2杯目 ブラジルハイーニャとしろっぷ。

ぐおおおおお……というドライヤーの音が洗面所に響く。私は彼に髪を乾かしてもらっていた。


「髪の毛長くて悪いでごぜぇますなぁ」


「僕は意外と凛ちゃんの髪乾かすの好きだよ?」


私の髪をわしゃわしゃーっとしながら話す。


「えへー、ショートの方が好きだったりする?」


「んー、どっちも好きだけど凛ちゃんは今の方が似合うんじゃないかな」


「じゃあ今のにしとく! いつもありがとうございます」


「いやいや、こちらこそプロからタダで毎日珈琲を淹れてもらってますからね〜」


「えへへー、お代はコレで頂いてますぞ〜」


「なら良かった。……よしっ、これで完了です」


「わーい! ありがとー!」


私は彼に抱きつく。

抱きつくと彼は毎回私の頭を撫でてくれる。

一生離れなくてもいいんじゃないかなこれ。


私はそんなことを思いつつ離れてキッチンへ向かう。

彼は椅子に座ってわたしのほうをみている。


「今日はなんて言う珈琲なんだい?」


「今日はね、ブラジルハイーニャです!」


「ブラジルなんだね」


「そうそう。ブラジルなんだけどこの豆は結構特殊で珍しくてね、珈琲の実って見たことある?」


「あの小さくて赤いやつ?」


「そうそう、実にもいくつか種類があるんだけどそれが珈琲の実。はやと君が赤いやつって言ったけどそれが主流でね、でもこのハイーニャはなんと実が黄色いのです」


「黄色もあるんだね。結構珍しいの?」


「そう! ブルボン種って言われる種類でイエローは変異種で結構希少なの」


「ふむふむ」


「ほとんど市場に出回らないから入手に結構苦労したんだよねぇ……でも私のイチオシ珈琲だから飲んで欲しいのです!」


「お、凛ちゃんのイチオシかぁ、それは期待だね」


「えへへ、ちょっと特殊だからお口に合うと良いなぁ」


そう言って私はドリップを始める。

ドリップする時はサーバーをお湯で温めてからドリップすると良いよ。

この豆の特性を活かすために少し早めにドリップをして彼の元へ運ぶ。


「どうぞ。ブラジルハイーニャです」


「ありがとう。いただきます」


彼は口に珈琲を運ぶ。


「珈琲なのにだいぶ甘いね。 芳ばしい香りだけど味は凄くフルーティー、しかもコクも強い」


「そうなの! 苦味が極力少なくて、珈琲なのにフルーツみたいな味わいなの! 結構ユニークでしょ!」


「うん! 凛ちゃんとは味覚が合うみたい」


「良かったぁ……!」


「あ、そうだ。明日はお店休みだっけ?」


「うん?明日は定休日だよ」


「じゃあ少しお出かけしようか」


彼はそう言って微笑む。


「ほんと!? 行こう! どこ行く?」


















こうして今日も何気ない、でもちょっと幸せ。

そんな一日が終わった。明日が楽しみだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜今日の珈琲〜


ブラジルハイーニャ(中煎り)

苦味 ✩

酸味 ✩✩

甘味 ✩✩✩✩

コク ✩✩✩✩

香り ✩✩✩


・苦味が少なくフルーティー。

・『珈琲にしては』とても甘いので苦味系のコーヒーが苦手な方にはオススメ。

・イエローブルボンのブラジルハイーニャは入手ルートが本当に限られている為通販以外では入手しずらいが、作者&凛ちゃんのイチオシなので是非ご賞味あれ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る