第9話 瀬戸美月 彼氏と初めて喧嘩をする

「健司さん、一人でワイナリーに行くなんてひどいです!行くなら行くって言ってください。」

健司は部屋の空気がひんやりしたのを感じた。

笑顔で・・でも、ものすごい圧力を感じさせる、美月の笑顔。

有無を言わせぬ、笑顔。


あぁ、これと同じ光景を前に見たな・・・

瀬戸家で見た、美月の母親のプレッシャー

それを美月は全く同じように再現させている。

さすがは親子・・・


「ごめんなさい、本当に反省してます。」

こういう場合、素直に謝るしかない。

健司は過去の経験で痛感している。


「私、健司さんがお酒を飲んでも運転を代わることができるように、免許を取ろうとしてるんです。ようやく検定に合格して仮免許を取ったんですよ。それなののに・・・」

「すまない、そんなの努力してたんだ。」


そのあと、美月の説教は30分以上続いた。

その後は、仲直りしたのだが。

(夕食の豪華なステーキで機嫌が直った)


美月と健司の初めての喧嘩。

喧嘩と言うよりも、美月が一方的に健司を説教しただけなのではあるのだが。

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