ミドルシーン・02「怪物の影を追って」

   登場:八乙女龍馬、任意


GM:支部長のシーン。他の皆も登場自由。時間は先ほどのシーンの続き。


◆ ◆ ◆


 場所は巨大重機の見学会場の裏側。

 防護シートで覆われた建設中の建物の死角に、UGN処理班のワゴンが停められている。


GM:UGNエージェントの一人がやってきて、「お疲れ様です、八乙女さん。第1支部の担当区域、今のところ異常ありません」


たつま(女):「おー……。そりゃあよかったわあ」


一衣舞佳:あ、立ち絵が女の子に切り替わってる。


たつま(女):くそう。霧谷あの野郎、炎天下の中呼び出しやがって……。道中打ち水してたばあさんに水引っ掛けられて娘化(このざま)だ。


UGNエージェント:「それで、今のところ襲撃やワーディング反応などを感知した報告はないのですが……デルフの工場地帯周辺のレネゲイド濃度が、緩やかな上昇傾向にあります。何者かが、この工場地帯に潜んでいるのは確かです」 どうぞ、とお茶の入った魔法瓶、それとUGN本部から届いた最新の調査報告書が手渡されます。


たつま(女):「上昇傾向、だけじゃようけわからんなあ」 頭からかぶるんで白湯で……いや、やっぱいいわ。今被ったら茹って死んでしまいそうだ。そのまま普通に啜ろう。


UGNエージェント:「第1支部には現場の警備続行の命令が本部からきています。第2支部の皆さんには、ここからは能動的に動いて、発生源を特定してもらうよう霧谷さんから、連絡が来ていまして」


たつま(女):ちくしょう霧谷許せねぇ。とりあえず資料とデータを見て……。


 「んー……ここと、ここと、ここ。こっちを見る人数は少なくてええ」

 「デカいのが潜れそうなスペースが地下にある。こっちを優先に人員まわしたってえな。それと、さっき署長さんに頼んで犬を何匹か借りることになっとる」

 「ソラリスが何人かおったやろ?いないよりはマシや、使わしてやっとくれ」


UGNエージェント:「回せる人数は限られていますが……掛け合ってみます」


一角ジュード:急に関西弁風になったなこの爺。


たつま(女):関西というか……滋賀から岐阜やなこれ。


GM:あれやこれやと相談しつつ、調査すべき項目をリストアップしました。ここから情報収集項目が解禁されます。内容は次の通り。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●情報収集(調査項目)


◆【“古代怪獣”P.T.】 〈情報:UGN、学問〉or〈知識:生物〉6/9


◆【怪獣の出没情報】 〈情報:UGN、噂話〉6/10


◆【デルフ石油・エネルギー開発部門】 〈情報:ビジネス、UGN〉6 〈情報:ビジネス、裏社会〉10


◆【超大型自走式重機“タイフォン】(TYPHOON)” 〈情報:ビジネス、ウェブ〉6 〈情報:ウェブ、裏社会〉8


◆【四方木詩子】 〈情報:噂話、UGN〉6 〈情報:ウェブ、UGN〉8


◆【加納美鳥】 〈情報:ビジネス、UGN〉7

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


GM:ここからは、シーンに登場した人は仲間をエフェクトでサポートしたり、情報を調べに行ったりできます。1登場あたり1調査項目。


たつま(女):資料を見て確認したからな。ここからは分担して調査になるが……一衣はどれ調べたい?


一衣舞佳:調査は死んでるんだろうなー、と自分のキャラシ見返したらエージェント標準装備の〈情報:UGN〉のツテがあった。【四方木詩子】でお願いします。というか他が無理そう。


鬼頭哲太:これ加納さんの情報って好みのタイプとかかな。唯一、2段隠し情報がない。


GM:それほど重要度が高い項目ではないかもしれませんね。


鬼頭哲太:じゃあやっぱり好みのタイプかな……。重要度高くありません?


GM:そうだね、PC(PL)はそうかもね。


一角ジュード:タイフォンの項目は、〈知識:機械工学〉でカバーできたりしないだろうか。


GM:2段階とも代用できていいですよ。ユニコランナーと同じ巨大ロボットみたいなもんだし。


一角ジュード:じゃあタイフォンは俺がやるか。そしてGM! 《タッピング&オンエア》で通信越しに登場してもいいかい!


GM:《サードウォッチ》(※監視カメラ越しにシーンに登場するエフェクト)の立場が……まぁ、このシーンは差し迫った危険もないし良いか。トリガーイベントの発生や情報項目次第で現場に引っ張り出すぜ。


鬼頭哲太:ジュードパイセンに相乗りさせてもらえば、哲太も無理なく出られますね。


一衣舞佳:イージーエフェクトってとっておいた方が演出に小回り効くんだなぁ。


一角ジュード:ほんとはちょっとズルな使い方だけどな、これ。ほんとはそれ用のエフェクトが別にあるので……いやまぁ、詩子ちゃん一人にしたくないよねって。


 GMも詩子ちょっとかわいそうかなぁって。


一角ジュード:んじゃ通信越しに登場しよう。 『こちら、ドラッグレーサー。見学席にてゼロアンダーの友人(ロイス)を警護中だ。状況は?』


たつま(女):「おう、ジュードか。じゃあそっちに聞きたいことがあってな。そっちになんかバカでけえ重機をお披露目してるんだってな。危険性は分かるか」


一角ジュード:OK、「超大型自走式重機“タイフォン(TYPHOON)”」をリサーチしよう。〈知識:機械工学〉で。(ころころ)無駄にクリティカルして達成値17だ。超分かったぜ


GM:余裕の看破だ。では、2項目分の情報を開示。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆超大型自走式重機“タイフォン(TYPHOON)”

 〈情報:ビジネス、噂話、ウェブ〉6

 デルフ石油が導入した、アジアに『2台』しか存在しない超大型自走式汎用建設重機。A県南方の沖合に存在する、海底の天然ガス(メタンハイドレート)を採掘する【デルフ海上ガス田】開発ために導入された。

 ちなみに、「タイフォン」とは中国語で台風の意味。


 〈情報:ビジネス、裏社会〉8

 現在、見学会でテスト稼働を行っているのが1号機。2号機は現在工事中の【デルフ海上ガス田】に配備済み。

 その導入計画や資金の流れには、FHが関与していた形跡がある。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ※新たな調査項目がオープンしました。


◆デルフ海上ガス田

 〈情報:ビジネス、裏社会〉6 〈情報:ビジネス、裏社会〉10

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


GM:以上がタイフォンに関する情報です。


一角ジュード:FHの関与! 許せないぜ!


UGNエージェント:「お疲れ様です、ドラッグレーサー。調整に出ていたヴィークルも戻ってきていますよ」 “委員会(?)”から奪取した大型トレーラーに格納するとかで、近くに待機しているはず。


一角ジュード:『助かる!しかしFHか……いったい何を考えているんだ』


GM:デルフ本社にもよくわからない資金の流れがあって、新型重機が簡単にリースできたらしいです。納入計画に関与したFHセルは、1か月前にジュードの手で打ち破られてます。それ以降、タイフォンまわりに敵の干渉があった形跡はありません。


鬼頭哲太:これって、このシーンが終わった後も情報収集が続くんですか?


GM:はい。シナリオのトリガーを引くまでは調査とか調達判定をひたすら続けられます。情報シーンが繰り返されるのだ……看破するまで! 永遠に!


一衣舞佳:つまり、みなさんに調査をぶん投げて詩子と、うふふショッピングを繰り広げても……?


鬼頭哲太:わぁい、無限にダイス振っちゃう。じゃあ僕は加納さんと繰り広げに。


一角ジュード:侵蝕率!!! 繰り広げてもよいが、その場合君が怪物になって帰ってこれなくなる可能性が上がる。戦うのだオーヴァード。


鬼頭哲太:「……くあ」 じゃあ先に怪獣抜きに行きます。〈情報:UGN〉はコネもこみで4D+1で判定――1回クリティカルして達成値12。おっけ。


GM:やるじゃない。情報2段階とも開示します。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆怪獣の出没情報

 〈情報:UGN、噂話〉6

 怪獣はこの一ヵ月、デルフ石油の関連施設に現れては破壊活動を繰り返している。

 その襲撃はまさに神出鬼没。移動ルートにも謎が多く、追跡は困難を極める。


 〈情報:UGN、噂話〉10

 怪獣の「出現」した現場には、奇妙な破壊の痕跡が残されている。

 一部の現場では駐車場のトラック・工場2階の休憩室・ボイラー室などが、内側から爆散したような跡があるのだ。

 怪獣の出現元――もとい正体は、「ジャーム(怪獣)化したデルフ石油の工場労働者たち」の可能性が高い。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


GM:UGNの幹部のコネ……演出は加納さんでいいか。局長職だし。 「この前撮ってもらった写真だけどね。痕跡が明らかに不自然なのよ。10mだが20mの怪獣が8畳部屋から出現して跡形もなく消えてるの。データ、送るわね」


鬼頭哲太:やった。 「これ、なんで……?えっと……こういうのは……(メモを見て)バロールとかオルクスの能力…ですかぁ?」


加納美鳥:「瞬間移動という可能性も考えられるけど……処理班が現場に残されていた怪獣の体組織を回収しているわ。事件現場で、オーヴァードが急激な肉体変異が起こした痕跡があるみたい」


 レネゲイドは質量保存の法則すら覆す。

 物質創造能力のモルフェウス・シンドロームのみならず、キュマイラやエグザイルのような肉体変化型シンドロームも、人体の体積を無視した変質を見せることがあるのだ。


鬼頭哲太:「……汚れますね」 なるほど。移動してきたのではなく“そこ”にいた誰かが……。


加納美鳥:「それはもうベッタベタにね。『清掃』にもずいぶん時間がかかったみたい。巨大な怪獣がどこから現れるかわからないなんて。脅威ね……気をつけて」


鬼頭哲太:「……はい。くぁ……メモしておきます(複数個所から一気に処理できれば……ダメ……うまくまとまらない……眠い……)」


GM:情報はそれだけですね。


◆ ◆ ◆


たつま(女):じゃあデルフ石油・エネルギー開発部門いっとく?


一角ジュード:ポップした新項目か。うん、いいんじゃないか。むつかしいし(目標値10)


一衣舞佳:精神・社会が高い方が、調査パートは有利になりやすいのね。私は情報回りが死に気味で役に立てなそうだけど……。


GM:なぁに。侵蝕率が60%を超えれば、嫌でもボーナスのダイスが増えるから安心さ。


たつま(女):《生き字引》を使用。基準値もそれなりにあるしファンブらない限り成功だな――1回転して成功。「はーん、ジュードの奴、ここまでは調べたんか……この資料と、この資料で……ええとなになに?」


GM:八乙女龍馬の豊富な人生経験。レネゲイドの記憶。そして1を聴いて10を知る知性が、情報の断片を繋ぎ合わせてゆく――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆デルフ海上ガス田

 〈情報:ビジネス、裏社会〉6

 A県南方の沖合80km地点に存在する、開発中の天然ガス(メタンハイドレート)採掘施設。デルフ本社は、採掘が環境に与える影響を考慮し、採掘には慎重な姿勢を取っている。


 〈情報:ビジネス、裏社会〉10

 この海底のメタンハイドレート層内には、「怪獣P.T.の同種」が休眠しているようだ。FH研究者が、ワーディングの発生も確認している。

 今のところ怪獣の状態は安定した休眠状態にあるが、万一目覚めるなどしてメタンハイドレート層が破壊され、海底のガスが一斉に気化した場合、地球環境は壊滅的な被害を受ける。


 ……不幸中の幸い。このことを知るFHの研究セルは先月、壊滅している。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


たつま(女):お茶を盛大に吹こう。いきなりすげえの抜いた!


GM:現実でも海底の凍ったメタンガスを採掘して燃料にする計画、「溶けたメタンや二酸化炭素が一気に気化したら地球環境ヤバくね?」という話があるらしいですね。……UGNが隠蔽に使うガス爆発なんて偽物です。本当のガス爆発ってやつを見せてやりますよ。


一衣舞佳:ドリフで見たことある。イチローがレーザービーム投げたんでしょ。


一角ジュード:(例のBGM)


GM:正確には大爆発じゃなくて文明崩壊レベルで温暖化が進むというタイプの人類滅亡だけど。


◆ ◆ ◆


GM:さぁて、トリガーは引けなかったので舞佳だ。君が購入か情報調査をするといい。


一衣舞佳:じゃあ、詩子の項目調査するために登場―――出目8で侵食61%。私のダイスを温めたのは誰だ。


鬼頭哲太:やっぱりサラマンダーだから……。


GM:おめでとうございます。侵食率ボーナスで、以降あらゆる判定のダイスが1個増えます。


一衣舞佳:わーい!! これ、調査だろうが戦闘だろうが、行為判定するときは全部増えるんですよね。調査はニガテだったからありがたい。


GM:そうだぜ。肉体的にも社会的にもレネゲイドパワーで大活躍だ。今の君は超能力スパイダーに噛まれてメガネのいらなくなったばかりの、元ナードのごとし……。


一衣舞佳:〈情報:UGN〉で【四方木詩子】を調査します。まあ10出しちゃうから関係ないんだけどね。


GM:前振り!


一衣舞佳:(ダイスを振って)――出目4、4、8。ありがとう侵食ボーナス!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆四方木詩子

 〈情報:噂話、UGN〉6

 T市の高校に通う女子高生。自他ともに認める重機オタク。

 数年前に事故で両親を亡くしている。現在は母方の親戚のマンションに身を寄せている。


 〈情報:ウェブ、UGN〉8

 最近、オーヴァードに関する(都市伝説レベルの)情報を収集しているらしい。

 ウェブ検索履歴には「超常現象 電気」「防護服」「怪獣 地下ガス貯蔵施設」「馬型 重機」などのワードが並ぶ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


一衣舞佳:親いなかったんか……。


GM:OPで家に上がって貰って、そのへん匂わせる予定もあったけど。後回しでもいいかって


一衣舞佳:おおぅ……。あと2段階目の情報、OPで目撃してた一般人っぽい子が詩子かな。


鬼頭哲太:これ、検索してるのジュードパイセンの馬では。


一角ジュード:わっかんねーだろ。情報統制は完璧のはず……(汗ダラダラ)。


GM:OP怪獣バトルの後、FHの生き残りの防護服の人たちも沢山逃げてたし……そこそこ漏れてるんじゃないかな。


鬼頭哲太:ジュードパイセンの馬だったらご飯おごってもらいましょう。


一衣舞佳:「なにやってんの、詩子……!」 やや焦りながらも、検索履歴をスクロール。


GM:UGNは様々な分野に情報網を持っています。例えばウェブに上げられたオーヴァードに関する書き込み・検索履歴などから、巡回プログラムが特定のワードを確認した時、こうした情報が上がってくることがあります。「オーヴァード」というワード自体は、一般人の都市伝説系ウェブでも知られていますが……この検索履歴は、かなりレネゲイドの秘密に迫った人間の動きに見えますね。


一衣舞佳:事件を目撃した一般人の記憶処理みたいなのも、確かやってるんですよね。詩子の場合……。


GM:はい。こーゆーこと調べてると黒服がやってきて、記憶を消去されたりします。


一衣舞佳:「……オカルトオタクでもあるまいし。なにか、きっかけがあったんだ……私が、見られた……? でも、『電気』は私の分野じゃない……って、違う、そうじゃなくて、」「記憶、処理……」


 一般人がレネゲイド事件に遭遇して保護された場合、短期記憶の『処理』が行われる。

 多くの場合は、特定の事件に関わる記憶のみを消去するだけで済む。

 レネゲイドの真実を知ってしまった一般人ジャーナリストやハッカーがUGNの病院でこうした治療を受けるというのは、珍しいことではない。


GM:よほどのことが無ければ、闇に葬り去られるということは無いはずだけど、一般人がレネゲイド真実に積極的に関わろうとするのは、危険な傾向ですねぇ。


一衣舞佳:おあぁぁ……。


GM:次シーンは詩子のイベントを起こしましょうか。


一衣舞佳:ヒョッッッ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る