第18話

 俺には、妹がいた。

 とびきり、可愛い妹が。

 その妹の成長を見守れなかったことだけが、俺の心残りだった。できることならば、彼女が大人になるまでは側で見守っていたかった。

 ――ああ、そうか。

 俺は、思った。

 これは、俺の未練の話なのだ。

 きっと、俺は本来ならばこの世界に生まれ変わるはずだったに違いない。けれども妹への未練が強すぎて、生まれ変わることができなかったのかもしれない。それで、妹の代わりになる女の子の背後霊のような存在になったに違いない。

 ああ、そうか。

「ありがとう」

 リゼが、そう呟いた。

 俺は、心から言った。

『俺こそ、ありがとう』

 再び、兄にならせてくれて。

 成長を見守らせてくれて。

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