第2話
「あ?」
なんだ今の変な声は?
『ハローワールド』?
なんだ『こんにちは、世界』って?
聞こえてきた謎の声に上を向いたけど、別に上から聞こえてきた訳じゃないんだよね。じゃあどこからだよとって言われても「わからん」としか言えないけど・・・・ってなんじゃこれ?
思わず外した視線を戻し、つい先程までおふざけに付き合うために使用していたPC画面を見ると、いつの間にかバグってた。
画面一杯に
『
の文字。
さっきの謎の声と同じことを言ってる。
・・・・じゃあさっきの声はPCから?
いや。さすがにこんな目の前にあるPCからの音をどこから聞こえてきたのかわからない。なんてことになるほどボケてない―――――――はず!
んーーーーーわからん。
幻聴かな?・・・・うん。幻聴だな。そうだな。
はてさて暇潰しにと思ったしょうもないメールにナゼか途中から大真面目に答え始めて――――――わぁお!?30分も経ってる!?
俺ってバッカだな~。知ってたけど!!
望みを聞くだけとか意味不明。そもそもこれは何のためのアンケートだったんだ?
いきなりメールが来たかと思えばたった一文だけの質問が書かれていただけ・・・・。
まぁいいや。終わったことだし!
「「「「「!!!!!!!!!!!!!」」」」」
「なんだ!?」
悲鳴?更に爆発音やら衝突音ってどうなってんだ?
恐怖を格好つけて抑え込み・・・・って誰に格好つけてんだ俺は?
バカか?・・・うん。バカだったな!
それはさておき。窓から外を様子見。
「うっわ~~~~。なにこれ?どうなってんの???」
あっちで煙モクモク。そっちでも煙モクモク。
そっちでクラクション。あっちでブレーキ音。
こっちで悲鳴、そこで怒声。
パトカー、救急、消防っとド派手にウーウー。
世界が終わるのですか?
「グギャ?・・・・・ッギャ!ギャギャギャー!」
っ!?やっべ!?何あれ!?
ゴブリン、か??現実世界に???いつから日本はファンタジーに!?
いやそれよりも今は俺の危険が危ないよ!?明らかに今俺を見上げてたし、何か周りに知らせるみたいに鳴いてたし・・・・何よりもこっち指差してたし!
ここが2階だろうと安心できない。
一般的な一軒家である我が家には『防衛能力』なんてあるわけがない。
ど、どうすれば?
取り合えず身を守るのに――――武器??
いやいや待て待て。そもそもあれは本当にゴブリンか?
緑色の肌に、デカイ鼻。異様に尖った耳に、ハゲ散らかした頭部。気持ち悪いくらいに大きなギョロギョロと動く目玉と、鮫を思わせる尖った歯並び。
うん。ゴブリンだわ。
でも何かの悪ふざけとも考えられ「ドガッ!ドガッ!」・・・・ないわー。
いや、無理だわー。
悪ふざけじゃ済みませんわー。
止めて!うちの玄関壊さないで!!
やっぱ自衛するしかないじゃん!
取り合えず武器!武器・・・・って何が武器になる??
部屋を見渡してもそれらしい物は見当たらない。
都合よく野球バットとかないし、勿論銃何てあるわけもなく。アウトドアに一切興味の無い俺が刃物類を持ってるわけもない。
父さん母さんの寝室にもあるわけ無いし。
物置になってる兄貴の部屋ならワンチャン?でもあんなごちゃごちゃしてる部屋で悠長に探してる時間なんて無いだろうし・・・。
残りは下の1階にある・・・包丁か?うん。包丁だな。ってか一般家庭に刃物なんて包丁かカッターナイフくらいしか無いし。刃物以外の武器とかパッとは出てきません!
慌てず、でも急いで!駆け足!
ススススーーーーっと!
よっし包丁ゲット!ダッシュ!
自分の部屋だと今も玄関の扉をガンガンやってる奴がこの家に入ってきたときにヤバイかな?俺を見た部屋目指して来るかもしれんよね!?
そこまで知恵が回るのか甚だ疑問の見た目である(仮称)ゴブリンさんだが、念のため。
『変な生き物が現れまして候。元兄貴の部屋。現在物置部屋に潜伏ナウ。応答されたし。』
――――――――――――――――――――――――――――――――――やっぱ無理?
これ町全体で起こってる感じだよな?ド派手にあれこれと変な事態が起きてたったポイし。下手したらここら辺だけじゃなくて、県全域?もしかしたら地方全域・・・とか?まさか日本中なんて・・・あり得ないとは思うけど・・・。
ちょっと思考を脇道に逸らしてからもう一度スマホのメッセージアプリ画面をチェックするも反応なし、か。
ってか、そもそもこれ送信できてる?特に『送信できませんでした』的な通知が来てないから、大丈夫だよな?ってことは、父上も母上も兄上もメッセージに気付くことの出来ない状況にある?ただ単にいつも通りの日常だけど気がついていないだけ?
わからん。
相も変わらず玄関からはお祭りの如く騒がしい音は鳴り響いているし・・・・。
あっ。これガラスの割れる音・・・。やばくね?
マジか・・・・!?中に入って来てる!?リビングの窓からか!?
ちきしょー。グギャグギャうるせー。はよ出てけ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
諦めた?かな?
これ。隠れたは良いけどいつ出ていけば良いの??
取り合えず今じゃないのは確か!静かになったけど、時間は全然経ってない訳だし。もう暫くは待つのが良い気がするけど―――――――――辛い!
なんか喉乾いた気がするし。お腹も減った気がするし。何より緊張と恐怖が辛い。
ただじっと待つのってマジ辛い。
――――――――――――――――――――――。
――――――――――――――――――――――。
いい加減おk?
もうすぐここに隠れて1時間。
そろそろ良いのではなかろうか?
ちょっと気分は落ち着いてきたけど、喉の乾きがヤバめ。ギブミーウォーター。
ゆっくりだぞー俺。音たてちゃ、ダメ!
ゆっくり動いてー。ゆっくりドア開けてー。
ヨシ。2階廊下安全確認完了。
特に荒らされた形跡なし?あ、壁の一部が――――――おかんが怒っちゃうよ?ついでにオトンは泣くかも?「ローンがまだ残ってるのに!」って。
ま、それは良いとして、理想としては1回下を確認しに行きたいのが本音だけど―――取り敢えず自室だ。飲みかけのお茶がある!
廊下は素早く、だが静かに!
ドアも素早く静かに開閉!
ヨシ!
お茶ーー!!・・・・・・・だっはーーーーー。うめーーーーー!!!
でも足りません。
ちょっと落ち着けたけど、まだまだ飲みたい!!
ふぅ。取り敢えず一息――――あー、外はどうなったんだろうか?
またさっきみたいに見つかるのはヤバイから、なるべく見えないように―――――。
うわーーーー。モクモクが増えてるーーーー。でも音はかなり減ったな?
サイレンも聞こえないし、悲鳴も怒声もなし。その他の音も鳴り止んでいるけど・・・。
静かとは言えない―――。耳をすませば微かに鳴き声的なものはあるし、少ないけど悲鳴とかもある。後は車の警報器がいくつかなってるっぽい。
犬とか猫も聞こえてくるけど、一番聞こえてくるのは聞いたことの無い鳴き声だな。
さっき見つかった(仮称)ゴブリンっぽい声も聞こえてくる。
世界が終末を迎えました。
マジ笑える。
はい。笑えません!
意味がわかんないことはインターネットで検索検索・・・・。
モンスター。世界の終末。魔法?死。助けて。ヘルプ。ファンタジー。ステータス?
出るわ出るわ。
情報が散乱していて纏まりが皆無!
ってか、マジで日本中じゃね!?
モンスターは、さっきの(仮称)ゴブリンさん・・・たち?他にもいそうだけど、あいつらのことだろう。一回見た。なんなら襲われかけて、お家は犯されました!
世界の終末ってのは俺と同意見の人がいるってだけで――――。
魔法?
現実世界にリアルなファンタジーが出現したのか?・・・・・いや、(仮称)ゴブリンさんが居るんだから他のモンスターが居ても可笑しくない。さっきそう考えたじゃん。じゃあ、他のモンスターが居て、そいつが魔法を使ってきたって事かな?
死。助けて。ヘルプ。
誰かが死んだ。殺されたところを見た。自分もそんな死の危険が傍にある状況ってことだろう。――――――残念ですが助けるのは無理です。
なんなら俺も助けてほしい状況です。
ファンタジー。って、そのまんま発言してるヤツいる。この発言してるやつお気楽だね?――――俺もか?
よく『能天気』って言われるし。
ステータス。
現在の状況的に、一番興味が湧くワードだ。
詳しく見る。
くまなく見る。
ほっほぅ!
「ステータス!」
どぉ!?マジで出た!!
===================
【
【アルケミスト】
盾の領域:5/5
具現の力:10/10
【アルケミー】
===================
情報すくな・・・!
えっと、名前、と、?・・・・・職業的な感じか?とわからん、と、わからん、で?アルケミー・・・は錬金術のことだから・・・スキル的なものってことかな?
【盾の領域】と【具現の力】ってなんぞそれ?
文字から察すると・・・・【盾の領域】はHP的なものになるような・・・気がする。んじゃ、【具現の力】はMP的なものか?
魔法が、使える!?ふぁ!?
「ファイアーボール!!!」
――――――――――――――。
「ヨシ!いつも通り!!」
出来ないのは単純にやり方が違うせいか?それとも他に・・・・?
【アルケミー】で出来る事しか出来ない。とか?でもそんなパッとは想像できないぞ?
予想ではポーションとか薬関係を作るとか、武器や防具に特殊な力を付与したり?はたまた材料を色々使って様々な物を作り出す感じか?
それって―――――どうすりゃ使えんの??
「GAaaaaaaーーーーーーーー!!!!」
!!??
え!?なに!?今度は何!?何事なの!?
慌てて窓にへばり・・・・あ・・・・み、見つかる!?
―――――――大丈夫?
今度はちゃんと注意しつつ・・・・・うっはー。何あれ?笑える!
空飛ぶ超巨大大トカゲ!
うん!ドラゴンだね!ワクワクしますね!
危険がなければね!?
地上に降りてドンドコドンドコ。あ~皆の夢のマイホームが、崩れてく・・・いや、デケーよ。普通に二階建て一軒家よりでかいね?あいつ。
そんで、一直線にこっちに来てない?
何ゆえに道路があるのに態々人様のお家を壊しながら進んでるんでしょ~か?
呑気にしてられねーーー!!
ダッシュ!!!!
◇◆◇◆◇◆◇◆
「た、助かった~~~~~」
マジ何あの超巨大暴君。
意味がわからん状況で意味わからんもの出して、更に意味わからん状況にしないでもらいたい。
ってかここどこ?
ガムシャランニングしたからどの道来たのか覚えてねーよ。マジウケルー。
はい。ウケマセン。
あー。あ?あ~~~はいはい。ここもうちょい行ったら小学校があるな。懐かしき我が母校よ!
もしかしたら避難所的な感じになってるかも?
よし!レッツラゴー!!
――――――――――――。
・・・おうふっ。
壊れとるし。ってかグラウンドに居るの何?蛇?でっかいけど。ってかデカ過ぎるんだけど?ほぼグラウンド見えないし!?
ヨシ。次!
もうちょい行けば―――――――――
ホームセンター♪・・・・・跡地。
バカな・・・・・・・。
え?何?どこもかしこも壊されてて笑えないんですが・・・・。
どうすっぺ?
「あ、あの!」
「ん?」
おうっふ。
美少女JCが現れた!
弘信は慌てているようだ!
「なな、なに?かな?」
「助けてくれませんか!?お兄さん!」
ぐぅはっ!!!
お、お、おに、お兄さん・・・・・だとぉ~~~~~~!!!
え?何その心踊るフレーズ。も、もっかい呼んでくれません?
「あ、あの、お兄さん?」
はい!『お兄さん』戴きました~~~!!
「き、聞こえてますか~?」
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