ミドルシーン・08「モンスターにはモンスターを」
――怪獣化した巨大重機・タイフォン1号機が海中に没してから2時間。
会場では、UGN処理班による事後処理、ジャーム目撃者の病院搬送(もとい記憶処理)が行われている。
現場に集まったUGNスタッフの中には加納美鳥、そして……ヘリでこの現場に急行したUGN日本支部長・霧谷雄吾本人の姿がある。
霧谷雄吾:「……タイフォン1号機と融合した新たなピュトンは、海中を南方に向けて、ゆっくりと移動しています。」
「A県南方の海底メタンハイドレート層に眠る、同族を求めての事でしょう」
「……このままでは新たな怪獣だけでなく、海底のメタンガスまでもが大気中に解放され、地球環境に致命的な影響を与えかねません」
「怪獣の到達予想時刻は――――48時間後、ですか」
一角ジュード:映画特有のそこそこ長いけど、結局ラスト一時間ぐらいで決戦するタイムリミットだ。
加納美鳥:「………。あの場で、狙撃を中止させた私の責任です」 現場には、重い空気が流れている。
加納美鳥は見学会の参加者たちほぼ全員を無事避難させることに成功した。しかし、取りこぼしてしまったものも多い。
加納美鳥:「詩子が……オーヴァードになっていただなんて、まるで気付かなかった」「一番側にいながら……いや、側にいると思い込みまるで顧みてこなかった……」
消沈する加納美鳥に、霧谷はUGN日本のリーダーとして、残酷な宣言を告げる。
霧谷雄吾:「……。UGN評議会は、航空爆撃による殲滅作戦の準備に移りました」
加納美鳥:「そんな! まだタイフォンの操縦席内には、見学者が!」
霧谷雄吾:「タイムリミットまで可能な限り救出手段を探し続けます。しかし……」
一角ジュード:多分これ誰かが登場して「まだです!」ってやる流れと睨んでいるのだが。
GM:ですね。誰か出たい人います? いない? よし、舞佳にも揺さぶりをかけるか!
一角ジュード:卑劣なGMのPC揺さぶり攻撃だ!
鬼頭哲太:哲太くん出来るの加納さんのフォローだけなので。お譲りします。
一衣舞佳:ヒェ……登場します。流れちゃんと把握できてるかな……。
「……タイムリミットって」「待ってください……!」
一衣舞佳:「まだ48時間も猶予があるんですよ! それだけの時間があれば、救出も!」
霧谷雄吾:「……海上では、あの巨体を抑え込む手段がないのです。全身武器と化している、現在のタイフォン1号に取り付くのは自殺行為です」
霧谷は首を横に振るう。
「残念ですが、今回の懸案は話が『大きくなり過ぎた』」
「ここから先は、あなた達に重荷を背負わせてしまった私たち大人の仕事です」
霧谷雄吾:「……第二支部の皆さん。お疲れさまでした」
一衣舞佳:「ふざっけんな……!!!」
加納美鳥:「舞佳ちゃん……」
一衣舞佳:「『大人の仕事』とか、そんな体のいい言葉を、私の友達を殺す言い訳にしないで……!!!」
「『タイムリミット』とか、『可能な限り』とか……」
「便利な言葉で、見限らないで……」
「人の命を奪うことが、UGNの使命じゃないでしょう!!?」
加納美鳥:「違う……。これ以上、あなたたちエージェンとやチルドレンに……手
を、汚させたくないの。今回の件は、私の責任だから」
一衣舞佳:「…………責任を被って、詩子を殺すんですか。美鳥さんの、役に立ちたいって! 職場見学とかして、将来は、恩を返したいって……でも、美鳥さんには、立派な進路に行けって言われたって。詩子、寂しそうに言ってました! 貴女の事を、あんなに愛してるのに!」
加納美鳥:「――じゃあ、どうすればよかったの!」
「私だって知っていた! 」
「あの子を『こちら側』の世界から守りたかった!」
「側についていてあげたかった。でも――――」
加納美鳥:「それでも……私は清掃局のリーダーなのよ」
一衣舞佳:「どうしたらよかったのかは……私にも、分かりません。でも、今、助けることが出来たら、どうにかできるかもしれないじゃないですか……」
霧谷雄吾:「気持ちは、皆同じです。我々も救出を諦めた訳ではありません」
一衣舞佳:「……信用できません」
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一角ジュード:そうだ、信用できない! いいぞ! いいぞ! UGNを壊滅させよう! 悪の非人道組織UGNを許すな! FHにこそ真実はある!
GM:誰だよお前は!
鬼頭哲太:でも、UGN内部に実際こういう奴いそうですし。
GM:元UGNエージェントタイプのボスキャラに、そんな感じのが多いのは否定できないな……。
一角ジュード:実際コードウェル博士がそんな感じのこと言ったせいでごっそり引き抜かれた。創設者直々に「この組織クソでしょ」とか言い出したらそりゃあな……。
鬼頭哲太:あれってコードウェル自身がジャームになったとかそういうの何ですかね。
たつま(女):コードウェル博士、ちょっと早乙女博士みたいなところあるから……。
一角ジュード:なんかサプリにいろんな示唆が散りばめられているらしいがちょっとわからん。
GM:真相は君たちの卓で好きなように決めよう! ジャームかもしれない、裏の意図があったり偽コードウェルかもしれない。夢が膨らむぜ!
鬼頭哲太:じゃあ集団幻覚!
雑談チャット一同:(わきゃわきゃ)
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一衣舞佳:「第二支部も、作戦に参加させてください!」
霧谷雄吾:「ダメです。見込みのない無謀な作戦は、許可はできません」
一衣舞佳:「デカい機械……あの巨体を抑え込むことが出来たら、勝ち目はあるんですよね!? 一角さんの、ユニコランナーなら……!」 縋るように、支部のメンバーに視線を投げる。
霧谷雄吾:「そのユニコランナーでも止めることができなかったのは、第2支部のみなさんが一番ご存じのはずです」
一衣舞佳:「……っ、そんなの、もう一度やって、みなきゃ……」
霧谷雄吾:「無理なんです。超大型重機タイフォンに匹敵するパワーがなければ。そして、それほどの力を持つ兵器など、どこにも―――」
◆ ◆ ◆
一衣舞佳:………。こんなところでそろそろ支部長にトスしたいのですが。
たつま(女):そろそろ煮詰まったか? よし、じゃあいくか。
一衣舞佳:駄々は捏ねるが有効な代替案はない、というめんどくさい女ムーヴを完遂した(やり遂げた顔)。
鬼頭哲太:立派なPC①やでぇ……。
一角ジュード:PC①は感情的に理想をぶつけたりするのが仕事!
◆ ◆ ◆
たつま(女):そうやって煮詰まっていく会議。一衣が支部の皆といってあたりを見回したとき、霧谷は気が付く……八乙女支部長はどこに行った?
「第2支部の八乙女支部長には直接、作戦終了の報告を……」
GM:報告をしたいのだが……現場には姿がないし、通信が今まで繋がらなかった。どこにいるんだい。
たつま(女):テンツクテケテケテンテンテン♪ 会議をしながらそんなことに気が付いたその時、やたらと気が抜ける着信音が会議室に鳴り響く―――
鬼頭哲太:支部長ソフトバンクキャリアか。
GM:(たぶんトノサマンかな)
霧谷雄吾:「八乙女さん?」 この非常時にどこに消えていたのか?通信をスピーカーモードにして応答。
たつま(女):「おうコラァ!手前……このばっかやろうぅ!今まで通信もできねえところで何してやがったぁ!」「《ザザッ》――お前が言ったんだぞ、『後48時間』ってよぉ霧谷ィ!」
通信をONにしたとたんに響き渡る八乙女支部長の声。
少し電波の状況が悪いようだが……いったいこの通信、どこから掛けてきている?
霧谷雄吾:「あの、八乙女さん。見学会場に合流して頂けるとありがたいのですが……今どちらに?」
たつま(女):「……は?」 何言ってんだオメーといわんばかりの声色である「タイフォンクラスの重機がそっちで『も』見つかったのか? モルフェウス? ノイマンか? そんなレベルの技術者は今出払ってたはずだが……」
霧谷雄吾:「そっちでも、とは?」 だから、どこから電話掛けてきているのか教えてくれよ!
たつま(女):「何言ってんだ?時間がねえからI(あい)に頼んだんだろ?」
どうにも話がかみ合わない……いやまて、この男今何て言った?
「お前からの許可は貰ってるって言って、そっちの技術チーム引き抜いて爆足で準備してんだぞこっちは!」
「――――『“タイフォン(TYPHOON)”の2号機』の準備をよお!」
そう、龍馬がいるのは……T市の南方80kmの海上! 『デルフ石油海上ガス田』!
そして、龍馬の視線の先に存在するのは、ガス田開発用に配備された「アジアにたった2台しか存在しない」という超巨大重機!
『“タイフォン(TYPHOON)”2号機』ではないか!
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◆機械怪獣を止める手段
〈情報:ビジネス、UGN〉 or 〈知識:機械工学〉 10
超大型重機を取り込ん怪獣を抑え込むには、それと同じくらいの質量とパワーが必要だ。一番手っ取り早いのは、“同スペックの機械”をぶつけることだが……そんな機械が他に存在するだろうか?
(※情報項目【超大型自走式重機“タイフォン(TYPHOON)”】の2段階目を看破しよう)
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一角ジュード:ダブルタイフーン作戦ってわけだ!
GM:力と力の風車が回るってわけですよ。(時間に余裕があったらFS判定でロボットのパーツ調達・整備とか怪獣捕獲作戦をやりたかったけど、今回は初心者も多いからサクッと行こう)
「すいません、霧谷さん!」
「第2支部のサポートに向かう途中で、この男が急に!」
GM」通信機の向こう側から聞こえてくるのは、行方不明になっていた技術スタッフの声! ……えっ 。誘拐したの?
たつま(女):『48時間』と言われた瞬間にノイマンの頭脳で把握して、霧谷が理解しているもんだという体で準備をしていた。移動用のエフェクトで《猫の道》があるじゃろ?
GM:80kmの距離を《猫の道》……まぁいいよ。達人の縮地で80km沖合まで移動してもいいよ。
たつま(女):悲報、今から爆撃予定の場所に霧谷の秘蔵っこの研究開発チームを引きこんでいる模様。
一角ジュード:アウト! ゲームセット!
GM:この事件が終わったら、覚悟しとけよお前! 事件解決で功罪相償ってギリ減給処分……で、済むかなぁ。
鬼頭哲太:自室謹慎半年とかずっと水に漬け込むとかそういう。
GM:ジャームの保管方法。
一角ジュード:政治的判断によって八乙女支部長はジャームだった「ことに」なりました……残念ですが……。
霧谷雄吾:「なんですって!?そうか……FHが納入していたという、もう1台の『タイフォン』!確かに、同スペックの機体であれば勝負は可能かも知れません!」
たつま(女):「同スペックじゃだめだろ! だから少しでも出力上げるためにジュードの野郎に接続して出力を上げようとしたんだが……アイツも繋がらねえんだ! 一体どこに行ってるんだよ! お前も! ジュードも!」
GM:スピーカーの音量を少し落とす霧谷。がなりたててくる八乙女の声を少し小さくして……と。
霧谷雄吾:「ここにきて、光明が見えたかもしれません。第2支部の支部長がすでに現着している以上……しかたありませんね」
一衣舞佳:「……!」
霧谷雄吾:「この非常時です。UGN日本支部長権限で、海上ガス田に納入されているタイフォン2号機の起動を許可します」
たつま(女):悲報、2号機の起動、無許可だった。
GM:噛み合ってないし連絡繋がらないって、自分で言ってたじゃねーか!
一衣舞佳:さすが支部長!! 一生ついていきます!!!!(辞表ビリビリビリ)
GM:キミもいいのかそれで……。
一衣舞佳:辞表、死に設定化すると思ったけど、思わぬ形で小ボケになってくれた。
一角ジュード:支部長……残念です。あなたがジャームだったとは……。
一衣舞佳:支部長、いろいろとありがとうございました! じゃ、これ辞表なんでよろしくお願いします!
鬼頭哲太:ワイも『緑丸清掃株式会社』への異動願いかいておけば……。
たつま(女):「あれ? また繋がってねえのか? もしもし! もしもーし! 霧谷ー! オイコラー!」 じゃあ、たつまはギャーギャーいいながらフェードアウトかな。そっちはなんかシンゴジの最終決戦前みたいないい雰囲気を出してくれ。
霧谷雄吾:「責任や物的被害の補償他、事後処理は我々が担います。命を救える策があるというのなら、我々も力を惜しみません。八乙女さんの独走は看過できませんが………元はFHの資金で納入された代物ですし、そう気にせず使い潰してしまっても…」 小声
一衣舞佳:「ホントですか!?」
霧谷雄吾:「海上ガス田へのヘリを緊急手配します。一衣さん、残りの第2支部のメンバーに連絡をお願いします」
一衣舞佳:「……はい! ありがとうございます!!」
加納美鳥:「私は、デルフ石油と交渉ね。FHが用意したものとは言え、数十億円の機械を使い潰す話をしてるんだから」
一衣舞佳:「…………」
加納美鳥:「舞佳ちゃん。何もできなかった私の代わりに……詩子を助けてあげて」
一衣舞佳:「……、はい。“絶対” 助けます」
GM:では、こんなところでシーンを閉じます。
一衣舞佳:りょうかいですー。
たつま(女):「おーい!きこえてますかー!?かのーちゃーん!まいかちゃーん!霧谷ー!」
GM:(通信機の電源を切る)
◆ ◆ ◆
一衣舞佳:しかし、感情女ムーブを繰り返したせいで、「やはり真のPC1は一角先輩だったのでは?」という疑念が芽生えてしまっている。
一角ジュード:いや、PC①は感情マンしなきゃ! PC1は感情マンしてナンボですよ!
鬼頭哲太:はは、そんなこと言ってたらPC④のくせにほぼ毎シーンでて加納さんにアプローチしてるこのロン毛野郎はどうなりますか?
GM:哲太くんは概ね理想的な「冷静なチルドレン枠」の動きしてると思うけどね……。背景はスモールナンバーっぽいけどPC④として自由にやっていいのよ。
一角ジュード:PC①は話を動かすモチベーションとして好きに動いてもらい、PC番号の大きいメンツはそれをフォローするのが仕事ですからね!
たつま(女):若い子の暴走を助けるのは大人の仕事さね!
GM:支部長はもう少し落ち着いていただいても……。
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