第5話

「おぉ!あの書き込み見てくれたんッスね!?役に立てた様で何よりッス!」


 やかましいなこいつ!?何でそんなハイテンション!?!?


「あ~待て待て。詳しい話は取り合えず座ってからだ。自己紹介もまだだろ」


「うぃッス!」


 座れる場所って言うと・・・やっべ、ユキちゃんの所に行く感じじゃね?


「あ~。実はもう一人居て・・・ですね・・・」


「ん?そうなのか。何処に行ってるんだ?・・・トイレか?」


 まぁ~そうなるよね。はぁー。どんだけ抜けてんだよ。俺は。隠れてもらった意味ねぇじゃん?出入り口ってこのフロア一つだしさ?この人達がヤバい連中だった場合ユキちゃんどうやって逃げんのよ?

 マジ最悪だわ・・・。


 取り合えずどうせ座る為にユキちゃんが隠れてる所あっちの方に行くだろうから、諦めてユキちゃんをご紹介しましょうかね?


「あ、おい。ちょっと。」


「こっちに居ます。」


 到着。まだ不安そうに見てくるユキちゃんに取り合えずニッコリ笑顔をプレゼント。


「おいで。安全な人たちみたいだ。」


 多分。とは言えない。不安が解消された瞳には気落ちしながらも僅かにだけど安堵の色が見える。それをまた曇らせ、気落ち一色の眼にするのはちょっと・・・。


 あの書き込みをしたのが本当にアイツならば悪いやつではないだろうし、おっさんも居るけれど悪い人ではなさそう。ちょっと厳ついけど。更に女性も居るならば多少は安全な人達だろう。


 例え組み合わせが謎であったとしてもね。


 それに勘ではあるが、会って数分の勘がどこまで当てに出来るかはさておき、悪い人たちではないと思う。俺は、俺の勘を信じる!!


「あ~。なるほど?安全のため、か。」


「え?どういうことッスか?おっちゃん。」


 おっちゃんにおっちゃんって言えるその神経がわからん――――。判断早まっちゃったかな?実はこいつ悪いやつ?俺をおっさんとでも呼んでみろ?ブチコロスかんな!?


「おぉ!!美少女!!え!?何!?妹さんッスか!?」


 妹だったら良いね~。でもな?今その兄弟的なワードは禁句だ糞イケメン!!


「・・・・・へぅ」


 あぁ!?ほら見ろ!!また泣きそうになっただろ!!


「ブチコロス!」


「どうどうどう。」


 流石女性!

 母性本能が巨大化してるからなのか?ユキちゃんの反応にいち早く気がついたね!更に理由までなんとなく察したかな?対応が早い!

 ぜひ俺にも母性を!そんな手だけで止めないでさぁ~~~。全身を使ってそのビックなものをマイボディーにフィットしてくれんかい!?!?


「コロスよ?」


 止めて?頭掴まないで?つっ!潰れ・・!?


「ごめんなさい!?」


 ――――――た、助かった?すんごい名残惜しそうに頭から離れていったけど―――――。

 すごい握力でした。まる。


「えっと、戸崎さん。で、良いんですよね?」


「えぇ。【戸崎とざき 優華ゆうか】よ。よろしく」


 あはっ!美人様!

 動きやすいため?なのかはわからんけれどもしなやかで細い髪の毛のセミロング。少しつり目だけど優しそうにも見える。不思議だね!お胸から母性を感じるからかな?


「よろしくお願いします。【高田 弘信】です。こっちは【篠原 雪】ちゃん。道中一人だった所に出会ったので一緒にここまで来ました。・・・少しユキちゃんをお任せしても良いですか?戸崎さん。」


「・・・了解。」


 少し考えて返事を返したのはその理由を考えたからかな?

 ユキちゃんの事を話すにあたって家族の現状を説明しなければならない。それはまだユキちゃんにはとてつもなく辛い話のはず。


 察してくれた戸崎さん。グッジョブ!!


 さて。


「ユキちゃん。俺はここの二人と話すことがあるから、ちょっとこのお姉さんと一緒に居てくれるかな?・・・これ食べて待ってて?」


 保護者として女性である戸崎さんに面倒をお願いし、ユキちゃんにはまたもやお菓子をプレゼント!こちらへの関心を少しでも逸らすぜ!

 頑張れお菓子!(二回目)


 黙ったまま頷くユキちゃんの表情は曇ったままで、知らない人と一緒にいることに申し訳なさが込み上げてくる。

 少しでも早く話を終わらせて戻ろう。今初めて出会った人より、多少は俺の方がまだ一緒に居るのはマシだろう――――――マシだよね?


「じゃあ、よろしくお願いします。」


「えぇ。行きましょうか。『ユキちゃん』って呼んでも良いかな?」


 コクリと頷くユキちゃんを撫でると戸崎さんに手を引かれ、少し離れた所にある二人がけのソファーに腰を下ろした。多少声を潜めれば聞こえないかな?

 よし。二人に改めて顔を向け、もう一回自己紹介。


「【高田 弘信】です。ここは避難所、で合ってますか?」


「一応合ってる。受け入れを始めたのは今日からだけどな。俺は【剛田ごうだ ただし】。刑事だ。いや、刑事と言った方がいいか?」


 気になることを言うな?今日から?ってか刑事??疑問が湧くが差し出された手を何時までも宙ぶらりんにするわけにもいかん。しかも刑事さんならばある程度信用してこの手を握れるから余計に気分を悪くさせる必要もない。

 ついでに警察手帳も見せてくれて嘘じゃないみたいだし!


「よろしくお願いします。」


「あぁ。よろしく。」


 疑問は後からでいいか。次はこのチャライケ男。さぁ、そなたの名前を申すがいい、的な視線を向けると口を開いた。


「え、え~っと【天野あまの】ッス。よろしくお願いするッス!」


 溢した言葉からは明らかに動揺?が伝わってくる。


「【天野あまの 天馬ペガサス】だ。しっかり自己紹介しろ。」


「ちょっ!?」


「ペガ、サス・・・?」


 ――――――ぐっ。ダメ、だ。


 ―――――――――――――笑っちゃ、ダメ。


「だぁ~~~!!ほら!こんな感じになるから名字だけにしたのに!!」


「礼儀だ。いくら自分の名前が気に入らないからと適当にするなど――――――プッ。」


「だぁ~~~~~!!!!」


 ちょ!おっさん!笑うんじゃねぇよ!?

 我慢が――――「プッ」


「だぁ~~!!笑うなッス!!!全国のペガサスさんに謝るッス!!!」


「「ごめんな?」」


「せめてそのニヤニヤした顔をどうにかして欲しいッス・・・。」


 いや悪いとは思うけど――――。


 ――――良し。気合い入れた。もう大丈夫。


「ふぅ~。取り合えずこっちの事情から。さっきの説明は俺に関してだけ。ユキちゃんに関して話します。」


 異変が起きた初日に出会ったこと。


 二人でユキちゃんの家まで行ったこと。


 お母さんとお兄さんがいること。


 二人でユキちゃんの家族の帰りを待っていたこと。


 ――――――――結局出会えていないこと。


「そう、か。・・・了解した。」


「悲しいッスね。」


 二人の顔は完全に再会を諦めていて、天涯孤独となってしまったユキちゃんへ同情するもの。


 気が早すぎないか?


 諦めるにしても何も行動していないじゃん。それとも―――――何か事情を知っている?


「こちらから今この周辺に起きていることを説明する。

 天野が言う『モンスター』が町に現れたのは君が体験した通り4日前の昼くらいからだ。

 そのモンスターは人々を襲い、殺している。幸いにもこの近場には、小型のモンスターしか目撃されていない。しかし、隣町には空飛ぶ巨大な何かも目撃されている。君たちがいた町だな。高田君の言う『ドラゴン』だと思われる。

 ここらの被害は昨日の時点では然程、と言うと被害にあった人たちに申し訳ないが、比較的多くの人々が学校や市民体育館、市役所にも避難できていた。この警察署からも多くの者が被害の拡大を食い止めるのに尽力したと思っている。

 しかし、昨日で一気に状況が最悪になった。」


 隣町であるここも状況的には変わらない。変わっている点はあの巨大モンスターが一体も確認されていないこと、か。


「昨日、俺も避難してて、【ソードマン】として周辺のモンスターを駆除してたんッスけど・・・。新しいモンスターが現れたッス。」


「おい天野!モンスターじゃないだろう!!」


「いやいや!どう考えてもモンスターしょ!?ゾンビッスよ!!」


 ・・・は?ゾンビ??


「ゾンビって・・・あのゾンビ?」


「世間一般的に広まってるゾンビッス。」


「元は一般人であり、俺らと同じ警察官だった奴もいる。・・・モンスターとはがかなり危険な者たちではある。」


 世間一般的なゾンビ。ってか何?モンスターとは?何だこの人?


 まるでゾンビとなってしまった人たちを守るような言い方だ。・・・・・・んん??まぁ、気にはなるけど、そのゾンビの情報が少なすぎるな。


「もしかしなくても『感染』していくのか?」


「ッス。」


「死んだのに動いて、ウーウー言いながら襲ってくる?」


「ッスね。」


「噛まれたり、引っ掻かれると感染?」


「ッスね。」


 あぁ~。最悪じゃん。


 ファンタジーのお次はバイオハザード?何それ??設定詰めすぎじゃね?


 そして、さっきの変な言い回し、そこから予想すると――――――


「そんで剛田さんはそのゾンビを殺せない?」


「当たり前だ。人間だぞ?」


「いやだからそれじゃあこの先どうしようもなくなるって何回も言ってるじゃないッスか!?」


「自分の身が危ないからっと言って、他の人を殺すことは出来ない!」


 あぁ~あ。やっぱりかよ。


 いや、まぁ、気持ちはわからないくもない。言ってることは変じゃ無い。あくまでも相手が人間なら、だけどね。


 いきなり親しくしていた人達が襲ってくれば、それを事実としては受け入れがたいのは当たり前で、死んだはずの人間が動くことで「死んでいない」「生きている」と言いたくなる人の気持ちもわからなくもない。


 だけど、実際にそのゾンビは死んでいて、最早別のモノだろう。生物とすら呼べるかどうかも怪しい。


 俺から言わせると、そんな『害』にしかならず、『人間』とも呼べず、『生物』とも言って良いのかわからないモノの為に、確実に『生きて』いて、実際に言葉で『助け』を求める者たちを危険に晒してまで擁護する気持ちはもわからない。


 それを本気で言っているならば、その神経は異常だ。こんなんでも警察官。そこまでの『異常者』ではないだろう。たぶん。


 つまり、それは。


「それってつまり自己満足の為ですよね?」


「何?」


 おぉっと矛先がこっち来た~。


 あんまり怖い顔しないで?こっちはビビリの一般市民だよ?


「剛田さん。お聞きしますけど、今の会話からは他のモンスターは殺せる。けど人間だったモノ、ゾンビは殺せない。ってことですよね?」


ではない!彼らは人間だぞ!?殺せるわけがない!」


「――――では、何でモンスターは殺せるんですか?言い方を変えると、何で殺してんですか?」


 おっと。言い方が気にくわなかったのかな?眉ピクリ。


「殺して良い。と言うのとは違う。向こうが襲ってくる上に、殺そうとしてくるんだ。仕方ないだろう。」


「その言い分ですとゾンビは俺たちを襲うけど、殺すまではしない。と言うことですか?ちょっと甘ガミハムハムしてくるだけ?」


「いやいやいや、普通に死んじゃうッスよ。腹とか平気で食い千切ったりするんッスから。そんでムシャムシャ食べられるッス。そんなカミカミハムハムなんて生易しいもんじゃないッス。」


「だ、そうですが?」


 ナイスアシストだチャラ男!――――ん?いや、この場合俺がチャラ男のアシストをしている―――のか?いつの間にか俺が『ゾンビは殺すべきか否か』の討論にお邪魔してるんだもんな。ま、別にどっちでも良いけど!!


「だからだな、人間ああなんだ。殺せる訳がない。確かにあのは襲ってくる。だがな、あれはどう見たってだ。おかしいこと言ってるか?」


 俺の感覚で言うなら十分に、おかしい。


「結局は見た目の問題?あのモンスター達が、実は交流可能な知能を持っていて、どうしようもない事情で俺たち人間を殺しているとしても見た目はモンスターだから殺すのも仕方なし?それっておかしくないですか?」


「いやそれはまた話が違う。

 そっちの言ってることの方がおかしいぞ。」


「・・・ん~。別の話はしていません。結局は自分達を守るために他を犠牲に出来るかどうかの話です。

 こんな状態になっているのに、人じゃなくなっている人間であるモンスターを、無理矢理人として扱う事に危険性が有ると俺は思います。

 襲われる。殺される。じゃあこっちも抵抗して殺す。シンプルです。

『甘い事』、と言っていいかわかりませんが、文字通り命懸けの状況じゃないですか?例え、本当に相手が生きてる人間であったとしても―――危険なら排除するべきです。」


「お前は実際に見ていない!!

 それに!モンスターすら殺してないんだろ!?甘ったれたことヌかしてんのはてめぇーの方だ!!」


 これは多分―――――無理だね。


 いくら話してもずっと平行線だと思う。


 言ってる事は確かにその通り、俺はまだそのゾンビに遭遇すらしてないし、モンスターはただ見ただけで、(仮称)ゴブリンさんにすら何もしていない。石ころすら投げてもいないのだ。


 だけど、もし、襲われたら。っと、考えた結果が今まで反論してきたのが俺の考えだ。所詮聞いただけの、まるで物語の内容に持論を述べてるだけである。


 だけど、どうにかお互いに納得しないと今後の関係に響くのは確実。所詮だけじゃ完全に分かり合うことは出来ない。だって人間だもの!って言うのはちょっと考えなさすぎなのかな?でも、もう正直うんざりしてきてる。『もうどうでもいいやぁ~』って話ぶった切ってユキちゃんを愛でたい。


 考え方なんて千差万別。結局のところ自分が思う『正さ』を信じるしかないんだよね~。って思ってしまうのも致し方無し?


 最後の最後。絶体絶命の状況にまで追い詰められ、その最後の瞬間を迎えた時とか、若しくはそんな状況から生還できれば、考え方が変わって少しは解り合えるかな?


 ん?いや――――そうか。無理だな。


 たぶんさっき言ってた『今日からここで避難民の受け入れを始めた』ってのは、何処かの避難所でその絶体絶命の状況に遭遇し、避難所が崩壊。そんで生還した結果、ここで再び避難所を作る事になり、活動を始めたのだろう。しかも、原因は今話題となっているゾンビではないだろうか?


 そんな経験をしつつも、そんな事を言えるってのは――――おかしい。言いたくはないけれど、『異常』と思える。


「何故だ?何故そこまで簡単に人を見捨てることができる?」


「答えは簡単ッス!あの人たちはもう死んでるッス!死んでるのに動いてるんッスよ!?そんなのを人として扱うなんて無理に決まってるじゃないッスか!?それにおっちゃんの言うのせいで!オイラたちの避難所は崩壊したッス――――――何人も、何人も死んだッス。何人も何人も殺されたッス!それをおっちゃんも見てたッスよね!?」


 ほぉら。やっぱり。


 いや、てか、ある意味凄いね。このおっさん。


 なんでそんな思考回路を持っているのか、不思議でならん。


「剛田警部。私も貴方の考え方は危険だと思います。」


「何!?」「へ?」「えぇ??」


 えぇ?何でこっちにいんの??


「いやいやいや、戸崎さん??ユキちゃんは??」


「あそこで寝てるわ。座ってお菓子食べたらコロッと寝ちゃってね。疲れてたんでしょうね。隣町から歩いて来たんだから当然でしょうけど―――それでちょっと今後の事を考えると無視できない話みたいだったから、ね?」


 ね?って、いや、それなら、まぁ?良い――――のか?――――いや、でも目が覚めたらそばに誰もいないってヤバいよね?ユキちゃんの心情的に。


「ちょっとこの場は任せます。3人で話してください。」


「待て!話は終わってない!誰かを殺す可能性のある危険な奴を野放しには出来ん!」


「剛田警部!」


 いやマジなんなんこのおっさん!?


 意味わからん過ぎなんですけど!?

 頭イカれてんのか!?


「俺は誰かを害すると分かってるモノを野放しにしてるあんたの方が危険だと思うよ。」


 あかん・・・これ、キレそう!!

 この場を早く離れなければ!!


 癒しを~。


「待てと言ってるだろ!!」


「待つのは剛田警部、貴方の方です。こちらに来てください。ペガサス!手伝いなさい!」


「名前で呼ばないで!?「ペガサス!!」・・・あぃ。」


 おっほぉ。


 凄いな?あんなに体格が違うのに、いくら二人がかりとは言え、ガチムキのおっさんが引き摺られてるぞwww


 さ~て。ユ~キちゃん。俺を癒して~。


「終わりましたか?」


「・・・あっれ~?」


「・・・ごめんなさい。」


 ふむ。寝たふりですかな?

 そりゃまぁあんな大声出してちゃ例え本当に寝たくても、例え本当に寝ていても起きるわな。


 あんのクソ野郎が!!!奥歯ガタガタ言わせたろか!?


 戸崎さんと二人は辛かったから寝たフリ?それとも――――気を利かせた?だとしたらどんだけ早熟なのこの子?そんなのまだまだ考えないお年頃だと思うんですけど??ちょっとは見習えクソ警部が!!!!


 ふう。よっこいせ。お隣失礼!


「俺こそごめんね?一人にしちゃって。」


 あぁ――――。ま、また頭を撫でてしまった。

 く、癖になりつつあるな、これは。大丈夫?嫌がってない?―――――本当に??


「・・・・・。」


 おうふ。え?マジ、止めて?俺には色々と耐性がないからね?どうして良いのかわかんなくなるから!?


 あぁ!?身動ぎしないで~!お腹がくすぐったい!しかも、女の子が、それも幼い子のお顔が当たっちゃダメなところに当たっちゃうから!?


 せめて抱きつくなら大人しくしといて!?


「我が儘・・・・。」


「え?」


「我が儘、言って良いですか?」


 あら?珍しい。初めてだね?そんなこと言うの。

 会ってまだ4日しか経ってないけどね!


「良いよ。何でも言いな。」


「頭。・・・頭をもっと撫でてください。」


「へ?え、えっと、こ、これで良い?」


「・・・はい。」


 こ、これは今までおこなってきたナデナデも許されたのではなかろうか?


 よっ、良かったよ~。何だかここ数年で一番嬉しいかもしれん。撫でれた事がじゃなく、過去のナデナデが無罪にされた事ってのが我ながらビビりなチキンであるのが情けなくはあるが―――――。

 ま、まぁ?嬉しいことは嬉しいことでちゃんと喜ばないとね?


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 ありゃ?マジ寝?


 何だか自惚れかもしれんが信頼されてる感!これはこれで猛烈に嬉しいっすな!!


「おやすみ。」


 勿論返事はないけど、ドラマのワンシーンみたい!と、自画自賛。


 ―――――――――うん。ノリと勢いで思ったんだけど、とてつもなく恥ずかしい!


 でも、その恥ずかしさのお陰かちょっと肌寒かったのが気にならなくなった!!


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「あら。寝ちゃったのね・・・」


 いえ、起きてます!


 寝そうではあったが、起きてますよ!


「起きてますよ。」


 起きてます!


「起こしちゃった?だとしたらごめんなさいね?疲れてるでしょうに。

 あんなのまで相手にさせて。一応言い訳させてもらうと、本人には悪気はないし、根はいい人なのよ?本当にいい人過ぎて、逆に困ってるんだけどね。」


 おっふぉ。


 ダメだよ!腕組んじゃ!!


 胸部装甲が―――――――!?


「本当にあの人も問題だけど・・・あんたも懲りないわねぇ・・・!!」


「ご、ごめんなばい」


 絶対零度の眼差しとはこんな感じの視線を言うのかな?上手く口も開かないぞ!?


「くだらない話はさておき、どうするの?

 今後ここに留まる・・・のはまぁ、確定するしか無いでしょうけど。あの人のあの考えとも上手く付き合っていく必要があるわよ?従う必要は無いけれど、衝突は必須でしょうね。お世辞にも過ごしやすい環境とは言えないわよ?」


 そうなんだよね~。


 選択肢を複数上げることは出来るけど、どれもこれも現実的とは言えない。現状、選べる選択肢はたった1つだけだ。


 俺が納得出来ようが出来まいがそれは変わらないわけだ。


「仕方ないですからね。何とか妥協案を考えたいと思ってます。―――ところで、話は変わりますが、皆さんは元々の知り合いですか?何となく仲睦まじい感じを受けましたが?」


「そうね。剛田警部はここで警察官、私も同じく警察官をしていて、ペガサスは私の従兄弟。だから私は二人共と知り合いになるわ。でも、あの二人はこんな状況になってからの知り合いね。」


 ほうほう。


 なるほど。


 警察官・・・なんともエロチックキケンな警察官ですな!


「あんた、マジ、死ぬ?」


「ごめんなばい!」


 俺は悪くねぇ!!その胸部が悪いんだい!!

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