第14話 ニャンの八の一 燐火
私が幼い頃この黒い毛皮を
しかし感謝すべきことには、結果的にこれが皮肉にもわが命を救ったのである。
我々は猫である無しに
その幼き日の私が野辺から里へと
神の
薄汚れた皮を剝いで骸骨を
終いには
小僧どもが何を考えたか、そのうちの一人がするすると
どれほどの時が経過したかは知れず、気づくと辺りは
目の前の家屋は
背中の毛が
空しくも宙を
済んでのところで運よく
里の山火事が村々に襲い掛かった天風の大火にあった時の事である。
私を
「まことに、あの
以下は後年燐火が言ったのか、誰が言ったのか判然せぬものの、思い付く
まず
死の中に生があり、いや死の中にこそ生あれとは
ネコの
即ち死はつかず離れずして常に付き纏いては突如、その
我らが払い除けるべき火の粉と死の影とは、一つ大いなる火焔によるもののみに非ず。
目に見えぬ
赫赫と
ネコの目と手に観る息もなし
命跳び
初めて目にした火焔の大きさも然ることながら、逃げ惑った挙句に見た累々たる死屍の為す景色の印象と、煤煙の臭いだけが身と心と息とに染み付いた。
あらゆるものを焼き尽くすほどに猖獗を極め、夜空を煌煌と照らす恐ろしくも美しい夢のようなものでもあり、その光景は果たしてネコ一匹の脳の髄の隅々にまで隈なく焼き付けられた。
その晩のうちに燐火の老いたる母猫をはじめ、如何に多くの
明けて
ネコの
猫ですら斯くも
足手に
脚折れの彼の地の猫の思い出に
一夜を
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