第3話……ちがったの?


パリー・ホッタと賢者の石・3

ゼロからの出発


大橋むつお



時     ある日

所     とある住宅街

登場人物……女2(パリーを男にかえても可)  


           パリー・ホッタ 魔女学校の女生徒

           とりあえずコギャル風の少女




 小鳥のさえずり。そよ風に吹かれる二人。


パリー: ……ちがったの?

少女: 苗字はロックウェル。イマイッチ・ロックウェルが正しい。そこの表札にもちゃんと書いてあるだろーが。

パリー: ……あ、ほんと……(落ち込む)

少女: だからロクなもんじゃないっていうんだ。

パリー: ……そうね。

少女: そういうことをすっとばして、派手な魔術や魔法にばかり目をうばわれる。そして、ちょっと魔力を失ったら、尻尾に火のついた猿みたいにうろたえて……今度は、塩をかけられたナメクジかよ?

パリー: ……ごめんなさい(背をむける)

少女: 待てよ。そのままもどっても何の解決にもならないだろ?

パリー: だって……

少女: あたしでよけりゃ相談にのるよ。最終電車にゃ、まだ間があるから。

パリー: あなたが……?


この時、ふくろうが運んできて五、六通の郵便物と新聞が落としていく。


パリー: わっ!

少女: 郵便と新聞停めるのを忘れていた……ダイレクトメールばっか……何か飲み物でもとってくる。それ、そこのゴミ箱に捨てといてくれ。

   

少女、家の中へ。パリーは手渡された新聞とダイレクトメールを何気なく見る。


パリー: ほんとだ、あて名はみんな、ちゃんとロックウェルだ……新装開店、ジュンプ書店、求むパート、アルバイト……宅配ピザお持ち帰りで半額……不動産に、車の広告……アイボにアシモ……ロボペット……先日おたずねのありました単身者用家事ロボットとロボット犬のカタログを送ります……単身、一人住まいのことだよね……?(少女が飲み物を手にもどってくる)

少女 おまちどう……あ、それロボットのカタログ……

パリー: イマ……ロックウェル先生って、一人住まい……?

少女: そうだよ。

パリー: 家族とかは?

少女: いない。完全無欠の一人暮らしさ。

パリー: ……え、じゃ、あなたは?

少女: ん?……まだ気がつかないのか?

パリー: ……!?

少女: フフフフ、フハハハハハハハハハハ……!(不敵な笑いに耐えられず、パリーが駆け出す)フリーズ!


氷りついたようにパリーが停まる。


少女: この程度の力は残っているようだな。魔法などというほどのものじゃないが……ホイ(指を鳴らすと、パリーの氷づけが解ける)

パリー: あ、あなた……?

少女: イマイチだよ。イマイッチ・ロックウェル。こんなナリはしておるがな。

パリー: せ、先生……!?

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