第32話 瀬戸家 新年のあいさつ
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」
新年のあいさつをする。
「わざわざ、すみません。さぁ、上がって頂戴」
瀬戸さくらさんに案内される。
「健司さん、よく来たね。遠慮しないで入って」
瀬戸菊夫さんにも言われる。
今日は、瀬戸家へ新年のあいさつに来たのだが・・
なんだろう?
この対応は、娘の彼氏というよりも。娘婿に対する対応では・・・?
「健司さん、お節料理食べて頂戴な。健司さんに手伝ってもらったんだし」
テーブルに並ぶ、お節料理の数々。
「あ・・ひなたちゃん、あけましておめでとう。これ、健司さんと一緒にお年玉ね」
美月が、妹である瀬戸ひなたに渡す。
「わあい、健司さん・お姉ちゃんありがとう~!」
お節料理をいただいていると、菊夫さんからお酒を進められる。
「健司君、まぁ一杯どうかね」
「いえ、車で来ているので・・」
「あらぁ。健司さん、今日は泊まっていったらどうかしら?」
さくらさんも、こう言って来る。
「やだぁ。お父さん・お母さん。この後、健司さんの家に行くんだからだめよ」
美月が断ってくれた。
危ない、危ない。
油断すると、帰れなくなる。
「あはは、またそのうちゆっくりさせていただきますので・・・」
2時間ほど滞在して、瀬戸家を後にした。
「また、ぜひ来て頂戴ね」
「健司君、待ってるからな」
帰り際に、ご両親ともども言ってくれた。
解せぬ。
まだ付き合って半年たっていないのに。
瀬戸家に来ると、もう結婚したかのように扱われる。
どんどん外堀を埋められていく気がする。
「健司さん、あのこと言わなくてよかったんですか?」
「あ・・・しまった」
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