第37話 ニャンの十九の四 ネズミとネコと、ヒトと神さま
「どうもそのようだが、それでも人間の中には
私は人間のあり方にも一定の理解を示した。
「それにしても結局、寂しいなどと言って自分の
そしてまた、扱いに於いては
と、奴も
「そう言やあ、あんたは
春夏秋冬、
或いは体毛が隠しているように見える、単なる裸だ」
「さらに付け加えると、人間たちには衣食住などという言葉もあれば、我々の仲間を指す家畜、
私はさも意を得た如くに言った。
「まあ、人間以外はどうなってもよいと言う考えだ。
我々は
つまり人間どもと言うのは
家畜には
難しい言葉で言えば、
ネズミは知識を
「なるほど。我々みんなの分け前を横取りして、食わしてもらっているだけのことで、言うならば感謝もなく我々の体と言う餌に頼っていると言うことだ。
奴ら人間に言わせりゃ、有難く頂戴いたしておりますだと。
いただきますなどと言い得て妙だ」
「おいおい、決してそればかりではないぞ。
私はお前たちを焼いて食べたりはしないぞ。
それにどうなっても良いなどとは思ってはいない」
説法師は言い
「確かにお主ら、サルなどは喰わぬようだがな。
いや、しかしそれでも大抵のものは喰っているぞ」
ネズミは食い下がって言った。
「中には保護区を設けて、その中で保護している生物の種もあるようだがな」
と、説法師の奴は口籠った。
「だが、しかし実際には我らを見て、こんな奴らの一匹や二匹と思っている事であろうよ。
事があっても命懸けで何とかそ奴らをの命を守ろうなどとは思ってはいまい。
ひとたび
まあ、百歩譲って、己の命を継ぐ有難い食い物とでも思ってくれればそれでも良いがなあ。
だが、
だが、それは我々も言わば
「まあ確かにそうかも知れぬ」
私の言にネズミの奴も同意した。
「いや、しかし、人間一般が何も知らずに自分を特別だなどと思い込んでいるのだ。
国が違えば今度は自国が特別だなどと言って、相手が人間となれば戦争を仕掛けて、住まいする土地や物資、資源その他を奪い、さらにはこれを滅ぼそうとする。
その様にして征服したと言っては喜んでいるのだ。
もしかすると、自分が食われる存在だなどとは思いも寄らぬ事であろう。
私は奴の顔を見てこう言いながらも、あちこちで出会ったネズミ共の事を思い出しては、さすがに
「なるほど」
ネズミはさもありなむと、うつむき加減にながらも、まずまず得心したと言わんばかりに
「そう、つまりは何の
「ああ。いや、しかし牛を神と
やや特殊とも言えるが、ヒトによっては自ら
ヒトの
「さあ、どうだか。
遜るとは言え、形式ばかりのものではないのか。
人間界に
本心など、どうだか分かったものではないわ。
牛と言うのなら、ネコやネズミやゴキブリではどうだ。
ヒトの内にこれらを
私はやや勝ち誇ったように心と念とを以て以上を伝心した。
「うーん、それは知らぬ」
説法師も知り及ばぬ事については率直にそれと認める。
「いや、しかしアジアの小さな国には奇妙なことにかどうか、ネズミの神様を
「ふん、ヒト言うのも奇妙な生き物だ。
ではネズミや牛が神様なら、無論の事ながらヒトこそは神の中の神たり得るのではあるまいか」
私はネズミの
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