轍
高槻翡翠
轍
【轍】
元の世界の家族の夢を見た。
私からすると家族というのは両親を除いて姉と、双子の弟妹と異母妹と異父弟なのだけれども、彼等は今も元気にしているかとなる。
「ギルド長? 眠いんですか」
「眠たいね。天気がとてもいいし」
馬車でごとごと揺れていると彼が私に話しかけてくる。異世界トリップをしてきた彼だ。
私も誰にも言っていないだけでそうなのだけれども、現在、私が生きている世界では異世界トリップをしてくる者がたまにいる。
死んだと想ったらここに来たという者たちだ。
「慣れましたけど馬車に乗るって最初は怖かったです」
「そうなのか」
「元の世界だと馬車なんて外国でしか見なかったので」
今回は依頼のために拠点の町から別の町に移動しているのだけれども、整備された道だから、
移動の方は楽である。これが整備されていないところだと道の揺れが大きくなり、場合によっては酔ってしまうのだ。
「ドラゴンライダーの彼は先に行ってるんだけど」
「便利すぎますよね。ドラゴン」
この世界の両親は以前の両親以上に私に愛情を注いでくれたし……そもそもあの両親がろくでもなかったのだけれども……剣と魔法のファンタジー世界で
生きていて不満はないのだが、未練があるとすれば家族のことだろう。
「荒野が広がる場所だと移動が疲れてね。盗賊とか」
「倒せますよね」
「身の程は知ってほしいなぁ」
この辺の街道は別に盗賊とか出ないのだけれども、出るところには出る。
「強いですものね。ギルド長は」
「……強いか。私はちゃんと進めているのだろうか」
馬車で言うと轍をちゃんと刻めているのかとなる。考えてみてアレってでも荒野とかでやると馬車の幅とか違っていて
変にはまったら出るのが大変だったりするのだけれどもな。
「進めてますよ。ギルドはとてもいいところなので」
「そうか」
そういってもらえるなと嬉しいなぁとなりながら、外から殺意を感じる。盗賊か、倒そうとしながら私は剣を準備した。
【轍】
元の世界の家族の夢を見た。
私からすると家族というのは両親を除いて姉と、双子の弟妹と異母妹と異父弟なのだけれども、彼等は今も元気にしているかとなる。
「ギルド長? 眠いんですか」
「眠たいね。天気がとてもいいし」
馬車でごとごと揺れていると彼が私に話しかけてくる。異世界トリップをしてきた彼だ。
私も誰にも言っていないだけでそうなのだけれども、現在、私が生きている世界では異世界トリップをしてくる者がたまにいる。
死んだと想ったらここに来たという者たちだ。
ちなみに私の場合は姉と喧嘩して、双子の弟妹達と話してから家に帰って姉と話し合おうとした際、信号無視した車に轢かれたのだけれども。
「慣れましたけど馬車に乗るって最初は怖かったです」
「そうなのか」
「元の世界だと馬車なんて外国でしか見なかったので」
そうだろうなとなりつつも私は彼と話す。今回は依頼のために拠点の町から別の町に移動しているのだけれども、整備された道だから、
移動の方は楽である。これが整備されていないところだと道の揺れが大きくなり、場合によっては酔ってしまうのだ。
「ドラゴンライダーの彼は先に行ってるんだけど」
「便利すぎますよね。ドラゴン」
この世界の両親は以前の両親以上に私に愛情を注いでくれたし……そもそもあの両親がろくでもなかったのだけれども……剣と魔法のファンタジー世界で
生きていて不満はないのだが、未練があるとすれば家族のことだろう。双子の弟妹はしっかりしすぎていて、異母妹は危ういし、異父弟もそんなところがある。
姉さんは……結婚すると言っていたから、幸せになってほしいなとなる。結婚しても幸せになれるとは限らないという否定的なことを想いつつも
私たちをどうにか育ててくれた姉には今も頭が上がらない。
「荒野が広がる場所だと移動が疲れてね。盗賊とか」
「倒せますよね」
「身の程は知ってほしいなぁ」
この辺の街道は別に盗賊とか出ないのだけれども、出るところには出る。護衛の仕事で倒すのならまだしも、こうしているときに倒すのはのんびりできない。
彼はまだこうだがドラゴンライダーのアイツとかがいればお前は何を言っているんだとかいうだろう。どうにでもできるくせにと。
「強いですものね。ギルド長は」
「……強いか。私はちゃんと進めているのだろうか」
馬車で言うと轍をちゃんと刻めているのかとなる。考えてみてアレってでも荒野とかでやると馬車の幅とか違っていて
変にはまったら出るのが大変だったりするのだけれどもな。
「進めてますよ。ギルドはとてもいいところなので」
「そうか」
そういってもらえるなと嬉しいなぁとなりながら、外から殺意を感じる。盗賊か、倒そうとしながら私は剣を準備した。
轍 高槻翡翠 @akirenge
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます