第17話 瀬戸美月 悩む

瀬戸美月は、悩んでいた。




「どうしよう・・・」

真剣に悩んでいた。







場所は、駅近くの書店。

と言いたいところであるが、アニメショップである。

美月の前には平台に積まれた書籍・・・いや漫画が積まれていた。

POPには、”いまなら販売店特典を進呈!!”と表示されている。


実家に住んでいるときには、もちろん躊躇なく購入している。それどころか”他のお店も回って特典コンプリートしちゃおうかしら?”と言って悩むくらいであった。


しかし、今は美月は彼氏である早乙女健司と一緒に住んでいるのである。

ここで、この本を買ってしまうと健司の家に持ち帰ることになる。

”健司さんに軽蔑されるかも・・・”

心配である。


そう、心配になるような内容の本なのであった。




もう、その店に30分以上滞在している。


欲しい・・でも、健司さんにバレたくはない・・・


究極の悩みであった。



やがて、滞在時間が1時間になろうとしている時に思いついた。


”そうだ!買ったあとに実家にで送りつければいいじゃないか!”


我ながら名案である。

実家に送れば、きっと美月の部屋に置いておいてもらえるはず。


そして、美月は満面の笑みとともにその書籍を購入したのであった。


お店を出てすぐに、駅近くの郵便局。

美月はすぐさま入り、実家に購入したばかりの書籍を送付したのであった。

ちなみにその本は電子書籍でも購入している。

内容はスマホで読むことができるのであった。



ーーーー


数日後、健司の家に宅急便が届けられた。

受け取ったのは健司。


よく見ると、宛先に書かれていた名前。

”早乙女 美月様”


健司は、驚愕する。

ええ〜!?なんの間違い!?


しかし、送り主をみて納得する。

送り主は、”瀬戸 さくら”。


悪い冗談だ・・・


「あ・・美月。なにやらさくらさんから荷物が届いたよ」

「え?お母さんから?」

「ええと・・さくらさんに、宛先はちゃんと書いてって言ってくれないかな・・・」

美月は、宛先を見て真っ赤になった。

「え。。まだ早い・・・」

いや、まだ早いって・・・


ダンボールを開ける美月。

すると、さっきまで赤かった顔が、一気に青くなった。


「美月?何が入っていたの?」

「いや・・なんでも無いです・・」



美月は、慌てていた。

この間実家に送った漫画・・・

それが、そのまま健司の家に送られて来たのだ。


もう、泣きそうになった。

どこに隠そう・・・

そして今後、どうすればいいのかしら・・・




美月は漫画が出るたびに悩むことになるのであった。

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