第33話 瀬戸美月 親友を助けようとする
美月とミキは高校からの親友である。
お互い、彼氏ができたため以前ほど長電話はしなくなった。
だが、たまには電話をする。
特に、ストレスが溜まっているときは・・・
「もう、年末からずーっと忙しくって困ってるのよ」
「ミキちゃんの仕事はこの時期いつも忙しいもんね」
「そうなのよ、海斗君も受験で大変な時期なのに~」
ミキは、美月に愚痴ってしまった。
「ほんと、忙しいの何とかならないかなあ・・海斗君の受験の助けになってあげたいだけなんだけど」
すると、美月は嬉しそうに言った。
「簡単よ、明日はどちらの家に泊まる予定なの?」
「ウチだけど?」
「こういうときはね。親友を頼りなさい」
「え?」
明日は土曜日だ。ミキは仕事でも、美月は休みである。
美月は思った。
”ミキちゃんの代わりに、私がご飯を作ればいいじゃない”
次の日、美月は健司にミキの家に行くと伝えた。
「健司さん。ミキちゃんが忙しいみたいなのでご飯を作る手伝いに行こうと思うんです。いいですか?」
「あぁ・・・じゃあ、俺も行くよ」
「え?健司さんも?」
「多分大丈夫と思うけど、海斗君と二人きりなのはまずいんじゃない?」
「あ」
もう一つ健司の不安。
美月に一人でご飯を作らせるのは、まだ心もとないのだ。
次の日、ミキの家に健司と美月はやって来た。
呼び鈴を押すと、海斗君が扉を開けた。
「こんにちわ~」
美月が挨拶する。健司も一緒である。
「あ・・・あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう~今年もよろしく!」
健司と美月はエコバッグをもっている。
健司が言った。
「受験で大変だと聞いてね。ちょっと手伝いに来たんだよ」
「おじゃましま~す」
勝手知ったる親友の家。美月は中に入る。
健司は困ったように言う。
「その・・なんだ。海斗君は勉強していてくれ。その間、勝手に台所を借りるから」
「え・・でも・・」
「まぁ。美月も張り切ってるし。すまんね」
その日、やはりミキは仕事で遅くなった。
家に着いたのは21:00
鍵を開けてドアを開ける。
「海斗君ごめん。すぐにご飯作るわね・・・」
すると、料理のいい香りがする。
”しまった、海斗君に作らせてしまったか・・”
そう思ったときに、声をかけられる。
「おかえりなさい、ミキちゃん」
親友の、美月である。
「え?美月なんでいるの?」
「俺もいるよ」
美月の彼氏である早乙女健司が台所から出てくる。
リビングに入ると、海斗君が困った顔で振り向く。
「勉強していていいって言われたんですけど・・」
テーブルの上には料理が並んでいた。
早乙女健司が言う。
「受験生は勉強に専念すればいいよ。こういう時は大人に頼るべきだ」
美月も言う。
「いつもミキちゃんに助けてもらってばかりだからね。困っているときは友達に頼ってほしいわ」
ミキは・・目頭が熱くなるのを感じた。
「う・・・ありがと・・」
「ちなみに、日持ちするものを作り置きしておいた。冷蔵庫に入れてあるよ」
健司が言う。
その日、海斗は勉強しながら横目で見ていた。健司があっという間に様々な料理を作っていく。その手際の良さに感心した。
自分も、あんな風になれたらいいな・・・と。
そして、もう一つ。
海斗にとって、非常に助かったこと。
勉強していてわからない所を健司が教えてくれたのだ。特に英語や数学。
その後、海斗は健司にメールでわからない所を聞くようになる。
ちなみに、美月は大学において文系であったが地理や歴史の問題を聞かれてもちんぷんかんぷんであった。
◇◇◇◇
『酔っ払っていた美人を介抱するために家に連れ帰ったら襲われて食べられちゃいました』
アフターストーリー⑤ 受験
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054935700650/episodes/1177354055413689298
の、美月・健司側の視点になります。
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