第39話 ニャンの二十の二 ネズミと神
「きっと、寄る
父母などは知らず、名も無く、寄る辺無き身の我々の悲哀なぞ全く知らぬか、
ついには
「さすれば、
今日の食い物をその日のうちに探さねばならぬ身の事を」
ネコの宿無しは
「さもありなん。
だが我々には
浮き草でも
ネズミも同様であろうが、
「君らにそこまで言われるとはな。
人間の
説法師は肩を落としてそう
「なに、権威とな。
そもそもヒトなどに権威など無い。
権威と言うよりは、自らそう言い
元はと言えばサルの如きが王冠を
他のものの
ネズミは意を得たりと言う風で、そう吐き捨て、なおも続けた。
「まあ、
そんなものは
それを
こうなるとネズミが
「哀れよのう」
私は
「まあ、聞いてくれ
至高善である神が与え
「あーっはっは」
ネズミが
「何が無償だ。
本来は何もかもが無償だ。
もっとも偉大な太陽の恵みさえ、無償なのだ。
そんな事も判らぬのか、バカめ。
貴様らの偶像もこうして
「待ってくれ。落ち着いてくれ。私の言う事を信ぜよ。さらば救われるであろう」
「何をアホな事を。
無償ならば、
即ち、信ずることなく救われることが無償なのだ。
信ぜよと言うのは
そんなケチ
真に無償なら、信ずるな、疑え、されど救われよう、いや真に救いたいのであれば、
よいか、無償とは何の条件も無く、と言う事だ」
ネズミはケンカ腰に立て続けに言い放った。
「よいか、至高善が
私もネズミには圧倒されたが、救われたいと言う思いの在る無しに関わらず、救いようもなく救われないのが
そもそも救われると言うのがてんで分からぬ。
正直な所、救われたくもないのに救われても困る。
「よいか。救われる、救われないのが大切なのではない。そんな絵に描いた
「おいおい、その辺で
ネズミの言う事もよく分かるが、私は次第に
「申し訳ないが、説法法師さん、そんな救いは要らぬな。やはり我々には神は要らぬ」
「
ネズミは鼻を
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