第7話 ニャンの四の一 歳蔵のこと
私にとってはただ一匹の
そろそろ九百九十一年の
奴は根っからの一匹猫であった。
思うが
この身と奴とは
奴の無惨に遭った時には
奴の運の
奴の幼時の
自らを置き去りにした
同様の
いや、この
それやこれやを考えると徳も何もない野良なる我が身、
歳蔵とは
奴とは毛色が違ったが、同じ
ある夏の日暮れの山からの帰り、川の瀬から山の
先を走っていた奴が
そこで私は慌てて歳蔵の後を追って谷底へ駆け下りていった。
見ると奴に落命を示す兆候はなく、何処でどう
痛そうな顔一つ見せず、歳蔵は
それからと言うもの当たり前のように私たちが奴の
すると、どのようにしても奴の行動範囲は狭まり、そのうちに歳蔵は
長ずるにつけ私は遠征が多くなり、奴には尽くしてくれる年上の
その後燐火が教えてくれた処によると奴が如何に愛らしい奴であったかという事であった。
子も多く成し、
野良には違いなかったが私の如き
常ならぬ身は
里ならずして野にてこそあれ
この時の
縁の下の奥まったところに奴のにおいの
月明かりに奴の
一切の
此の
猫が
それでも歳蔵はそれを嘆くことはしなかった。
最愛の燐火を亡くし、或る頃からは食い物をヒトに頼る事も
近くの森には仲の良い
当然の如くに
奴が死んで
野苺を喰らえ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます