何の変哲もない会話劇

節分

「トリック・オア・トリートメント！　悪い子はいねがー！　キューティクルを疎かにしているハンプティ・ダンプティを突き落として始まるイースター・エッグで小僧から石を取り戻せ！」

「もはやネタを詰め込みすぎて何がなんだかわからん」

「え、やだなあ。節分と言えば『鬼はーそとー、福はーうちー』じゃないですか」

「なまはげくらいしか鬼要素ないよね」

「今日は全国で合法的にあのパロディが許される日ですからね、みんな大はしゃぎですよ」

「別に合法でもないし、やりたいやつは年中やってない？　それ」

「はい全集中～」

「うん」

「3年B組の呼吸！　壱ノ型」

「うん？」

「『腐ったミカンの方程式』」

「腐ったみかんが一つあると周りのみかんを腐らせてしまうっていう教え！」

「3年B組の呼吸！　 弐ノ型」

「えっ」

「『人という字は、人と人とが支えあって立っているという訓示』」

「それ後に本人が全否定したやつ！」

「教師し隊　金柱（きんぱちら）！」

「お前は海援隊だこのバカちんがっ！」

「僕は死にましぇん！　あなたが、鬼にしてくれたから！」

「過去の名作にどんどん鬼の血が混ざり込んでいく！」

「ところで某鬼っ娘のトラ柄ビキニで竹筒を咥えたら超ヤバくないですか」

「そういう生々しいのはちょっと」

「最近ダーリン呼びするヒロインとか絶滅危惧種じゃありません？」

「もしかしたらあるのかもしれないが、主流ではないよな」

「ダーリンセンパイって言うと高校生同士で結婚した感じがして背徳感パないです」

「あれって押しかけ女房だけど、それも最近の流行りじゃないな」

「最近の流行りと言うと……恵方巻きを咥えてイワシの頭を角にしている系ヒロインですか」

「無理やり節分ネタに持っていこうとするんじゃない」

「作者的には節分ネタといえば半◯忍法帖ですけど。鬼役の小頭に豆をぶつけて的あてゲームの如き描写は今でも節分ネタの基本として捉えてますからね」

「今回パロネタ要素濃すぎない？　放課後にゲーム遊んでる漫画じゃないんだから」

「そもそも最近は豆を撒かないんですって。拾って食べられないから」

「確かに床に落ちた豆を食べるのってちょっと抵抗あるしな」

「じゃあコーハイちゃんが豆を投げるので上手く口でキャッチしてください」

「マシュマロキャッチかよっ！」

「投げるのはこのピッチングマシーン『鬼滅くん1号』です」

「初代剣豪の人じゃん。絶対死ぬじゃん」

「大丈夫です、後一撃ってところで止まりますから」

「最後までパロネタか……」