて行っても……?」
アル : 「大丈夫だからねー、ほらほら~」肉球ふにふに。ネコチャンと戯れてて若干話を聞いてないです。
リズ : 「ええ、主もすっかりお気に召した様子。是非それをひきはなすなんてとんでもない」
ソレル : 「賛成なのにゃ!」猫の手を挙げて。
とらねこ : 「み……」(なんか恥ずかしそうだがポーズ)
アル : かわいい!
リズ : かわいいよぉ!
ソレル : にゃはは
カルミア : 「ありがとうございます! では、猫ちゃんもいっしょに、早速いきましょう!」
GM : カルミアはほっとしたように息を吐きながら、小舟を浜に固定します。
カルミア : 「目的地の洞窟は、もっと奥の方です。近くに着岸できればよかったんですけど、潮の流れ的に難しくって。ごめんなさい。じゃあ、いきましょう!」
GM : そんなわけで、砂浜ピクニックです!
シエル : ……あの猫、このせまっ苦しい子船の、それも荷物の中でずっと静かにしてたのか?かなり揺れてたのに?
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