第17話 ニャンの九の一 伊助のこと
伊助の事に話を移そう。
この世に
そうは言うものの、
切り捨て
あらゆるものは切り捨てられたが
切り捨てとは
言わば、ある
そのものでありながらも、
元の存在の
言わば主体不在の
衣服ならば着用の用を為すものの、薄皮の抜け殻では使い回そうにもどうにもならぬ。
墓場の辺りに脱ぎ捨てられたその衣服を見て、或いは着用にと
伊助の言うことには、どうやら妙な魚に
何かの毒の
やられた。清水に
大海に棲まう魚たちは本来無毒であろう。
或いは魚共の
しかしそれにはまず自身を捨て去る覚悟がなければならぬが、言うまでもなく
しかも効果は
切って捨てるも
だが切り捨てが魚の
ただ、魚の奴らも奇怪しかったとは言う。
元気もなく、我慢ながらにかどうか、腹を天に向けて浮かんでいたらしい。
つまりはこれらの魚の
この状況を彼ら魚たちが嘆く事すら
「まあ、魚も俺たちも、きっと見えない
そうでなければ神か仏か何かにだ。
周りの仲間たちにも狂い死にした奴が多くいたらしいが、あいつらだって俺同様、魚が、
魚を喰うだけの俺たちには何を
ヒト共も弱り果て困っていたらしいが、それは魚共も伊助らも同じ。短い寿命をさらに短く細切れに切り刻まれ、言いたい
振るえる体の置き
そのうち奴は
俺の眼を震える横目に
魚だけは喰うなよ、
恨み言など一切無かったが、
その昔、伊助とは何でも競い合い、
実の
山では何も思い
そこには鳥もいれば野ネズミも
山野を渡り歩けば幾らでも食い物があり、何の不自由もなかったのだ。
山猫の本分は山に住まいし、
その気高さ加減は生を生きるに
山を下りて海辺の浜辺に定まるようになった伊助の知り合いの中にはその内に
念仏のような甘美な楽曲に自らそれに漂うかのように、昼夜を
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