第22話 瀬戸美月 イベントに行く

「ひさっしぶり〜!」

「ひさしぶりね〜」

今日は、久しぶりに友人の和子ちゃんと約束をして出かけることになっています。

私でも、ミキちゃん以外にも友達はいるんです。

ミキちゃんと和子ちゃんと・・・あれ?

・・・・友達は数が大切なんじゃないです。付き合いの深さが重要です!


待ち合わせしたのは、国際展示場駅。

今日は、ここでイベントがあるんです。


そのイベントとは・・・ゲームイベント!

今日は金曜日。会社は有給を取りました。

ちなみに、健司さんには内緒です。


「じゃあ、私は更衣室に行くのでちょっと待っててよ。今度、美月も一緒にやろうよ」

「あはは、遠慮しておきます」

「美月だったら似合うのに。絶対ハマるって」


30分くらい待って、和子ちゃんが戻ってきた。

「おまたせ〜」

和子ちゃんの服装は・・・ゲームキャラそのもの。結構際どいヒロインの格好。

そう、和子ちゃんはコスプレイヤーなのです。

「わぁ、写真撮らせて!」

「はあい」

そしてポーズを決める和子ちゃん。

かっこいいですね!スマホで写真を連射!

和子ちゃんとは大学で知り合いました。お互い漫画やアニメが好きなオタク同士意気投合したの。

その頃の私達の格好は・・・今よりちょっとひどいかな。

和子ちゃんは太っていていつもGパンの女の子でした。

それが、ある日コスプレに目覚めると、みるみる痩せて化粧も上達。

今ではすっかり、モテ女子です。


スマホで、写真をチェックしてもらう。

「美月ありがと、あとで送って!」

「もちろんよ」


そうして談笑しながら会場に二人で向かいました。

まず、入ってすぐの大手ゲーム機メーカーのブースに向かいます。

まずはここで、最新ハードのチェックを・・・


その人物が目に入った瞬間。私は後ろを向きました。

「ん?美月どうしたの?」

「・・・うぅ・・・私、かえる・・・」

「えぇ?」


とりあえず会場をでる私達。

隅っこの影になっているところで話します。

「いきなりどうしたのよ」

「あのね、彼氏が出来たって話はしたよね?」

「うんうん、ついに美月に彼氏が出来たって。先を越されたなー」

「その彼氏が・・いたの」

「えぇ?見間違いじゃないの?」


スタッフの色のネックストラップをつけて、作業着姿の健司さん。

見間違えるはずがない。

そういえば今朝、朝ごはんを食べながら言っていた。

”今日は急にイベント設営に駆り出されて・・午前中は出かけるんだ”

”へえ、珍しいですね”

”イベントでも、サーバーを立ててネットワーク環境を構築する必要があるからね”


「で、やっぱり合ったらまずいの?」

「だって・・・有給使ってゲームイベントに行くなんて言ってないし」

「あらら、言ってなかったんだ」

「だから、和子ちゃん一人で見てきて!」

「はあ?」


結局、和子には一人で見に行ってもらった。

この埋め合わせは、必ずするって約束をした。


ーーーー


夜、一緒にご飯を食べている。

今日の晩御飯は、トマトソースのニョッキ。

健司さんに作ってもらったんだけど・・・

サラダも添えている。それは私が作りました!


「健司さん、今日イベントだったんですって?」

「あぁ、ゲームのイベントでね。3時くらいまでかかっちゃったよ」

よし!

前から、健司さんに聞きたいことがあったんです。

「健司さんって、ゲームはやらないんですか?」

少なくとも、ゲーム機材は家にはないです。

そもそも、健司さんはTVもあまり見ない。

「昔やったけど、最近は全くしないなぁ。」

「へえ、どんなのやったんですか?」

「そうだね、RPGとか格闘ゲームとかかな

 S○○A ○○ー○を持っていたよ」

「今はやらないんですか?」

「やらないね、ハード機材はもう無いし」


正直に言います。

私、瀬戸美月はゲームが大好きです。

実家には各メーカーのゲーム機がありました。


もういい加減、ゲームのない生活に耐えられません。


「じゃあ、今度一緒にやりませんか?」

「え?機材は?」

「実家にあるのを取りに行けばいいですよ」

「はぁ、取りに行くんですか?」

「はい、今度私が仕事帰りに取ってきましょうか?」

「週末でも大丈夫ですよ」

「じゃあ、今度の週末に行きましょう」


よし!!これでゲームのある生活ができる!

心の中でガッツポーズをする私でした。



「ところで、そのイベントで後ろ姿が美月に似た女性を見た気がするんだけど・・」

「ヒトチガイデすよ。あはは。。。」


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