4杯目 ハワイコナとしろっぷ。

私は今日も早く起きて(起こされて)お店の準備をする。持ち帰り用のアイス珈琲を作ったり機材の調節をしている内にすぐに開店時間になる。

私の店は早めに空けて夕方くらいに閉める。


平日の朝は常連さんが珈琲を飲みに来てくれて、

昼は意外と暇で、夕方くらいにポツポツと人が来る。


お昼頃、キッチンの椅子に座って珈琲豆の管理をしてると、りりりーん。とベルが鳴る。


「いらっしゃいませ……って霞じゃん」


「おーっす! 遊びに来たぞー!」


そう元気な声で店に入ってきたのは私がよく知る

長い霞色の髪をした童顔の女性。

高校からの同級生だった霞だった。


「あれ、意外と平日の昼は人いないんだな〜不景気?」


「ちょっとやめてよ〜、縁起悪い」


「あはは、ごめんごめん」


「まだお昼だけど今日は休み?」


「いや、当直明けでなぁ、怜斗のやつも仕事で構ってくれないからここに来たんだ」


「なるほどね〜お疲れ様、何にする?」


「んー、私そこまで珈琲詳しくないからなぁ……おまかせで!」


「はいはい、今日の珈琲は『ハワイコナ』です」


「ハワイってあのハワイ?」


「そう、アメリカのハワイ。100年以上の歴史を持つ珈琲でブルーマウンテンに次ぐ高級品のひとつなの」


「ええ、高級品なんて私が飲んでいいのか?」


「ええ、高いって言ってもお酒やワイン程じゃないからね」


「なるほどなぁ、じゃあ楽しみに待ってるぞ!」


「少々お待ちください」


私はハワイコナを用意してドリップを始める。


「最近彼とはどうなの〜?」


ドリップをしながら霞に聞く。


「超順調よ! 結婚の話も最近出てくるようになったなぁ」


「結婚ねぇ……もうそんな歳かぁ……私つい最近まで学生だったのになぁ……」


「私たち社会人になって2年もたったんだぞー」


私は珈琲を霞の元に運ぶ。


「お待たせしました。ハワイコナとストロベリーケーキです」


「おー! 美味しそう! いただきます」


霞は珈琲を口に運ぶ。


「おお、意外と飲みやすいなぁ!」


「でしょ? それは甘い香りと優しい苦味が特徴で飲みやすいの」


「怜斗はあんまり種類とか教えてくれないからなぁ」


「焙煎士でバリスタなんだっけ?」


「そうそう、日本の公式大会にも出てたぞ」


「バリスタグランプリ……」


私がまだ挑戦できていないものの一つ。

それがバリスタグランプリだ。


「そうそれ! 凄いのか?」


「参加するのは簡単だけど優勝するのはとてつもなく難しいよ」


「へぇ〜、去年は優勝して外国行ってたけどなぁ、あいつ凄いのかぁ」


「なっ……霞の彼氏さんは凄いんだね」


「まぁな! そう言えば今の彼氏とはどういう経緯で付き合ったんだ?」


「あれ? 話してなかったっけ?」


「話してないぞ! いっつも誤魔化したじゃないか!」


「あっれぇ……そんな事もあったっけ……」


私は苦笑いする。


「それで? どうやって怜斗がベタ褒めするくらいのハイスペックイケメンを捕まえたんだ?」


「それはねぇ……」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜今日の珈琲〜


ハワイコナ

苦味 ✩✩

酸味 ✩✩✩✩

甘味 ✩✩✩

コク ✩

香り ✩✩✩


・希少価値の高く高価な珈琲豆。

・滑らかな舌触りと優しい酸味のマイルドコーヒー。

・花のような香りが心地よい。

・是非ともストレートで飲んでいただきたい珈琲。

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