ひなまつり

「もーいーくつねーるーとー」

「うん」


「ひーなーまーつーりー」

「えっ」


「ひなまつりには、たこあげてー」

「えっ」


「こーまをまわしてあそびましょー」

「えっ」


「もーいーくつねーるーとー」

「……」


「ひーなーまーぁつり~」

「最後までいった!」


「あれ、何かおかしいような」

「途中で気づけよ」


「もう一回やり直しますね」

「今度はちゃんとやれよ」



「もーいーくつねーるーとー」

「おい」


「ひーなーまーつーりー」

「おいぃぃ」


「おだいりさーまと、おひなさまー」

「唐突な軌道修正!」


「あっ……だ、だめっ……みんなが……見てるからっ……」

「ざわつく三人官女に囃し立てる五人囃子!」


「もーいーくつねーるーとー」

「おい」


小姓こしょーおーがくるー」

「浮気相手!」


「何ですかセンパイ、その漫才師みたいな突っ込み方は」

「俺だってやりたくないよ。誰だよ漫才みたいな真似してるのは」


「今度こそちゃんとやりますからね。マジ漫才MANZI

「どうでもええAがなぁ……」



「あかりをつけましょ爆弾に~」

「うん」


「ドカンと一発ハゲ頭ー」

「ほう」


「五人囃子も死んじゃったー」

「ほほう」


「今日は悲しいお葬式~」

「ヒャッホー!」


「……なんですかセンパイその合いの手」

「正真正銘のお約束をやってくれるもんだから、つい嬉しくって」



「ではここで突然ですが、十二単クイズ~! ドンドンパフパフ~」

「効果音自分で言うんだ」


「お雛様と言えば十二単。そんなわけでコーハイちゃんも平安娘コスで登場です」

(折り紙みたいって言ったら怒られそうだな)


「なんと! 正解する毎に一枚ずつ脱いでいきます!」

「そういうのは求めてない」


「第一問。十二単の枚数は決まっていない。◯か×か」

「うーん……×」


「残念。正解は◯。名前の由来は諸説ありますが、枚数は決まっていません」

「へー」


「第二問。枚数は決まっていないが厳格なルールがある。◯か×か」

「んー……×」


「ざ、残念。正解は◯……フォーマルな場での服装として、季節に合わせた色などは決まっていました」

「あらら」


「だ、第三問。実際の十二単は、重さが15~20キロと大変重い。ま、◯か×か」

「×」


「ざ、残、念。本当に、重いんです、これ……」

「大変そうだな」


「ラスト……平安、後期にはっ、重ね袿を、五領、つまり五枚に制限する『五衣の制』が定めっ、られたっ……マ、ルか、」

「×」


「鬼! 悪魔! 悪代官! 『良いではないか』くらいしてくださいよ!」

「桃の節句ってそういうことじゃねぇよ」

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