3杯目 ブルーマウンテンとしろっぷ。
今日はお店を早めに閉めて買い出しに出かける。
店で使う生豆の仕入れとお家で使う豆の仕入れだ。
行きつけの店が無いわけでもないが、
近場の焙煎所はみんな知り合いや修行の身の時から
お世話になっている人達なので大抵どこに行っても顔見知りなのである。
今日は【Oyaji Roast】と言う焙煎所に来た。
一見名前はふざけているが扱っている豆のレベル、
種類の豊富さははっきり言ってここが1番高い。
「らっしゃい……って凛嬢じゃねぇか久しいなオイ」
そう言って声を掛けてくれたハゲ……
スキンヘッドのおじさんはここの店主。
見た目は怖いけどすごく優しい。
「お久しぶりです。今日は何仕入れてるんですか?」
「あーん、嬢ちゃん好みだとそうだなぁ……無難だけど『ブルーマウンテン』とかどうよ? 勿論No.1のスペシャリティ使ってるぜ」
「おぉ、いいですねブルーマウンテン。それを100gお願いします」
「随分気前悪いじゃねぇか、不景気かい?」
「違いますよ家用です。やめてくださいよね」
「ハハハ!まぁ嬢ちゃんの腕前があって不景気はねぇよなぁ悪ぃ悪ぃ」
「まぁお陰様でそれなりにって感じですね」
「お、いいねぇ、ほら商品だよ」
「ありがとうございます。また来ますね」
「おうよ!カレシとも仲良くな」
「言われなくてもですよ」
私はそう言って店を後にした。
今日も彼に珈琲の準備をする。
「今日はなんて言う珈琲なんだい?」
「今日はブルーマウンテンですっ」
「結構有名な豆だよね、インスタントの時飲んだなぁ」
「そうだね。苦味、酸味、甘味、全てのバランスの良さから『黄金のコーヒー』とか『コーヒーの王様』なんて言われてるんだ。でもインスタントとドリップでは全然違うから楽しんで貰えると思う!」
「それは楽しみだ。じゃあ今日もお願いします」
「任せてくださいっ!」
私は今日はいつもよりゆっくりめにドリップする。
私は豆によってドリップ時間を変えている。
「どうぞ。ブルーマウンテンです」
「ありがとう。いただきます」
彼は珈琲を飲む。
「うん、口に入れた瞬間に滑らかな舌触りと優しい酸味と苦味、甘味とコクの調和が完璧に取れてるよね。これは美味しいな」
「ブルーマウンテンは日本人好みの味としても有名なんだよ!」
「やっぱりそうなんだね……あっ」
彼はなにか思い出したように廊下に出る。
「?」
箱を持って帰ってきた彼はニコニコしながら箱を開ける。
「じゃーん! ケーキを買ってきました」
私はとてもケーキが好きなのを彼は知っている。
それで時々買ってきてくれるのだ。
「わぁ! ショートケーキ! ありがとう!!」
「一緒に食べよっか」
「うん!食べる!」
私は彼の隣に座ってケーキを頂く。
「ん! 甘くて美味しい! これ中に入ってるのマスカット?」
「そうらしいよ。 フルーツショートケーキなんだって」
「へぇ〜! 面白いね。 これは使えるかもな……」
「凛ちゃんは勤勉だね」
彼はそう言って私にケーキを差し出してきた。
「えへへ、はやとくんから食べさせてもらえるなんて幸せだなぁ」
「凛ちゃん専用だから安心して欲しいな」
彼はそう言って微笑んだ。
この人を独占してる私は相当幸せ者だろう。彼に冷められないように自分をもっと磨かなければいけない。
私はそう思いながらケーキを食べ終えた。
やばい。痩せなきゃ。
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〜今日の珈琲〜
ブルーマウンテン
苦味 ✩✩✩
酸味 ✩✩✩
甘味 ✩✩✩✩
コク ✩✩✩✩
香り ✩✩✩
・言わずと知れたコーヒー界の有名人。
・全てのバランスが良く、珈琲の王様と称される。
・フレンチロースト等の深煎りにしてカフェラテやカフェオレとして飲むのもよし。
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