第12話『あれ……?』
パリー・ホッタと賢者の石・12『あれ……?』
ゼロからの出発
大橋むつお
時 ある日
所 とある住宅街
登場人物……女2(パリーを男にかえても可)
パリー・ホッタ 魔女学校の女生徒
とりあえずコギャル風の少女
少女: あれ……?(ドアを開けて、くぐっただけで何もかわらない)
パリー: まちがえたんじゃないですか、「こどもでもドア」と。
少女: ……いいや、これはおためし品で四回しか使えんようだ。
パリー: あう……すみません。わたしのために……あ、あの、他に道具があるかもしれません。
少女: そうだな……ええと(スペアポケットをさぐり、タケノコプターを出す)
パリー: あ、タケノコプター! それ、使えますよ。どこもでもドアより時間はかかるけど。
少女: これは、首に全体重がかかって、見かけほど楽じゃないんだよ。それに、ファグワーツまではとてもバッテリーが持たんだろう。
パリー: かしてください。(自分でポケットをまさぐる)代役コンニャク、ヒラリスカート、ジャイアンツトンネル、金太郎印のきびだんご、タイムレジ袋……
少女: もういいよ。君のせいじゃない。
パリー: すみません……
少女: さあて、魔法と行き場所のない魔法使いは何をすべきか……そうだ、今朝の新聞……あった、これだ!……ふむふむ、よし、条件はピッタリだ……このなりをのぞいてな……(下手袖に入り込む)
パリー: どうしたんですか?
少女: 着替えと化粧なおしだよ。
パリー: どこか行くんですか?
少女: 駅前の書店だよ、アルバイトを募集している。
パリー: え、先生、アルバイトするんですか!?
少女: 働かざるもの、食うべからず。人間のアイデンティティーは働くことだ。
パリー: 働くって、先生、人間の女の子として生きていく気ですか?
少女: そうだ、仕方あるまい。
パリー: 先生が女の子に……(#´0`#)
少女: 君が照れてどうする!
パリー: はい……手伝いましょうか。女の子の着がえとか、慣れてないでしょう?
少女: バカモン! 姿かたちはコギャルでも中味はオヤジだ。若い女が、オヤジの着がえを見てどうする!
パリー: じゃなくて、手伝いを……魔法がつかえたら、先生のイメチェンの着かえなんてチョイのチョイって……(杖を軽くふる)。先生、アルバイトは、本屋さんとか、スーパーのレジとかぐらいにしておいてくださいね。ファミレスとかファストフードは誘惑が多いっていいますからね。あ、それから、言葉使いも、そのオヤジ風じゃなくて、おだやかに。それから、先生って、オヤジっていうオーラが溢れ出てますから一時間に一度は鏡を見てくださいね。オヤジっぽいコギャルならそれでいいかもしれませんけど。書店は気品第一、茶髪とかピアスもなし。お風呂は毎日入って、バイトの日はちゃんと朝シャンやって……ねえ、聞いてます!?
少女: ちゃんと聞いて……あら?
パリー: あれ?
少女、入った袖とは、まるで違うところからあらわれる(たとえば上手袖)それまでとは全然違った清楚な制服姿。
少女: パリー、なにかやった?
パリー: いえ……あ、ちょっと杖をふった、イメチェンの着替えぐらいチョイチョイって……
少女: 少し魔法がもどってきたみたいだね。こんなところから出てきた。テレポテーションだ!
パリー: ……いいえ、完全にもどって……だって、先生、こんなに清楚できれい!
少女: 馬鹿、これはわしの……いえ、これはわたしの今の普通の姿よ。メイクおとして、ちゃんと服を着ただけ。
パリー: だって……
少女: じゃ、もう一度、そっちへ入るから、もう一度魔法かけてくれる?
パリー: はい、先生をもとの先生の姿にもどしてあげます!(少女下手袖へ)いっきますよ……先生を先生の、もとのあるべき姿にもどせ……!
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