第34話 瀬戸美月 実家の部屋を片付け始める

「それでね、お母さん。健司さんと一緒に引っ越すことになりそうなの」

「あら、それは残念。ウチに引っ越してくるんじゃないの?」

「うんうん、それは無いわ」

「いつごろ引っ越すのかしら?」

「引っ越し先が空くのが3月末なので、4月ごろよ」

「じゃあ、時間があるわね」

「時間?」

「あなたの部屋を片付ける時間よ」


 え?


「今度、誕生日のお祝いをうちでしましょう。健司さんも呼んでね。その時についでに片付けをするのはどうかしら」


 ごめんなさい、1日で片付くと思えないです。


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 瀬戸美月は、久しぶりに一人で実家に帰って来た。

 健司さんも一緒に行こうかと言ってくれたが、ミキちゃんの家に行ってもらった。

 私の部屋は、一人で片づけなければならない理由がある。


 久しぶりの、自分の部屋。

 1年前は、この部屋を片付ける日が来るとは思ってなかった。

 私のこの一年は、それまでの私の生活を大きく変える年になった。

 

 まさか、この私が現実の男性を好きになるなんて・・・

 想像もしていなかった。


 十年前の私に言ってあげたい。

 大丈夫。私は今は幸せだよ。だから頑張ってね。


 感傷に浸っていると、涙が出てきそうになる。

 

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 さて、まずは危険物を処理しなくては。


 奥の押入れを開ける。

 そこに隠している物。


 フィギュアや、いわゆる”薄い本”と呼ばれる本。

 中には、きわどい内容のものも含まれる。

 (ジャンルは・・・・秘密)

 とても、ごみ捨て場に持っていくこともできないような物たち。


 私は、それらをスマホで撮影。

 オタク仲間にメールで拡散。

 もしくは、オークションサイトで出品した。



 ちなみに、全部で数十万円になった。

 その後の発送作業はとても大変だったけど。

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