第12話 ニャンの七の一 簑笠と蝦蟇(がま)
暑苦しさの中、
あれはそも夢か幻か、或いは
見る間に不意に
その場からどうにも動けず眼を
我が臓腑に染み付いた
見る間にそれは蛆や蛭、蛻などが挙って南京虫への狂信よろしく身悶えしつつも、約束の死地へと赴く
行軍の内なる彼らは決して
また
その様は
一旦其処に入ったものは
光すらも出るに能わざるが如く、また窺い見るに困難でありながら見過ごすには惜しく覗きたくもあるが、素面で視線を寄せるべきものでもなくい。これを察するに無聊行者がこの世の最期の畢竟にあってその邪念のすべてを捨てに行くような場所か。
さらに言うならばこの地を捨て、己が内なるあらゆる此の世を
目に見えぬ鎖に
順を待つのを
順に繋いで落とし込んでいくのは鬼の
繋がれたものどもが持つのは恰も陽光の内か外かの
またこんなこともあった。
これは若かりし頃、何時ぞや疲れた体を押して森への帰途を
身を揺さぶる轟音に身を
そこに物言わずに独り放り置かれたたる脚がたいそう
そのあくる朝も晩も蛙らの悲愴なる合唱と思しき
あの後脚の主はこの
蛙と私とはあの時、或いは分かち難い表裏であったのではあるまいか。鉄塊に圧倒されたのがこのネコではなく、蛙であっただけのことである。果たしてその折りは其奴の順であったのだ。
暫くの日々が彼らを、
何とこの
蛙たちはそのことを知ってか知らずか、連綿たる生死に対する
日頃蛙のことなど考える由もないが、歳蔵や伊助の事が思い起され、これを想うたびに
それにしても蛙の奴は川を渡ったのかどうか、それとも川に流され清められたのか。果たして魂を削ぎ落せたのか。
見ず知らぬ
音も匂いも見えずなり行く
夕間暮れ
ネコ独り
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