第7話『ピンク色のドア』


パリー・ホッタと賢者の石・7『ピンク色のドア』





大橋むつお


時     ある日

所     とある住宅街

登場人物……女2(パリーを男にかえても可)  


           パリー・ホッタ 魔女学校の女生徒

          とりあえずコギャル風の少女






二人、下手の袖に入りごそごそする。やがて、ピンク色のドアを押しながらあらわれる。


少女: たぶんこれだな。

パリー: まちがいありません。ピンク色の片びらき、おなじみの「どこもでもドア」です!

少女: よし、「どこもでもドア」よ、魔王の名にかけて命ず、我ら二人を魔法博物館の……

パリー: あの……魔法じゃないんですから、これは。

少女: すまん、いつものくせが出た。

パリー: 魔法博物館地下百階の大金庫!(キンキラキーンとか電子音がする)

少女: ……賢者の石と御対面だな。

パリー: き、緊張しますね。

少女: わしも、現物にお目にかかるのは初めてだからな。

パリー: せ、先生からどうぞ。

少女: 君から先にいきたまえ。

パリー: いえ、先生から。

少女: じゃ、二人いっしょに入ろう。(二人でノブに手をかける)

パリー: 二人同時には無理なようです。

少女: では、わしから(ドアを開けて入る)……おお、これが魔法博物館地下百階の大金庫か!

パリー: せ、先生……

少女: 家の前の道路にそっくりだ!

パリー: 家の前の道路です(少女ずっこける)

少女: そんな馬鹿な……

パリー: 先生、ここにマニュアルが(ドアの枠を示す)

少女: なに……「どこもでもドアの使用説明」……

パリー: ちょっとちがいます「こどもでもドアの使用説明」

少女: 「こどもでもドア」?……「こどもにドアの開け閉めのしつけをするための練習用のドアです。完全なドアの開閉には、まず……」

パリー: まちがえたようですね……

少女: やりなおそう……


 ドアを押して再び袖へ、すぐに別のドア(開きが左右逆。つまり、さきほどのドアを裏がえしにしたもの)


少女: さあ、今度こそ本物の「どこもでもドア」だぞ。

パリー: さっきのと同じようですけど。

少女: ようく見なさい。さっきの「こどもでもドア」は右びらきだが、これは左びらきだ。

パリー: なるほど……

少女: さあ、いくぞ。魔法博物館地下百階の大金庫おおおおおおおおおお!!

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