第6話
リゼについて、俺が知っている事実は実は少ない。
だから、俺がリゼの殺人をどうにか回避しようとするならば本人を鍛えるしかなかったのだ。幸いにして、俺には裏技が使えるようになっている。
「あはははは!」
リゼの体で、俺は仁王立ちになる。
なんと、俺は一時的にリゼの体を動かせるようになったのだ。リゼが眠っている間に一時間ぐらいだけという制限はあったが。これは、リゼが俺を認識できるようになったからなのかもしれない。時系列でいうと、俺がリゼの体を動かせるようになったことの方が先だったけど。
さて、俺を認識できるようになったリゼだが、俺が手配した(正確には彼女の父親が手配してくれた)家庭教師にしごかれていた。なんかもう、こっちが見ていて可哀そうになるぐらいにスパルタな授業だった。
「でもなー……」
リゼは、将来的に殺されることになるのだ。
そのときに何とかなるように、剣術は覚えておいてほしい。そして、できるのならば勉強ものは今のうちからやっていたほうがいいだろう。
実は、リゼは母の兄の養子になってからかなり勉強付けの毎日を送っていたようなのだ。そのときに婚約の話がまとまったようなのだが、なんだかリゼ本人があまり関心を持たないうちに話がまとまってしまった雰囲気があったような気がする。たぶん、勉強が忙しくて考える暇がなかったのだろう。今回はそんなことがないように、色々と先回りしておかねばならない。
あと、一年でリゼの両親と弟が亡くなる。
それまでに、最大限の準備をしなければならない。
「まだリゼには信用されてないみたいだけど、俺は俺で頑張らないとな。よし、体を鍛えるために腕立てをやるか」
俺は、リゼの部屋で腕立てを始めた。
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