第34話 人の噂も75日で本当に終わるの!?

『・・・部っ!』『安部っ!』『え、あ。はい!?』

気が付けば場所はタイムスリップをしたかの様に、職員専用駐車場にいた。

佐野さんにキスをされた余韻が全くと言っていい程抜けてなかったあたしは、酒も飲んでないのにほろ酔い状態。


『着いたぞ。』『ありがとうございます・・・。』

お辞儀をし、佐野さんの車から降りようとした時。


『安部。』『はい?』『さっきの責任は、ちゃんと俺がするから。』『責任?』『俺だって、誰かれ構わずあんな事しねーから。』


もーーーーーうっ!!(牛)

何で気を持たせる言い方するのかな!?告白したら振られたのに、キスは誰かれ構わずしないって・・・。


期待度どんくらいな訳!?

・・・もう一回頑張ってみよ。


『佐野さん、好きです。』『あぁ、俺も好きだ。』


え?あん!?「俺も」「好きだ」!?


『佐野さん付き合って下さい。』『無理。』『何でぇ!?』『美香が大事だから。』『美香さん、彼氏いるじゃないですか!』


「美香がちゃんとした奴と結婚するまでは、俺は彼女を作らない。」


どんだけシスコンなんだよ。

あたしも、佐野さんの妹に生まれたかったよ。兄妹関係ない禁断のラブラブしたかったわぃ。


『ごめんな、安部。』『分かりました・・・。お疲れ様です。』

車から降り、駐車場から出ていく佐野さんの妹車を見送るあたし。


すると・・・。


『美桜っ!!』『・・・良介。』

良介が施設から走ってあたしの元へやって来た。


『何!?』『どうして佐野さんといたの!?』『良介に関係ないでしょ!?』『美桜、ちゃんと話を聞いて欲しいんだよ。』『あー、跡部さんが良介の子供妊娠してる話!?』


嫌な女になってると気付いてた。でも、その位、あの時の光景はあたしにとって衝撃的だった。

悲しくて辛くて・・・悔しかった。

簡単に話をするだなんて、今のあたしには出来ない。


『別にあてしはもう話す事なんてないから。』『全てが誤解なんだよっ!』『下着姿も!?』『だから、あれは跡部さんが合鍵を返しに来て、俺がシャワー浴びてる間に勝手に下着姿にっ・・・』


頑なに心を閉ざしてしまっている時は、何を言われてもいい訳にしか聞こえない。

「ちゃんと話を聞いてあげなきゃ」

そう思える日まで、あたしに構わないで欲しい・・・。


『ごめん。今は良介の話聞きたくない。』『美桜、佐野さんと付き合ってるの?』『だとしたら、何か関係あるの!?』『俺は美桜を諦めるつもりないから。』


話にならない。頭が痛い。きっと、あたしは今後

「良介を好きになる事はない」。


『迷惑だから。やめて。』『ちゃんと話を聞いてくれるまで待つよ。』『再来年位じゃない?』『それでもいい。待つよ。』


「だから、美桜は誰にも渡すつもりないから。」


『じゃぁ、俺仕事に戻るから。』そう言い、良介はシセツノ中へと戻って言った。

あたしの心は健全に佐野さんに囚われたまま、翌日へとまたまたタイムスリップ。


あたしの予想通り、フロア内はとんでもない噂が飛び交っていた。

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