ミドルシーン・07「怪獣の王、現る」

      登場:一角ジュード、任意


GM:……時間は遡ること数分前。ちょうど第二支部の面々がジャームと戦っている頃。四方木詩子は、見学公開されているタイフォンの操縦席で物思いにふけっていた。


 「舞佳、またどこかで危ないことしてるのかな」

 「ううん、大丈夫。戻ってくる約束もしたし……私もそろそろ戻ろう」

 「謝らなくちゃ……美鳥さんに――――」


 『――ドクンッ』


四方木詩子:「ぐっ!?な、なに……」突如、詩子は胸を刺すような痛みを覚え、その場にうずくまる。


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 ◆『小型怪獣A』へのロイスが即座にタイタス化します。

 ◆『小型怪獣B』へのロイスが即座にタイタス化します。

 ◆『小型怪獣C』へのロイスが即座にタイタス化します。

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一衣舞佳:うぉおおおおい!ドラゴラムすな!!!!!


一角ジュード:やはりそういうギミックか……。


たつま(女):加納さんの時も孤独への反応かあ。


見学者たち:「きみ、大丈夫か」「救護所まで歩けますか?」 詩子の様子を見て、心配そうに声をかけにくる見学者たち。


四方木詩子:「か、乾く……。『飢える』………!」


 「(頭の中で誰かが叫んでる……私の“仲間”が消えてゆく……!)」

 「(でも……“仲間”っていったい誰……?)」

 「(知らないのに……分からないのに……辛くて苦しい――――)」


 「――い、嫌。もう“孤独(ひとりぼっち)”は嫌!」


GM:絶叫と共に、詩子の背中を突き破って、爬虫類の尻尾めいた無数の触手の群れが飛び出す!


 「あああああっ!?」「なっ、なんだぁ!」


 触手は、瞬く間に一面に広がり、樹木が根を張るように操縦席を埋め尽くして辺りの機械と融合してゆく――


四方木詩子:「(1か月前、怪獣を見た時から目覚めていた『力』が……溢れてくる!抑えきれない!)」


GM:やがて、触手の侵食は操縦席からあふれ出す。企業ロゴをペイントされたタイフォン1号の金属ボディが、触手に覆われてゆき……。


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       『 T Y P H O O N 』 (台風、タイフォン号)


     『 T Y P H ■ O N 』 (――テュポン、“怪獣の王”!)


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GM:ババァーン!


一角ジュード:はないき!


一衣舞佳:そんな文字ギミックが……。実は、タイフーンの語源がテュポーンだったりするのかしら。


一角ジュード:あ、そうっすよ。タイフーンはギリシャ神話のテュポンが語源。


一衣舞佳:マジで!?


GM:ギリシャ圏から、中国や台湾に伝わる過程でTypoonに当て字されて「台風(タイフォン、たいふう)」になったそうですね。


一角ジュード:ピュトンとテュポンも同源説がある。あと、詩子ちゃんも「四方木(よもぎ)=アルテミス」+「詩=アポロン」とかそういうネタなのだろうか。ヨモギの学名アルテミシアはアルテミスが語源で、ピュトンはアポロンとアルテミスと因縁のある怪物だし。


GM:えっ? いや、そっちのネーミングは偶然かな……。


一角ジュード:偶然かよ! 逆にすげーな!


GM:デルフ石油はデルポイですけどね。ピュトンやアポロン信託を下してた神殿。


鬼頭哲太:テクいですね。僕には何も分からん……おねショタはいいとか加納さんまで行くと色気が凄いとかしか分からん……。


GM:はい、じゃあその加納さんの登場する本編に戻ります。


◆ ◆ ◆


GM:触手に覆われたタイフォン二号機が勝手に動き出し、見学会場はパニック状態です。現場では、第一支部のエージェントたちが対応に当たっていますが、その巨体を押しとどめることはできていません。


 「なぜ、こんなところにジャームが……第一支部は制圧を急いで!」

 「――“皆さん、落ち着いて避難してください”!」


GM:加納さんも陣頭に立ち、自ら《人形遣い》を範囲拡大エフェクトで会場中に展開し、人を誘導しているところです。


鬼頭哲太:どんなエフェクトでしたっけ、それ。


GM:“非オーヴァードの一般人”を命令に従わせるソラリスのエフェクトです。非オーヴァード限定のね。


 清掃局のリーダーである加納美鳥自身も、記憶操作に長けたオーヴァードだ。

 自ら、「非オーヴァードに対して作用する神経伝達物質」を会場中に散布し。混乱を最小限に抑えたまま、見学者たちに隊列を組ませ効率よく避難を進めてゆく。

 数分と立たず、9割近い見学者の避難が完了するが――


加納美鳥:「(おかしい……! 詩子、どこにいるの……!?)」 おかしいですね。詩子が“一般人”の避難列に参加してこない。加納さんの避難指示コンボは完璧のはずなのに。


一衣舞佳:うわあ……。


機獣:『グオウォォォォ!!』 ディーゼルエンジンの唸りは、目覚めの咆哮か。半機半肉の40m級怪獣がアームを振り上げている!


 「ダメだ、あの巨体は抑えきれない。第2支部はまだか!?」


 悲鳴を上げるUGNエージェントたち……もはやこれまでか!


一角ジュード:「エントリィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」


 その時、地平線より駆け抜け参上するは巨大な一角獣――ユニコランナー!


 「ユニコランナー、ただいま参上したぜ!!」


一角ジュード:シーンに登場だ。 「とんでもねぇデカさの怪物だな……ッ! カントクさん(※要人のドハ何某さん)が見たら大喜びだぜっ!」


GM:ユニコランナーの全長は10mほど。タイフォンと比較した場合、厚みも重さも大人と子供以上の差! おそらく、アレが突進してきた場合、「現在のユニコランナー」では押しとどめることは不可能だろう。


一角ジュード:GMが露骨に合体シークエンスを勧めてくる。しちゃっていいのか……合体を!?


GM:メンゴ、まだ無理。このシーンは怪獣に蹂躙させて。


一角ジュード:ファイナルフュージョン・承認却下!


鬼頭哲太:承認却下される合体ロボ……。


GM:合体変形中に、このどでかい怪物が突っ込んでくると、突破(トランプル)されて戦場外に逃げられちゃうってことで。なんとか、40m級の巨大重機をその場に張りつけにしておく手段を考え付いてくれ!


一角ジュード:なるほどね。つまりこう……逃げ場とかない感じの状況で……合体!


鬼頭哲太:「壊していいんですか?」登場してバシュン――と、狙撃。輸送車の上に控えている仕掛人。


GM:『ギィンッ!!』 弾丸は、金属骨格まとわりつく触手をわずかに抉るが、4800tの巨体には何の痛痒も与えない。


鬼頭哲太:ちょっと重たいですね。「僕にナパーム弾やらグレネードランチャーでもあればいいんですが。ジュードさん、聞こえます?」


一角ジュード:「聞こえてるぜ。ハハッ、とんでもない状況だな!」


GM:しかし、哲太にはわかる。弱点は見えた。


 侵食は操縦席を中心に起こっている――怪獣の核を撃ち抜けば、この事態はすぐにでも収束する!


鬼頭哲太:「いいお知らせがあるので、お願いを聞いていただけますか?」


一角ジュード:「俺の合体シークエンスも、通す暇はなさそうだな……おっと、悪い知らせがないのはいいな! 聞こうか!」


鬼頭哲太:「いいお知らせは『侵食が操縦席を中心に起きていること』。 お願いは『射抜くので足止め』と『操縦席に人間がいないかの確認』です。 アームか足を何とか殺して欲しいです」


一角ジュード:「ハッハッハ!やってはみるが……後者は難しい、というか簡単だから厳しいな!……多分いるぜ、アレは!」


 「なにせ見学会は、操縦席でやってたんだからなっ!」


一角ジュード:どう止めるか。なんかこう……同族がだな……こう……おびき寄せたりして……こう……。


鬼頭哲太:一衣さんにもうやめて、してもらうとか。


たつま(女):ここに詩子がいて引きはがす手段がないから、いったん後退するとかか?


一角ジュード:実際、海底で眠ってる同族がなんかしらのギミックなのだとは思うのだが……うーむ。(ログ漁り)


GM:しまったな、悩ませるつもりはなかったんだ。とりま、このシーン中には抑え込めないということを宣言しときます。後で判定なりでクライマックスへの道が開けるんで。


一角ジュード:あ、それは了解。とりあえずピンチ演出しよう。


機獣:『グォォオオオ……!』 巨大重機が、“南の方角”に転身。海に向かってゆっくりと移動を開始している。


一角ジュード:やっぱりデルフ海上ガス田か……。


 タイフォンの履帯(キャタピラ)の厚みは800㎜以上。

 エンジンは数千万トンの大質量を動かす超馬力!

 そしてアームの先端には観覧車ほどもある、採掘用のバケットホイール!!


 周囲のオーヴァードたちの攻撃をものともせず、怪獣は進撃する。


一角ジュード:「やるだけやってみるが……!」 ユニコランナーを動かし、横合いから突撃してみるが……。 「うわぁぁぁーーーーっ!!!」 効かない!


GM:なんてテンポの良さだ。圧倒的ウェイト差の違い! 1か月前の戦いの時の比ではない。ユニコランナーが、いともたやすく押し返されてゆく。


鬼頭哲太:「ジュードさん!」「このままだとまた壊れるし汚れる……」 たしか侵食の中心点になんかが。


GM:おっと。……哲太が覗くスナイパーライフルのスコープの向こう――


 操縦席のガラスの奥――侵食の中心に蠢く、触手発生の中心が見える。


 「………う、くっ」


 そこには、操縦席内に囚われた人々の姿がある。

 さらに、身体から触手を発生させている1人の少女……。

 一衣舞佳の友人、四方木詩子の姿も!


鬼頭哲太:「あの人……一衣さんの……」 操縦席から引っぺがします?


GM:怪獣が暴れている状態だと少々難しい。このまま詩子を狙い撃つのは簡単かもしれないが。


鬼頭哲太:「……!」


 哲太のインカムに、通信が入る―――


加納美鳥:『――撃つのを待って、哲太くん! ……あそこには、詩子が!』


鬼頭哲太:「……。……こちらでも確認しました」ライフルを降ろす。


 「待ちます。あの子がいないと加納さんも一衣さんも笑っていられないですよね」


加納美鳥:『っ……! ごめん……なさい――――』


機獣:『グオォォォ……!』 進撃する巨獣を止められるものは、残念ながら“この場には存在しない”。


一角ジュード:逃したか……。


 巨大な影は、ユニコランナーの攻撃を振り切って海中へと没した。


◆ ◆ ◆


鬼頭哲太:あ、加納さんに詩子と向き合うように言うの忘れてた。まぁ大人だし自分で何とかしますわな……。


一角ジュード:大人でしょ! 自分でなんとかしなさいよ!


GM:ミサトさんみたいだからって、トゲトゲしたネルフ・コミュニケーションしない!


一角ジュード:しかし、どうしたものか。ジャームの体内に入る?


一衣舞佳:ロイスある自分が出ていけば「同族」として呼び寄せられたり……。


GM:あー、そのギミックについては相談があるのですが――――


 本編裏の雑談チャットでも、PLたちがギミックやロールの役割どうするか少し悩んでいた所なので、ここでGMから「この先の展開」を打ち明けてます。推理シナリオではなく、「怪獣パニックやそれに対抗する人類」のロールを楽しむ目的シナリオという事で、イメージの共有を優先しました。


一角ジュード:(説明を聞いて)はーん、なるほどな!


鬼頭哲太:ちょっと見逃してましたね。


GM:次のシーンで【情報項目】が登場するとはいえ、ちょっとヒントの出し方が渋り過ぎだったかなぁ。まぁほぼ看破済みだし……先が見えてた方がロールはしやすいですよね。次がクライマックス前のラストシーンです。


一衣舞佳:了解。じゃあ、自分が感情に任せて訴える枠で。


たつま(女):I(アイ)が「こんなこともあろうかと」枠をすりゃいいんだな!


 UGNエージェントたちが取った選択肢とは――――

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