第10話『ひげもぐらのパソコン』


パリー・ホッタと賢者の石


10『ひげもぐらのパソコン』


大橋むつお




時     ある日

所     とある住宅街

登場人物……女2(パリーを男にかえても可)  


           パリー・ホッタ 魔女学校の女生徒

          とりあえずコギャル風の少女






暗転、明るくなって、ひげもぐらの校長室。どこもでもドアが開いて二人が入ってくる。上手に校長用の机、その上にパソコンが見える。


少女: 奴はおらんようだな……

パリー: 今日は、あれから出張に出ているみたいです。

少女: この時期に?

パリー: 明かりはつけないでください、外に漏れます。

少女: そうじゃったな。しかし、ここはまるでもぐらの穴だ。この暗さで操作できるか?

パリー: なんとかやってみます。

少女: 暗くてよくわからんが、いろいろ貯め込んでおるな。博物館の金庫室のように魔法はかかっておらんようだが、このコレクションは、心の中が貧弱な証拠だ……スフィンクスの鼻……お岩さんの足……狼男の毛皮……ん、これは?

パリー: 先生、立ちあがりました。ほら、このデータです。

少女: 魔力減退の処方……パリー・ホッタの場合、魔力回復の必要条件は、賢者の石……

パリー: ここで、ひげもぐらがやってきたんです……では、次のページにいきます……

少女: ……井の指導であり、その指導は……これは……?

パリー: え……魔力回復の必要条件は、賢者の石、井の指導……賢者の石井の指導? これは石ではなくて、石井という人の名前なんですかね……

少女: そのようだな……

パリー: どなたでしょう、この石井という賢者は……


間、ディスプレーの画面を見つめる二人。と、突然アラームが鳴りはじめる。


少女: 時間をかけすぎた。アラームだ! すぐにもどるぞ!

パリー: はい!


アラーム、けたたましく鳴る内に暗転。明るくなると、最初のロックウェルの家の前の路上。どこもでもドアを背に、へたりこむ二人。

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