第8話 瀬戸美月 教習所に通う

その教習所にいた人々は、入ってきた女性を見て騒然となった。

”あんな美人も通うのか・・”

”かわいいなぁ・・学科教習で一緒にならないかな”

”話しかけるチャンスとかないなぁ”

みんなの注目を浴びながら、瀬戸美月は受付に行き、手続きを行った。

「はい、瀬戸さん。AT限定でよろしいですね?」

美月の実家の車も、交際相手の健司の車もオートマチック車である。

「はい、それでお願いします。」

「それではお支払いですが・・」


こうして、瀬戸美月の免許取得の戦いが始まったのである。


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「瀬戸さん、本当ならこんなんじゃハンコなんて上げられないんだけどね」

もう、何度も聞いたとの言葉。

「すみません・・」

特に、クランクと駐車が苦手。

(それができないと免許取った後とても困るのであるが)


何度も繰り返した技能教習。でも、今回クリアすれば一区切りである。

「じゃあ、今回はおまけしておくから。

 次は仮免許の検定だから、頑張るんだよ。」

そう・・ついに検定までたどり着いたのだ。

仮免許がもらえれば、路上教習。

一歩前進である。



・・・・結局検定は、なんとか2回目で合格した。


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「やった・・やりました!」

仮免許を取得した土曜日。

夜に、健司の家に行く約束をしている。

健司の家に向かいながら、仮免許を自慢しようと考えていた。

思えば、教習所と料理教室に通っているせいでなかなか会えない日々。

美月も寂しく思っていたのだ。


でも、きっとこの仮免許を見せれば褒めてもらえる!

足取り軽く、健司のアパートの前まで来た。


アパートの前の駐車場。健司が車のところにいるではないか。

トランクを開けて、何やら荷物を下ろしている。


ちょっと、驚かそうと思い足音を殺し健司の背後に忍び寄った。


「健司さん!こんばんわ。何を運んでるんですか?」

と後ろから声をかけた。


「あ」

驚いた声で、健司は振り向く。

その足元にはワインの瓶が何本も入った箱。


それを見た美月は、健司がどこに行っていたか察した。

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