第33話 ドSを勝ち取るための腐女子と性悪女。
『そろそろ帰るか。』買い物も終わり、スタバも堪能し、サプライズプレゼントも貰い。
そして振られる。
佐野さんは滅多に笑ってくれない。だから、どこまでが本気でどこまでが冗談なのかも読めない。
利用者様には満面の笑みを見せるのに、あたし達には笑う姿をなかなか見せてくれない。
見せてくれるとしても、皮肉笑い位・・・。
『佐野さん、今日はありがとうございました。』『どういたしまして。』『また、お誘いしてもいいですか?』『暇だったらな。』
肩を並べてショッピングセンターを出ようとしたあたし達。
すると突然、後ろから肩を叩かれた。
『え?』『こんな所で、佐野さんと何してるんですか?』『げ、小久保(さん)!?』
ヤバい現場を見られてしまった。
佐野さんラブの小久保(さん)。表情が鬼の形相になっている。
『よぉ、小久保。』『佐野さん、どうして安部さんといるんですか?』『どうして小久保に話さなきゃなんないの?』
さすが佐野さん。ドSぶり発揮。でも、負けじと小久保(さん)は佐野さんではなく、今度はあたしに食って掛かって来た。
『安部さんは、良介君と付き合ってるんじゃないの?』『良介とは別れたんです。』『じゃぁ、彼女らがいる佐野さんにちょっかい出してるって事!?』
・・・何言ってもダメだこりゃ。絶対友達になりたくないタイプNo.1の小久保(さん)。あたしでは歯が立たない。
『佐野さん、どっちから誘ったんですか?』『小久保に関係ある?』『だって、2人共今日は仕事ですよね!?』『あ、あのねっ、小久保さん、あたしから誘っ・・・』
「俺から安部を誘ったんだよ。何か文句ある?」
佐野さんの破壊的一撃。この言葉に、小久保(さん)も何を言い返したらいいのかタジタジ。
・・・心の中で万歳してるあたしは最低かのぅ?
『そういう事だから。じゃぁ。安部、行くぞ。』『あ、はい。』
『待ってください、佐野さん!!』
この場を立ち去ろうとする佐野さんの腕を、小久保(さん)が掴み、ウルウルした目で訴え出した。(ぜってー演技。)
『あたし、佐野さんの事ずっと好きだったんです。』『・・・それで?』『安部さんじゃなくて、あたしを見て下さい!!』
ほぅ・・・。随分強引な告白をするではないか。
ウルウルしてるなら、はよ涙流せ。二重人格女め。
『ごめん、無理。』『安部さんが好きなんですか?』『嫌いじゃない。』『じゃぁ、あたしの事は嫌いなんですか?』『・・・あのさぁ・・・小久保。』
「俺に何を期待してんの!?」
冷酷な表情。こっわ!!小久保(さん)も、さすがにオドオドしている姿が・・・やっほーい!!と、思ってしまう性悪女なあたし。
『私、佐野さんの事諦めませんから!!』『まぁ、それは自由だからいいんじゃない?』『だから、安部さん。邪魔しないで!!』『・・・え?あたし!?』『安部、帰るぞ。』『あ、はい。』『待って、佐野さん!!』『なん・・・』
小久保(さん)、凄い根性だと思う。
佐野さんの首に手を回し、沢山の人がいる中・・・キスをぶちかまして来た。
『安部さん、あたし負けないから。』『・・・まぁ、決めるのは佐野さんですから。』『安部。』『あ、はい?何でしょ・・・』
佐野さんも大した人だと圧巻された。
「消毒。」
佐野さんはあたしの肩に手を回し・・・キスをぶちこんで来た。
骨抜き状態のあたし。何が起こった!?何でキス!?
『安部、帰るぞ。』『はぁーーい・・・。』
フワフワして地に足がついていないあたし、半ば佐野さんに引きざられながら小久保(さん)を置き去りにし、ショッピングセンターを出た。
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