第39話 99%の優れもの。その名も!?
『さ、佐野しゃんっ!?』『・・・佐野さんどういうつもりですか?』『見りゃわかんだろ。こーゆー事だよ。』
いやいや。あたし幾度も振られてるけど。
こーゆー事って、どーゆー事!?
『美桜から離れて下さい。』『やだね。』『離れろよ。』『うるせーよ。』
「美桜は今から俺の女だ。」
・・・佐野さん!?頭大丈夫!?自分の言葉に責任持って頂けるのでしょうか!?
『美桜、どういう事!?佐野さんと付き合ってるの!?』『え!?あー・・・』『付き合ってる。』『佐野さんに聞いてません。美桜に聞いてるんです。』
この状況ってどう判断すればいいの?
佐野さんは「今だけ」と思ってあたしを彼女呼ばわりしてるのか。それとも・・・。
『付き合ってる・・・の?佐野さん!?』『付き合ってる。』『嘘だ。佐野さんは彼女呼ばわりいるじゃないですか。』『いるよ、美桜。』『そうじゃなくて、長年付き合ってる彼女が・・・』『それは俺の妹だ。』
「俺、重度のシスコンなんだよね。」
カミングアウトしちゃったよーーーん。
しかも、自分で「重度」って付けちゃった。
佐野煌太が重度のシスコンである。
・・・きっと誰も信じないだろうなぁ。
『その嘘、キツイですよ(笑)』『や、マジなんだけど。』『とにかく、美桜から離れて下さい。』『だから、やだって言ってんの。』
この言い合い飽きた為、我、自ら佐野さんの懐から離れた。
すると今度は・・・
『うわぁっ!!』『美桜は渡せない。絶対に。』
今度は良介にきつく抱き締められ、羽交い締めにされた。
佐野さんの表情・・・鉄仮面から赤い炎がメラメラと燃え盛っていて、焦げ臭い。
『良介っ、離して!』『嫌だ。美桜は俺だけの美桜だ!』『千葉、お前跡部どーすんの?』『もう別れてますから。』『跡部はそう思ってないみたいだけど・・・なぁ?跡部!?』『え!?』
これ、絶対に振り返っちゃいけないやつ。
怒りのオーラがビシバシ背中に突き刺さる。
・・・でも、とりあえず振り返ってみる好奇心旺盛なあたし。
『あ、跡部さん・・・。』『良介、何してるの?』『千葉、めんどくせーからここでケリつけようぜ。』
煽る佐野さん。さすがドS。若干楽しんでる様にも見える。
あたしはふと緩んだ羽交い締めされてた良介の腕からスルリとすり抜け、目を泳がせながら気をつけ体勢をした。
『もう・・・俺を追い掛け回すの辞めてくれないか。』『お腹の子はどうするの?』『・・・そう言われると思って買ってきたんだ。』
良介がジャージのポケットから出したのは「妊娠検査薬」。
99%の確率で分かる優れものらしい。
『疑ってるの!?』『本当に妊娠してるなら反応が出るだろ?』『みんなの前でやれっていうの?』『本当に妊娠してるなら・・・ちゃんと俺が責任取るよ。』『だってよ、跡部。』
急に挙動不審になり出す跡部さん。
答えはもう分かっていたはず。でも、良介の跡部さんへの追い込みが余りにも激しすぎて・・・。
「・・・ごめんなさい。」
そう言った後、跡部さんは泣きながら崩れ落ちた。
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