★クライマックスフェイズ「古代vs未来」

   登場:全員


GM:いよいよクライマックスフェイズです。PC全員が、ヘリで海上ガス田に移動を完了しました。


 ――A県南部の沖合、デルフ海上ガス田。

 鉄骨と巨大なマリンフロートで組まれた、人工島の上に4人は集合している。

 怪獣を受けとめるために起動されたタイフォン2号機。

 そして、ユニコランナーも配備済みだ。


GM:こちらのタイフォン2号機は搭乗しての操縦は不要。怪獣が射程に入った後に、遠隔操縦で敵を捕縛する設定になっています。


一角ジュード:「ハハっ!まさか……こんなスゲーマシンと肩を並べて戦うことになるなんてな!」「……詩子ちゃんが見たら喜びそうだな、こりゃ」


一衣舞佳:「詩子……」


 ――舞佳の視線は海の向こう側……怪獣が来る方角を見据えている。

 現在時刻は16:00。

 怪獣到着予想時刻まで、あと20分。


 周囲は見渡す限りの水平線。天候は曇り。海は凪いでいる。


たつま(女):「ジュードォ! テストなんてしてねえ、とにかく必要な出力を出すことだけしか調整してねえ危険物だ! 壊れ物みてーに気を付けてそーっと急いで全力で一気に使えよ!」 登場で90%越えた……俺ジャームになっちゃう?


一角ジュード:「ハッハッハ!無茶言いますね支部長!まぁどうにかしますよ!」 なってくれたら心置きなく始末できるな……。


たつま(女):おかしいな、PC単位だと恩恵しか与えていない筈なのに、ジュードPLからたつまへの殺意が高い。


鬼頭哲太:「……いつでもいけます」 左手首に目をやりながら。



 残り15分……10分……5分。


 『ゴポッ……ゴボボッ……』


 にわかに、視界前方の海面が波立ち、大きく盛り上がる。


機獣:『TYPOOOOoooo―――――――!!』


GM:海を割り、半獣半機の威容が姿を現した! 機体全体に爬虫類の尻尾めいた触手の侵蝕が進行している。


一衣舞佳:詩子……こんなに大きくなって……。


鬼頭哲太:成長期やもんな。


GM:身長、追い越しちゃったね……。じゃなくてね。


 触手の発生点の中心、操縦席には半異形化した詩子の姿もある。


四方木詩子:「(だれ、よんでる? だめだ、もう、なにもわからない)」


  機獣は4人の立つガス田を一瞥すると、再び海に潜り始める。

 海底に向かうつもりだ!


一衣舞佳:「行かせない!」


たつま(女):「今だァ、タイフォン2号起こせェッ―――――!」


 唸りをあげるディーゼルエンジン!

 龍馬の号令と共に、ガス田上のタイフォン2号が動き出す!

 40mの巨体が海をかき分けながら猛進し、鉄塔のような巨大油圧アームで機獣とかみ合う!


 『TYPOOOOoooo―――――――!?』


 ぶつかり合う鋼と鋼!

 二大怪獣の激突で発生した大波が、ガス田に押し寄せ4人の立つ足場を揺らす!


鬼頭哲太:「っぷぁ……! 今度は、逃がさない……」


一角ジュード:「――さぁ、準備完了だ! 行けるかい、舞佳ちゃん!」


たつま(女):「お前ら! これ持て!少しでも奴の気を引くぞ!」 たつまはしもふりにくを装備した!


鬼頭哲太:「……あんまりうるさくされると狙えないんですけれど……」


 哲太は怪獣を見据えたまま、隣にいる舞佳に声をかける。


鬼頭哲太:「一衣さん、大丈夫。全力で、行っても」


一衣舞佳:「……うん」


 「詩子には、何も壊させない―――――」


一衣舞佳:「状況、開始します!」


GM:強敵を前に、君たちの中のレネゲイドも騒めきだす! クライマックス戦闘の前に衝動判定だ!


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 PCたちが強力なジャームに遭遇したり心をかき乱された時、自身のレネゲイドを抑え込む〈意志〉の判定が発生します。

 この判定に失敗するとPCは暴走してしまい、敵からの攻撃に対するリアクションが一切できなくなります。そして、衝動判定の成否にかかわらず、レネゲイドが高ぶったことで侵食率が2D10%上昇してしまいます……恐ろしい判定だ!

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


鬼頭哲太:クリティカルして達成値19、意志が強い。侵食率はギリギリ94%。


一角ジュード:達成値8……いちたりねぇ! カバーリング役がここで暴走するのは致命的だから、仕方ない。古代怪獣のロイスをタイタス昇華して成功! 侵食は84%だ。何も見なかった、いいね?


一衣舞佳:出目9でジャスト成功……! 侵食はいよいよ102%。


たつま(女):たつまは《ヒューマンズネイバー》で衝動判定にボーナス持ちだゾイ。達成値13で成功。……侵蝕上昇ダイスが10ゾロ目で115%!? 《リザレクト》もうできねえんだけど!?


GM:さようなら支部長……。


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 侵食率100%を超えたオーヴァードは、大きくパワーアップする代わりに汎用復活エフェクト《リザレクト》を使用できなくなります。

 ここからは、自分の中のロイスをガンガン燃やしながら戦う、ジャーム化危険域に突入です。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


GM:判定には成功しましたね。全員なんとか湧き上がる衝動を抑え込むことができた。


鬼頭哲太:ロイスは今から取得して大丈夫でしたっけ?


GM:好きなタイミングで取って大丈夫ですよ。友情や敵意をたぎらせちゃってください。


一角ジュード:ここで詩子ちゃんと、タイフォン二号機にロイス取ろう。頼むぜ!


たつま(女):一角ジュード「P:○信頼/隔意」と、一衣舞佳「P:○執着/偏愛」でロイスとっとく。……死ぬなよ、部下たち!


鬼頭哲太:詩子とパイセンにロイス取ります。詩子が「P:○庇護/N:加納さんの……」、一角ジュード「P:○尊敬/N:隔意」で。


GM:加納さんの……なんだよ!


一角ジュード:みんな俺のこと避けるじゃん(←PC間ロイスが全員「N:隔意」)。


たつま(女):たつまのネガは「おーおー、若いっていいねえ」ってやつだし……。


鬼頭哲太:頭にもやがかかったみたいに眠い時にも、ジュードパイセンすごく元気なんだもん……。


▼第一ラウンド

・位置関係

[機獣、詩子] 5m [PCたち]


GM:配置はこの通り。ちなみに詩子は、機獣の持っているヴィークルに同乗状態。纏まって動く2部位エネミーです。


鬼頭哲太:セットアップはナシ。これ、詩子狙わずに機獣狙えばいいんですか?


一角ジュード:ゲヘヘ、コアであるお嬢ちゃんを始末した方が楽に勝てるぜェ

~!?


鬼頭哲太:外道。


GM:ふふふ、果たしてどっちがコア部位かな? ……いや、両方倒すまで戦闘続きます。エンディング分岐は起こりません。安心してやっつけな。


たつま(女):セットアップで仲間3人に《戦術》飛ばすぜ! 侵蝕100%でレベルアップしてダイスを3個追加だ!


GM:OK。おつぎはジュードだけど、なにかセットアップはあるかな?


一角ジュード:セットアップには何にもないが……演出的に、ここで合体変形する。


GM:ついに来るか、合体!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「うし――――行くぜ、男の一直線!」

 「ファイナルドッキングシークエンス、起動ッ!!!」


 駆ける一角獣、ユニコランナー!

 飛び出す機関車、レッシャーランナー!

 切り裂く航空機、ファイターランナー!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一衣舞佳:(メインテーマBGM)

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 三つの機体が集い、電磁力によって合体変形!

 三機の融合が、巨大な人型決戦兵器を顕現させる!!


 「希望の未来を掴むため! 世界の平和を守るため!! 」

 「明日へ向けての大疾走ッ!!」

 「突撃勇者バクソード!!一直線にただいま参上ッッ!!!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一角ジュード:キャバァーーーーン!!!!(背景で発生する爆発)


GM:機械獣にも劣らぬ巨体―――鋼鉄の守護神、デルフ海上ガス田に立つ!


一角ジュード:やりとげた……。じゃあ以降は画面登場率をPC①に譲るんで頑張ってくれよな!


一衣舞佳:


 舞佳は、シニア時代の打席に入る前のルーティーンを無意識に繰り返す。

 屈伸、深呼吸、素振り、集中……。


一衣舞佳:――《フルパワーアタック》を宣言。ラウンド中の行動値を「0」に変更して、〈白兵〉攻撃力ボーナス+20点!


GM:『AAAAaaaa――――!』 怪獣が咆哮する。それは、この時代に存在するはずの無かった『好敵手』の出現に対する歓喜の叫びか―――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

GM:まず行動値21の詩子、怪獣の頭部の行動から。範囲攻撃行くぜ~。


鬼頭哲太:早い……。


GM:PDW相当品の効果で「対象:範囲(選択)」化。メジャーアクションは《CL:ブラックドッグ》+《アームズリンク》+《雷光撃》+《スタンボルト》+《バリアクラッカー》! 装甲値無視&ガード不能の射撃コンボ。ダメージが入れば放心(ラウンド中ダイス-2個)も付与する生体レーザー攻撃だ!


 目標は一か所に固まっているPCたち全員!


GM:(コロコロコロ)――うお、13個も振ったのに全然クリティカルしない。達成値19!


鬼頭哲太:ドッジに挑戦。……達成値11で避けれず。


一角ジュード:装甲無視かぁ。ガードもできないしドッジ――16。惜しい。


舞佳:サイコロ13個振れるならワンチャン……ダメ。死!


一角ジュード:《マグネットフォース》で舞佳ちゃんをかばうぜ。


たつま(女):I(アイ)は哲太にカバーリングだ。


一角ジュード:ん、支部長はカバーリングエフェクト持ってないから、かばうと手番消費するぞ。


たつま(女):残りのやることといえば《戦術》と《妖精の手》くらいだからな。侵蝕的に《サイレンの魔女》コンボは温存しておく。


GM:そういう選択肢もアリか。では、怪獣の頭部と思しき部分から放たれる生体放電レーザーブレス! ダメージが……出目が腐った! 17点!?


鬼頭哲太:本当に13Dクリティカル値7の攻撃ですかそれ?


一角ジュード:17……17ダメージ!? カバーリングで2人分のダメージを受けて……1点残った。立ってる。


GM:嘘だろ、ボスの範囲攻撃ですよコレ……。


たつま(女):まぁまぁ、I(アイ)はちゃんと死ぬから。霧谷のロイスをタイタスにして復活。「キリタニィィィィイイイイイイイイイイイイイイ!!」と叫びながら怪獣のビームを受けて、アフロになりながらふっ飛ばされる。HP11で復活。


一衣舞佳:シュールだなぁ。


GM:余裕だなこいつら……詩子はイニシアチブプロセスに《加速する時》を使用! 割り込みでメインプロセスをさらに1回行います。目標はジュード! 先ほどと同様のコンボをもう一度打ち込んでやる!


一角ジュード:範囲攻撃じゃなくて俺だけ対象か。


GM:今範囲拡大手段が1発目で品切れなので。ガードできないのは変わらず――今度は達成値28。


一角ジュード:1回クリティカルしてドッジ24。おしい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ――ピュトンの口が大きく開かれ、全身の発電細胞が一斉に励起しだす

 口腔内のレンズ状器官に光が、エネルギーが収束してゆく……! 再び閃光!


 『『『 『 『 『   ZAAAAaaaaap!!   』 』 』 』』』


 ……そして一瞬遅れて、視界を塗りつぶすような雷光!耳をつんざく雷轟!

 レーザーによって大気の電気抵抗を低下させ、そこに高圧電流を流す“レーザー誘雷”攻撃だ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


GM:ダメージが装甲値貫通の27点! どうだぁ!


一角ジュード:「グッ、なんてパワーだ……! バクソードの装甲でも防ぎ切れない!!」 即死して《リザレクト》。HP2で復活!


 「うおおおおおお!!!!だが!!!俺とバクソードはこんなもんじゃ倒れてやれないぜえええええええ!!!!」


GM:頑丈なヤツ! ようやくPCの手番。行動値12の哲太君の手番、


鬼頭哲太:後方に下がろうと思いましたけど、この感じだと接敵しないのかな……。


一角ジュード:本体が突撃してくる可能性は高いが、俺の手番でエンゲージするから止められる。


鬼頭哲太:じゃあ、その場で撃ちます。マイナーでボルトアクションライフル使って射撃+5。コンボ『ローリン・リンカネーション』で機獣を狙い撃ち――達成値31。


GM:とても避けれんな……命中!


鬼頭哲太:「……下が海なら無茶をしても許してくれるかな」 そう呟き、スコープを覗く。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 頭のもやは晴れ、世界が正常に見える

 鬼頭哲太は敏感過ぎる。

 あらゆるものを感じ取るその性質ゆえ、精神にも肉体にも負荷がかかり過ぎる

 それを封じるための眠気である……だが、もうそれもない。


 ――銃声。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


鬼頭哲太:ダメージは39点の装甲値無視です。「……命中」 鬼頭哲太は外さない。


一衣舞佳:集中力が鋭すぎるから、その反動で普段はOFFになってるってことなのね。


一角ジュード:かっこいいぜ!


GM:針を刺すようなあまりに小さな一撃……しかし、急所を狙いすました一撃。怪獣の巨体が揺らいだ! だが、まだまだ元気だ。


一角ジュード:次は俺だぜ! マイナーで通常移動! エンゲェェェェェェェェェェェェェェジ!!! そして《コンセントレイト》+《鋼の馬》で決断的に機獣に攻撃!三回転して達成値35!


GM:なんてシンプルなコンボだ。 こっちは海に潜ってドッジするが……命中!


一角ジュード: 「行くぜェェェェェェェェ!!!!」 一直線に駆けだすバクソード!その手には爆走剣ストレート!――ダメージ35点!


GM:6点弾いて30点通し……ブッ壊された!


 「ストレートォ!! ディバイデッドォォォォォ!!!!」 斬!


GM:金属がぶつかり合い、激しく散る火花……飛び散る肉片と機械部品! バクソードの一刀が怪獣の身体に深い傷を残した。怪獣の巨体が海に倒れ込む……。


一角ジュード:「やったか!?」 こいつ二部位だからHPは少ないんだな……。


GM:――が、機獣はオートアクションで《イモータルライフ》発動。シナリオ1回、HPを10点回復して即座に復活。切断面から触手が生えだして、機械の骨格を繋ぎ合わせた! これが2億年を生きる《古代種》レネゲイドの力!


一角ジュード:「うおっ!?再生してる……なんて生命力なんだ!」


GM:フハハハ! 残機をまだ残していたのだよ! おっと、次は機獣の手番か。……ええい、エンゲージにジュードしかいないぞ。


舞佳:《フルパワーアタック》で行動値0になってて得した。


GM:では機獣はジュードをぶん殴るぞ。コンボ名は『巨影、海より現る』。マイナーアクションで《完全獣化》+《巨神獣化》。機獣のHP+50、攻撃力+15。ただしドッジができなくなる。


 海中から、触手に覆われた複数の機械腕が次々と現れる! そのシルエットは、さながら多頭の竜!


GM:メジャーアクションは《CL:ブラックドッグ》+《鋼の馬》+《ナイトライダー》。ジュードをブン殴ろう。18D+4で――達成値49!


一角ジュード:ぼ、ボスの面目! 一応ガードしよう。《グラビティガード》は……まぁいいか……。


GM:死に抜けするつもりか。ダメージは54点! 装甲値は有効です。


鬼頭哲太:パイセン死にましたねこれ。


一角ジュード:15点軽減して……39点素通し! 死亡! 《リザレクト》で8点まで回復して侵蝕100%突入だ。


GM:掘削機械が、固定杭が、次々にバクソードに食らいついてゆく!


一角ジュード:「バクソードでも腕相撲じゃあ勝てそうにないな……!」


一衣舞佳:これでようやく行動値0の私の手番!


 「……ジュード先輩。肩、借りますね」「……融けたら、すみません」


一角ジュード:「! ……いいぜ、キミの全力、俺に見せてくれっ!!」


一衣舞佳:マイナーは《氷の回廊》+《氷炎の剣》。メジャーで《コンセントレイト:サラマンダー》+《炎神の怒り》――コンボ名は『炎神全壊』。


鬼頭哲太:一衣さんの固定値ならほぼ確実に殺せます。


GM:どっこい、巨大化してHPがジャスト60点になってるぞ! 装甲を考えると66点は出さなきゃぁ倒しきれんなァ。


一角ジュード:そんな……そんな大ダメージが出せるものなのか!?(前振り)


GM:クク、ロイスを使ってクリティカル値低下でもしない限りはまぁ無理だろう……(前振り)。


一衣舞佳:先に保険かけときますけど、私こういうときにマジで出さない奴です。


一角ジュード:まぁ気楽にやろう。気楽に。


一衣舞佳:タイタスは使わず、諸々ボーナス足して19D+4!


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

 ダイスコマンドを入力してから、数秒のラグ。

 その後……チャット画面を埋め尽くさんばかりの大量の10面ダイスが転がる!

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


一衣舞佳:うわぁ、すごいことになった。


一角ジュード:気をつけろ……このダイスが転がる音、癖になるぜ


一衣舞佳:達成値49!


 鎧通しのような狙撃と、巨人の一撃で生まれた、確かな間隙。

 それまでしがみ付いていたバクソードの肩から、頭頂部へと駆け上がる。

 同じく機械の恐竜に取り込まれた親友と、相対するように。


四方木詩子:「(………!)」 操縦席に磔になっている詩子のうつろな視線が、舞佳を捉える。

一衣舞佳:「…………すぅ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 細く、長く、息を吐く。フルスイングのコツは、吐き出すことだ。


 雑念、思考、感情。余計な温度を捨てて、絶対の零に辿り着く。

 一衣舞佳は、自身の“サラマンダー”の力を、不完全だと称している。

 感情の振れ幅によって温度が激しく左右されてしまう、制御困難な欠陥品だと。


 それは、正しい認識ではない。

 不安定、ということは、振れ幅が大きい、ということだ。


 脱力からの、渾身。無想からの、激情。ゼロからの、最大出力。

 絶対零度、からの、


 「――――う、  ぉおおおああああああ゛ッッ!!!!」


 灼熱、一閃!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一衣舞佳:命中ボーナスも乗ってダメージ55点! PC1はドヤ顔ロールしてもよいと聞いて。


鬼頭哲太:かなり格好いい。僕も次は頑張るか……(マスヴィジョン使えるし)


一角ジュード:若い子が頑張っているのを見ると……お兄さんは嬉しいぜ!!!!!


一衣舞佳:わぁい!


たつま(女):装甲値6点で弾いて残りHP11点か。次でまとめて落とせるな。


四方木詩子:「あッ……がああああァァァァッ!!」 零点からの極点――自然にはありえざる熱変化の刃が、鋼鉄の骨格を両断する。経年・放射線・高圧力・地層の熱変化にも耐えられるはずのP.T.細胞が炭化し……崩れ落ちてゆく!


 「あつい……いたい! だれ、なの……じゃましないで!」

 「わたしは、このしたでねむっている……『ともだち』にあいにいくの……!」


一衣舞佳:「目ェ覚ませ、馬鹿詩子っ!! 『ともだち』なら……此処に、いるじゃない……ッ!!!」


四方木詩子:「わたしは……『ともだち』のことをぜんぶしってる……あなたは、しらない――――」


GM:その瞬間、うつろだった詩子の表情に戸惑いが浮かぶ。


 「……ちがう、わたしは……まいかと『約束』して、た」

 「相手の全部を知っていなくったって……」

 「あいてのことを信じて、かえってくるのを、待つって……」


 「――――まいか……たすけて」


一衣舞佳:「……言われなくったって!」


GM:クリンナッププロセスです。放心などのバッドステータスを回復してラウンド終了。



▼第二ラウンド

・位置関係

[機獣、詩子、舞佳、ジュード] 5m [たつま、哲太]


GM:ぐるりと手番が一周して2ラウンド目に突入です。


一衣舞佳:しかし、エフェクトを振るたびにギュンギュン侵食値が上がってゆく。


一角ジュード:楽しいぜぇ……帰ってこれなくなるまで命を振り絞るのはよぉ……!


GM:160%にいこうぜぇ……! じゃあ詩子はセットアップの行動――《融合》を使って機獣と完全合体を果たす。


一角ジュード:うげ。


たつま(女):なんじゃったかそれ。


一角ジュード:手番を放棄する代わりに取得エフェクトを全部受け渡すヤツ。まぁまぁヤベーな?


四方木詩子:「まい、か……!」 助けを求めるように伸ばされる手! しかし、詩子の全身が肉の触手の中に取り込まれてしまう……。


一衣舞佳:「詩子―――――ッ!!!」 普段からは想像もつかないような大音声とともに、伸ばされた手が、空を掻く。


たつま(女):なら、侵蝕だいぶ重いが《戦術》飛ばし直すぜ。もうひと踏ん張りだ、おめぇら!


一衣舞佳:《フルパワーアタック》を再度使用……!



GM:ではイニシアチブプロセス。機獣がこのタイミングで詩子から吸い取った《加速する時》を使用、即座にメインプロセス! 《要の陣形》+《吹き飛ばし》付きの2人同時攻撃コンボを食らえ! 命中したら6m強制移動でエンゲージから吹っ飛ばすぜ!――命中36!


一角ジュード:とりあえず俺はガード! 舞佳ちゃんが回避失敗したらかばうぜ!


一衣舞佳:《炎神の怒り》で19D振ればワンチャン……達成値15。


鬼頭哲太:流石に《リフレックス》とかでクリティカル値下がってないと無理か。


GM:じゃあダメージ60点。バクソードは2人分引き受けて120点のダメージ! 凄まじいパンチで6m後方に強制移動だ。


一角ジュード:ぐおお、派手に吹っ飛ぶ! 即死したので……タイフォン二号機のロイスをタイタスにした昇華! HP16で復帰!


一衣舞佳:ジュード先輩様様すぎる……。


GM:いつまで保つかなァ!


鬼頭哲太:僕の手番です。マイナーでボルトアクションライフル使用した上で、メジャーはいつものコンボ……そこに《マスヴジョン》を追加してダメージ+15――加えて詩子へのロイスをタイタスにして昇華、ダイスに+10して機獣撃ちます。


GM:全力で来たな。受けてやろう。


鬼頭哲太:侵蝕率は114%に。コンボ名『グリーン・リング・クリンナップ』――3回転して達成値51。


GM:ぐえぇぇぇ。ドッジはできないが《領域の盾》! 詩子を使ってカバーリングする。


一角ジュード:詩子を盾に!?


GM:なんか……詩子を束縛するためのパワーを大量消費して、防御力をアップするという演出で。


鬼頭哲太:「重い……」 レネゲイドの活性と共に感覚がより過敏になる。重く、肌に触れている上着を脱ぎ捨てる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「四方木さん、僕は加納さんにお慕い申し上げています」

 「あの人の苦労を打ち消すためにこの技を生み出しました」


 エンジェルハイロゥの光操作によって展開される何人もの鬼頭哲太。

 限界を超えた能力の行使。

 もしも遭遇したジャームが爆発するなら。もしも巨大なその体が崩れたら。


 「あの人はあなたを大切に思っているから……だから!」


 戦闘で発生する被害の問題を解決する、同時に複数個所から削るように壊す技。


 「――“グリーン・リング・クリンナップ(緑丸清掃)”!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一衣舞佳:冒頭の「もう苦労させない」→「俺が幸せにしてやる」ってこと……。


鬼頭哲太:ダメージは装甲無視の54点です。


GM:今落とせるのは怪獣だけですが……いい演出。うむ! ほぼジャストで詩子が倒された!


 『PYEEEE………―――TYEEEEEEEE』 機獣の身体から、大量の部品と触手が脱落してゆく。


GM:崩れてゆく怪獣の身体……その肉の間に、取り込まれていた詩子の姿が露出する。もう一押しだ。


たつま(女):「よっしゃあ! いけ、一衣!」 侵食率も限界なので《アドバイス》っぽい声援だけ送って手番を飛ばそう!待機。


一角ジュード:俺も待機だ。バクソードのアクチュエータが火花を噴き―――ゆっくりとエネルギーを貯めている。


一衣舞佳:(メインテーマBGM)


GM:ぬぬ。なら機獣がメジャーアクションで《CL:ブラックドッグ》+《鋼の馬》+《ナイトライダー》+《吹き飛ばし》だ。舞佳を潰すぜ!


一角ジュード:待ちな! 判定前に! ――――《時の棺》だ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「―――そこだぁぁぁぁぁ!!!!!」

 ブースト!!全快!!!

 エンジンフル稼働!突撃勇者バクソードが、その名の通り、最後の一直線を駆けていく!


 『PYEEEE………――――――TYEEEEEEEE‥…!?』


 突撃! 衝突! 巨大な機獣に組み付き、刃を突き立てる!!!

 放たれんとしていた機械腕が……舞佳に届く、その寸前で止められる。


 「悪いなピュトン! 俺たちの戦いは――もう終わってるのさ!!」

 「お望みの“好敵手”が……二人もいるんだぜ! あとはお友達同士に話させてやりなっ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一角ジュード:「さぁやれ! 舞佳ちゃん!! キミの手で――日常を取り戻せッ!! うおおおおおおおお!!!!!」


GM:その場から逃げ出さんともがく、巨大怪獣。マシンスペックでは互角のはず! だが、強き意志がそれを上回る! ……舞佳の行動です。


一衣舞佳:融けたらすみません(本気)


一角ジュード:その時はその時だ。大丈夫! 男の道はいつだって一直線だぜ!


一衣舞佳:絶対そこまでいらないと思うんですけど、場面的に全エフェクトぶっぱしたいのでぶっぱします(本気)


一角ジュード:ええぞ!ええぞ!


たつま(女):いまじゃ! ロイスをタイタスに!


鬼頭哲太:殺せー!


一衣舞佳:『炎神全壊』のコンボ全部乗せで。


 「…………同情は、するよ。誰も仲間がいないのって、辛いよね」


 「でも、」


 「――――詩子は、アンタには、あげない」


一衣舞佳:19D振って6回クリティカル――――達成値55。


 吹き上がる蒸気、火花を散らし悲鳴を上げる巨大な鋼。

 大音声が響き渡る中でも、彼女の声は、はっきりと響いた――――


一衣舞佳:ダメージダイスは6D+28で―――54点ダメージ。


GM:……機獣HP0!


一衣舞佳:「……人選だけは、褒めといたげる」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 灼熱、一閃!


 肉が、装甲が、機構が溶断される。


 『―――――――――。』


 怪獣は最後にひと吠えし、ぐったりとうなだれる。

 その叫びは、永劫の孤独から解放された安堵の声だったのか――――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


GM:これにてクライマックス戦闘終了です。


一衣舞佳:ほんの少しの寂寥感、ええですな……。


鬼頭哲太:お疲れドスサントス。


一衣舞佳:あとはこの後のバックトラックで、生きて帰れるかどうかなんだけど……。

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