ミドルシーン・01「タイフォン見学会」

     登場:一衣舞佳、任意


GM:あれやこれやで、ここからミドルフェイズです。重機見学会の裏に集まってPCたちが顔合わせするシーンからですね。まずは日曜日の重機見学会・表のシーンから行きましょう。舞佳、出ておいで。


一衣舞佳:うおぉ、トップバッターか。まずは侵食率ロールですね。(ころころ)……9。ダイス温めておきました、PART2。


一角ジュード:お前らほんとにいいペースで上がるな浸食率!!


八乙女龍馬:もう赤熱してねえか? 登場は任意か。状況次第じゃ顔出すかな。


鬼頭哲太:一応出るか……歳近いし。


◆ ◆ ◆


GM:湾岸に怪獣警戒網が敷かれてから、3日目―――


 UGNの警備をあざ笑うかのように、怪獣は神出鬼没の襲撃を繰り返していた。

 追跡不能・正体不明。当初は一部工場も閉鎖してはみたが、正体はつかめず。

 さりとていつまでも工場を止めているわけにもいかず、警戒レベルを一段下げて平常通りの操業が再開。重機の見学会も開催されることになった。


GM:日曜日のタイフォン見学会当日。時刻は正午。T原湾の埋め立て工事現場には、数百人を超える見学者が集まっています。


 見学者はデルフ石油の株主、重機リース会社、国内外の技術者、報道。それに交じってUGN関係者。舞佳と詩子のような高校生は……この場ではだいぶ浮いているかもしれない。


四方木詩子:「いやあ、さわやかな晴天!絶好の重機日和だよ。舞佳、日焼け止めは持ってきた?私は忘れた、貸して!」


一衣舞佳:「大丈夫。日に焼けた詩子も、私は好きだよ(新品の日焼け止めを首元に塗りながら)」


四方木詩子:「くぅっ、せめて塗り残しの余った分だけでも…!」 日焼け止めを奪おうとしているが身長差があるぜ。ぴょんぴょん。


一衣舞佳:「よしよし」 背伸びする詩子の頭を撫でつつ、視線を探らせる。警戒指令が来ているし。


鬼頭哲太:僕も登場します。(ころ)……侵蝕4。ようやく落ち着いてきた。見学席から少し離れたところで監視してます。


GM:今のところ周囲に異常は見られません。見学客でごった返す会場。


鬼頭哲太:「メモ……えっと一衣さんが来てるんだ……」


GM:人ごみの中に舞佳と、連れの小柄な少女の姿を見つけた……が、その視界を塞ぐように観客たちが立ち上がり、騒ぎ出す。


鬼頭哲太:む。


司会の女性:『……お待たせしました! 皆様会場右手方面をご覧ください! 』


 『これがデルフ石油がリースした未来の作業機――“タイフォン(TYPHOON)1号機”です!』


 ――見学席を揺るがす振動、吹き付ける排熱! 規格外の巨大重機が工事現場に姿を現した。


 「来たぞ!」「おぉ……まさに『怪獣』だ!」


 まるで10階建てのビルが動いているかのよう。すさまじい迫力に、観客が歓声をあげる。


 節足動物じみた二本の油圧アーム。

 鉄骨で組まれたボディに、流線形のコックピット。

 それを支える駆動部……履帯(キャタピラ)の厚みだけで、子供の身長ほどもある。


 『全高40m、重量4800t。最高速度は時速12km!』

 『タイフォンの一番の特徴は、この巨大さと両立した取り回しが良さです』

 『モジュールを組み替えれば、都市部から海上まであらゆる現場に導入可能』

 『移動可能な工事現場・発掘プラント、と言っても差し支えないでしょう』


鬼頭哲太:40mって目茶苦茶デカいですね。


GM:実在する重機に、バケットホイールエクスカベーターっていう目茶苦茶デカい砕石機械があって。それをイメージ元にしてます。(参考画像を見せて)この建物みたいにデカイのが丸ごと移動しちゃうんです。ちなみに40m級は小型な方。


 ゴーストライダー2とかトランスフォーマーにも出てきた、でっかい観覧車みたいなマシン。アレです。


鬼頭哲太:「ああいうのあったら、加納さんの仕事も楽になるかな……。目立つかな……。いくらぐらいするんだろう」


GM:世界最大の240m級のバケットホイールエクスカベーターは130億円くらい。


八乙女龍馬:たっけぇな!?


四方木詩子:「うおおおおおおおお!うおおおおおおお!」「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~!!」感涙!


一角ジュード:詩子……。


一衣舞佳:詩子の歓声、きたなくてかわいい。


GM:でも興奮するでしょ。バケットホイールエクスカベーター様だぞ。いや、それと同じくらいデカくて機敏に動く重機のような何かだけど。


 巨体に見合わぬ機敏さ。

 油圧マニュピレーターの精密な動作。

 見物客が見守る前で、タイフォンはビル鉄骨を積み木のように組み上げてゆく。


四方木詩子:「すっごいなぁ。なっ、なっ、見に来てよかったろ~~!」 ちなみにこのシーン、ほっておくと重機パフォーマンスが延々と続くぜ。


一衣舞佳:詩子が楽しそうならそれで……。


一角ジュード:ぬっと出るか。じゃあ二人の背後から「ハッハッハ!! よっぽど重機が好きなんだな、お嬢ちゃん!!!」


一衣舞佳:「……」 目を伏せながら、一角に会釈をする。詩子といる時の自分を、仕事仲間に見られてしまうのは、どことなく気恥ずかしい。


四方木詩子:「はい、好きです重機! 推しはアスタコNEOですね! ……ハンドルだこ? ドライバーの手?」 ジュードの手を見てハッとする詩子。


八乙女龍馬:何者だよ詩子。


一角ジュード:「お、いい趣味してるね!!! っとぉ……はは、俺は一角ジュード!! 重機系の……すかした言い方すると、テストパイロットってところかな!!」 そういう設定。


四方木詩子:「テスター! 業界の最先端技術に触れている……て、天上人!」 舞佳の知り合いとは気づいてない様子だ。


一衣舞佳:一方私は話題についていけない。……哲太くんは、狙撃ポジションにステンバイしてるのかしら。


鬼頭哲太:狙撃手ポジだとあれなので、一衣さんを見て合流しようとしてるんですが。「ひと……の……なみ……。あ、ジュードさん…」


一衣舞佳:押し流されてる……。


GM:押し寄せる人並み…さながらマンガマーケットのごとし…!


鬼頭哲太:「あー……。あぅ……加納……さん……」 潰れそうだ。


GM:なんか幻覚見てない?


舞佳:「哲太君、こっち!」 運動部で鍛えたフィジカルで、人の波をぐいぐいとかき分けながら救出しに行く。


鬼頭哲太:「ひと……おお……あ。一……衣……さ……」


一衣舞佳:詩子を一人にしておくのは心配だが、一角は信のおける人間だ。話も合うだろう。


四方木詩子:「あっ、ちょっ。どこいくのー!?」 小柄な詩子は残される。


一衣舞佳:「トイレ!!!」 恥じらいはない。


一角ジュード:「ハハハ、キミはここで待ってた方がいいかもな!あまり動き回ると迷っちまうぜ!」


四方木詩子:「水をかぱかぱ飲むからだよー!」


 人ごみの中に消えてゆく舞佳の背を目で追いながら、詩子はその場で独り言ちる。


 「……うそつき」


一角ジュード:「……………………………………(なるほどなぁ、みたいな顔)」


鬼頭哲太:詩子さんにバレてるやん。


一衣舞佳:っづぁああああああ……!!! 許して……!


一角ジュード:ちょっと悪いことしたかな……と思うジュードであった。


四方木詩子:「ハァ……それで。ジュードさん! いろいろお話伺っていいですか! リース企業とか業界のアレコレを!」


一角ジュード:「おっと、企業秘密は話せないぜ?」 まぁ技師的な技術はあるので、当たり障りのない範囲で話でもしておこう……。ジュードはとりあえずここで舞佳ちゃんと顔を合わせておくと、あとで何かあった時にご友人に言い訳が効きやすいかなと思ってきただけなので、目的はもう果たした。


一衣舞佳:罪悪感を覚えながらも人ごみをかき分けて、哲太君の元に。


 「つかまって!」 人間団子になりかけていた哲太の手を取ると、引っ張り出して比較的空いているところまで連れてゆく。


鬼頭哲太:「あぷ……ありがとう一衣さん……」 人ごみから脱出して人心地つきました。


一衣舞佳:「哲太君、人込み苦手だと思ってた」


鬼頭哲太:「苦手です……でもお仕事だから。……お友達のところ、戻らなくて大丈夫ですか?」


一衣舞佳:「大丈夫。私といても、たぶん退屈させちゃうし」 仏頂面で話の詰まらない自分といるより、元気印で話の合う一角さんの傍にいる方が、詩子にとって幸せだから。


GM:そういうところだぞぉ。


鬼頭哲太:「……大切な人とは一緒にいたほうがいいよ」


一衣舞佳:「……うん」


GM:工事現場の方では、タイフォンが精密作業パフォーマンスを開始し、また観客が動き出している。この人ごみをかき分けて彼女のもとに合流するのは、至難の業だろう。


一衣舞佳:「(……あとで、一角さんにもお詫びしなきゃ)」


加納美鳥:「あっ、いたいた!2人ともー!」 じゃあそうだな。人間雪崩から脱出し

た2人のところに、加納さんがやってくる。


鬼頭哲太:「加納さんいる……!」 これは幻覚……?


加納美鳥:「舞佳ちゃんもお疲れ様。ちょうど探してたところよ」


一衣舞佳:加納さんは、さすがに舞佳は面識ないかな。会釈。


鬼頭哲太:「お疲れ様です。くぁ……お仕事、いいんですか……?」


加納美鳥:「今日はこれが仕事よ。UGNに資金援助をしているデルフ石油との付き合いでね。この炎天下の中、みんなよく集まるものだわ。それで――」「定時連絡なんだけど。警備の情報を共有するために、第二支部の皆にも集まって貰いたいの」


鬼頭哲太:「第二の皆。支部長……来てるんですか……」


八乙女龍馬:炎天下なんだろ? 支部長は道場でスルメになってるよ。水風呂には可能な限り浸かりたくないので。


一衣舞佳:「あー、その。支部長は……」


加納美鳥:そうはいかんぞ。 「でも、霧谷さんから連絡が行ってるから、すぐに来るんじゃないかしら」


八乙女龍馬:呼ばれてるのかよ! ちくしょう霧谷ゆるせねえ。


加納美鳥:「集合場所は会場裏よ。じゃあ私はいったんここで失礼するわね」


一衣舞佳:「お疲れ様です」


加納美鳥:「これからデルフの偉い人たちと、補償のお話……またあとでね」 うんざりした顔。


鬼頭哲太:「あ……加納さ……。あー……」


一衣舞佳:「……行っちゃったね」


鬼頭哲太:「……お仕事ですから。……戻りましょう」


一衣舞佳:「ん」


◆ ◆ ◆


GM:ここで一旦シーン切りましょうか。状況確認挟んで、そのまま調査パートだ。


一同:はーーい。

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