好きになったドSの妹の彼氏は日曜日の夕方６時半だった。

第40話 安部美桜、ついにキレて本性現す。

『ごめんなさい。』『妊娠なんて、本当はしてないんだろ？』『・・・してない、でもっ・・・！！』『佐野さん、これでいいですか？美桜は・・・』『いやいや、全然良くねーだろ。』

次々に割って入る入る。あたしの首はあっち向いてこっち向いてと大忙し。

『跡部とちゃんと納得して別れたのかよ？』『俺はちゃんと別れを告げました。』『跡部、どうなんだよ？』『あたしは・・・、まだ良介が好きです。』『だってよ、千葉。』

すんごい昼ドラ。主役は誰だ！？

泣き出す跡部さんに、冷ややかな視線を送る良介。それをまたまた冷ややかな視線を送りつける佐野さん。

・・・あたし、帰っていいのかな？ダメだよね、うん。

『ごめん、跡部。俺は美桜が好きなんだ。』『諦められない。』『ごめん。もう美桜にも俺にも関わらないで欲しい。』『・・・だから言ったのに。』

跡部さんが突然立ち上がり、あたしの髪の毛を鷲掴みにした。

『痛っ！！』『跡部、辞めろ！！』『お前っ、美桜に何やってんだよ！』『この女さえいなければ、良介はあたしのモノだったのにっ・・・！！』

そっか。分かった。

ここから先は良介も佐野さんも関係ない。

「あたしと跡部さん」の問題に切り替わるんだ・・・。

『2人とも、手を出さないでっ！！』『でも、美桜は関係無いだろ！？俺と跡部のっ・・・！！』『ウダウダうるせーのっ！！いいから黙ってて！！』

跡部さんの手を掴み、あたしは握り潰しながら跡部さんを睨んだ。

『喧嘩売ってんですよね！？』『手っ、い、痛いっ！離して！』『最初に髪の毛掴んで来たの、あんたでしょ！？抜かれた髪の毛、どうしてくれんの！？』

男と女が混ざるとめんどくさい。

これは一気に畳み掛ける作戦で行くしかない。

『ねぇ、良介を諦めたくないんだよね！？』『そ、そうだけどっ！！』『なら、正々堂々と想い続ければいんじゃないの！？やり方が姑息なんだよっ！！』

「安部美桜、キレたらおっかねー問題」。

ここまで誰かを潰しにかかったの、いつぶりだろう！？

でも、こうまでしないと跡部さんには分かって貰えない。良介なんかじゃ役不足。頼りになんない。使えねー。(言い過ぎ。)

『あたしは良介と付き合うつもりないから。勝手に２人でやってよ。』『でも、良介はっ・・・！！』『でももへったくれもねーの！！もっとあんたがアプローチすればいんじゃねーの！？とにかくっ！』

「これ以上、あたしと佐野さんに迷惑掛けたら目潰しすっかんな！！」

決まった。安部美桜やってやりました。

跡部さんはついに黙り込み、あたしの前で呆然と立ち尽くしている。

一方、良介はあたしの豹変ぶりに唖然とし、佐野さんは薄ら笑いを浮かべている。

右手の拳を上に掲げる時が来た・・・。

はずだった。

『目潰しすんのはこっちだっつーの！！』

跡部の逆襲再び。

あたしの両目は跡部さんの手によって潰された。

・・・これぞ、暗黒の闇ってやつ？