古き良き伝説がひっそりと残る、ある地方都市の夏の日。姪が夏休みに帰郷してきた頃から、いつもの見慣れた日常がどこかズレたように揺らぎ始める。そこに静かに映し出された、何でもない夏の普通の昼下がりがいつの間にか置いてきた過去への郷愁に誘っていく。子供のころ見た空の色は、きっとこんな彩(いろ)だったのではないだろうか。そんな想いにかられる。これからの季節(夏でなくても夏を感じます)冷たい麦茶を横におき、風鈴の音に耳を聞きながらゆっくりと浸りたい作品です。